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膠とは動物の皮・骨・筋などを煮出した煮汁から作られる接着剤の一種です。
それらのうち生産量が比較的多くポピュラーなのは、皮を煮出したものです。
「膠」という言葉も”皮を煮る”から“にかわ”になったとも言われているくらいです。
日本では牛の皮から作られることが多いですが、他にも鹿やうさぎ、魚など様々な動物から作られます。
主成分はタンパク質の一種であるコラーゲンです。
熱を加えれば液体になり冷やすと固まる特性を持っていて煮こごりやゼラチンをイメージするとわかりやすいかもしれません。
膠から不純物などを取り除いたものがみなさんもよくご存知の食用ゼラチンです。
膠ってあまり馴染みがないようで、実はわたしたちの生活にとても身近なものなんです。
膠は通常、長期保存がしやすい乾燥した状態で販売されています。
絵に使う際には、基本的に乾燥した膠に一定の水分を加えしっかりとふやかし、湯煎で溶かして
使用します。
この湯煎で溶かした膠液と顔料を混ぜて作るのが基本的な日本画の絵具となります。
膠に使われる動物の種類は国によっても違います。
ヨーロッパではうさぎが多く使われていますが、日本では牛が主流です。
他にも、クジラ、犬などを使っている地域もかつてはありました。
材料の動物の違いは、その国の文化の影響、特に食文化の影響が強くでます。
動物をわざわざ膠のために狩猟するということはなく、あくまで動物が食物や日用品として加工される過程で、余った部位を再利用して作るからです。
また、昔はその煮出して余った出涸らしも畑の肥料にしたり、骨は燃やしてボーンブラックと呼ばれる黒色の顔料にしたりしていました。
江戸時代くらいまではそうした先人の知恵もあり、食べる部位以外の部分も余すところなく動物を利用し、ゴミはほとんど無かったと言われています。
また、膠というのは一度別用途で使用した皮からも抽出することができます。
たとえば、和太鼓や剣道の鐔(つば)に皮を使いますが、劣化で交換が必要になった際、その古く余った皮からも膠を取ることができます。
劣化した皮からとった膠は品質が悪いのでは?と思われるかもしれません。
もちろん新鮮なものの方が総合的には良いのですが、古いものにも利点はあります。
膠の粘度や強度は、用途や作家の好みによるので、一概に新しいものだけが良いとは言えないのです。
同じ膠でも夏の気温が高い空間ではなかなか絵具が固まらずに描くことができず、反対に冬の寒い気温ではすぐに固まってしまうため自由が利かなくなってしまうこともあります。
そのため昔のような空調が整っていない空間ではその時々の状態にあわせて膠の溶かし具合や種類を工夫したりして適したものを自分で作り出してきました。
現在は主に絵画の画材として使われていますが、合成樹脂が出てくる前は、接着剤の用途で多く使用されていました。それは熱に弱いという弱点が反対に、修復の際などには木材を傷つけずに剥離できるメリットになっているのです。
それが今でも品質の高く高価な楽器の接着や保存修復に膠が使用されている理由です。
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今回は膠基礎知識①として基本的な性質をご紹介しました。
少しでもこうした知識があると、選ぶ際にも違いを意識できて面白くなりそうですよね?
膠基礎知識は②へと続きます。②では膠の使い方についてもう少しご紹介します。
どうぞ次回もぜひご覧ください。
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