早いもので手羽家の長男・リンクロウはこの4月から中学3年になりました。そう、いよいよ高校受験でして。
ところで、「子どもがいた方がいいか?」という議論がよくあります。
「子どもがいると幸せか?」という議論にはのるつもりはないけど、手羽は「子どもがいることで今まで接したことがないカテゴリの人と付き合わなくちゃいけない経験値」「今の教育現場を知ることができる」という自分にとってのメリットは実感しています。
「今まで接したことがないカテゴリの人と付き合わなくちゃいけない」とは、考えてみてほしんだけど、小中高校、大学、就職と恐らく周りには自分と似たカテゴリの人しかいなかったはず。
年齢が近い、好きなスポーツや音楽が同じ、同じ進路を選択した、イラストが好きだったり美術に興味を持ってる、『御校の教育理念に感銘し』と思ってもないことを面接で言って入職した、などなど。言い方を変えるなら、これまでは参加するグルーピングをある程度自分で選択・コントロールできたはず。
でも子どもができると、「子どもが同じクラス」「サッカー部だ」という自分が直接関係ない共通点で強制的に今まで会ったことがないような、全然自分とは趣味も思考も全く違う親御さん達と同じグルーピングにならなくてはいけない。それが人生の経験値を上げてるし、勉強になってる、というメリットがひとつ。
面白い体験があったんで今度書こうと思ってるけど、PTAだったりね。予想以上ですよ。
「今の教育現場を知ることができる」とは、新聞やテレビ等メディアの情報だけではわからない小中学校の現状を知れるメリット。
未だに「徒競走では順位をつけない」「円周率は3と教えてる」と信じてる人がいるけど、あれは間違ったメディアの情報で全然そんなことはなく、順位つけるし、3.14で教えてます。
逆にお遊戯会や演劇発表では、昔のような「ワカメ役B」「通行人D」だと親から「なんでうちの子がワカメ役なんざますか!」とクレームが入る可能性があるんで、主役を複数人にする、いわゆる「桃太郎が5人」設定をリアルに見ると「うわ、これ本当なんだ・・・この国、大丈夫なのかな?・・」とリアルに怖くなります。情報としては知ってたけど、ほんとに昔に比べると美術の時間が無くなってることも。
最近だと「今年の運動会から危険なので組体操が無くなるけど、同じ理由で騎馬戦もなくなる」もそうですね。騎馬戦をやめちゃったら、なに、走って踊って玉を転がすだけの運動会をそんなに見たいの?と思ったりもするんだけど。
また、「授業公開を頻繁にやってる」「ユニバーサルデザインの勉強を小2でやってる」等も子どもがいないとわからなかったこと。
そして、今どきは「キャリア教育」、「自己肯定教育」を小学校からかなり頻繁にやってる、ってのもその一つ。
というわけで、ここから本題に入ります。
先週今週と中学校では3年対象に保護者も含めた進路ガイダンスが始まってて、昨日は経済産業省クリエイティブ振興課の方が講師でやってきました。
「将来役立つ!今日からできる!ライフログのやり方」という講演。
「将来何をやりたいかわからない」という子どもが増えているそう。
実はリンクロウもそうでして。
サッカーやったり、吹奏楽部入ったり、漫画が好きだったり、料理が好きだったりするけど、それを人生の選択肢にする気もない。
リンクロウには「自分の学びたいことから高校を決めるべきだと言われてるけど、実際は偏差値で決めたり、部活が強いとか、制服が好きとか、そういうところから高校を決める人が多いのも事実だし、それでもいいんだよ」とはアドバイスしてるんだけどね。
実はこっそり中2の時に「いろんな選択肢がある」ってことを見せるために、
都立総合芸術高校や農業高校の説明会にリンクロウと行ったりしてます。高校へ行くのは全然抵抗がない父なもんで(笑)
でも「なんか違う・・」という答えで。
そんな「やりたいことが見つからない人は、ライフログが便利ですよ」という話でした。
講師の方は子どもの頃からイラストを描くのが好きで、筑波大芸術専門学群を卒業後、そのままIT企業の営業に就職するけど「なんか違うなー」と感じていた。で10年つけてたライフログを見返してたら「自分のやりたいことは本当はこれだったんじゃないか」と思い、勉強しなおして経済産業省に入局。現在はクールジャパン戦略とか担当されてるそう。
さて、「ライフログ」とはなにか?
「デジタルデータで自分の行動や生活全般を記録する」てのが今どきの解釈なんだけど、ここではそのまま「人生・生活の記憶を記録すること」という意味で使っています。
どういうことを勉強してきたか成果物をまとめる「学習ポートフォリオ」が大学教育業界では注目を浴びてて、それよりももっと幅を広げ日常生活を記録して、自分を見つめ直すキャリア教育に活かそうってことですね。
美大生は就活用に作品ポートフォリオを作るけど、「日常生活のポートフォリオ」という説明がわかりやすいかな。
この方は写真や美術館や映画館に行った時のチラシやチケット、昔描いたイラストとかをクリアブックにずっと入れてきたんだって。昔だと「スクラップブック」と言ったけど。
可視化することで「自分は何が好きなのか」「本当はどういうものに興味あるのか」を再発見・自己分析することができるし、面接とかで自己紹介する時にも役に立つし、自己肯定にもつながる、と。
ちなみにムサビは「ムサビ入門」という自校教育をはじめましたが、自校教育とは自己肯定教育の一つなんですね。それがわかってないと「なんでムサビの話を授業で?」となっちゃうわけで。
ぶっちゃけ、「悪いテーマだとは思わないけど、それをこの中3のタイミングで言われても・・・」と思ったり、恐らく人前で話慣れてない方で、自分の話だからやりやすいはずなのにずっと下見て原稿読んでるし、個人の話なんだから「経産省」という肩書が必要だったのかよくわからんし(先生の知り合いとしてお呼びしたのかな?)、もし「経産省」として来てたんだったら伝えたいメッセージをはっきりさせるべきだったし、1時間の持ち時間なのに20分弱で話が終わってしまい「予定より早く終わったので質問コーナーってことで・・・」と生徒も保護者もみんな「えっ・・」とザワザワし、先生が慌てる一幕があったりしましたが、経産省クリエイティブ振興課だとデザインハブ絡みでつながりがあるからこれ以上書くのはやめときます・・。
本題のまとめ。
ライフログとは「記憶を記録するもの」であり、今回の講演は中学生向けに「クリアファイルでのライフログ」だったけど、手段は日記でもいいし、ブログやSNSでもOKなのです。
ブログはそもそも「WEBLOG」の略ですしね。
てことは、ムサビ日記・美大日記・美大ブログ(裏)・PARTNERと場所を変えつつも13年ぐらいほぼ毎日何かしら書いてるから、これがまさに「手羽のライフログ」であり、「ムサビと美大のライフログ」。
この手羽美★もこれで281記事目。300までもう少しです。
ライフログつけてると、「えーと、あそこに行ったのはいつだっけ?」「これやってたのは何年前だ?」と思った時に、Googleで「手羽イチロウ 〇〇」で検索すると何年何月何日までほぼわかるし、その時の出来事や感情、考え方も引っ張り出せるんです。
また、仕事で企画書を書く時も、一度考えを文章にし整理してるってのが大きい。
皆さんもライフログやってみませんか?
以上、
小4のあかりちゃんが「制服がかわいい中学に行きたい」と言い出し、ずっとネットで制服チェックしてたもんで、「何も目標がないよりもいいことだよな」とこの本を購入した手羽がお送りいたしました。
こういう本は「アッチ系」の人が購買層だと思ってたけど、本来の使い方を目的とした需要がやっぱりあるんだなあ。
ほとんどの制服が公式の写真で出てて、これって学校側が提供してなくちゃできないこと。普段だと中学校が写真提供するのは断りそうな気がするけど、制服が進路選択の大事なポジションにあるってことなんですね。
こういうのも子どもがいるから発見できた出来事ともいえます。
ちなみにあかりちゃんは相当嬉しかったようで、父ちゃんが寝てる間に読んでて、朝起きると
ポストイットが大量についてた。
父ちゃん、頑張って働かないと・・・。
しかし、この学校調べが楽しいと思える血は誰に似たんだろ・・。
ちなみにちなみに、
女子美附属中にもポストイットが貼ってありました。どうやら、セーラー服ではないクラッシックな制服が好きみたい。
「お、女子美さんには職員の知り合いも多いし、この中学ならパパのコネで入学できるよ」とついかっこつけて言ってしまったけど、ごめんなさい、そんなコネも力もないです・・むしろ「手羽さんの子どもが入ったら何書かれるかわからん」と逆に入学拒否されそうな気もする・・・あかりちゃんが3年後まで覚えてないことを祈ろう・・。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。