【美大受験のギモン】タマグラと視デの違い

今週が頑張りどころな手羽です。

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「美大受験のギモン」シリーズ、 略して「ビダモン」。


受験生の親御さんから質問メールをいただきまして、前回までの話はこちら。
【美大受験のギモン】美大進学のきっかけ
【美大受験のギモン】美大予備校の存在
【美大受験のギモン】美術予備校へ行くべきか

いよいよ本題に入ります。
ただ、「タマグラと視デの違い」をはっきり書くと、視デの先生もこのサイト見てるので「それは違う!」と怒られそうなのと(笑)、狭い2学科のことよりいろいろ応用できる話の方が手羽美★向きだと思うので。


「●●学科と▲▲学科の違いを見分ける簡単な2つの方法」の一つは既に書きましたね。
で、もう 一つは「英語表記を見ること」なのです。

日本語って、実はあいまいで判断が難しい。特に漢字で構成された単語はいろんな意味合いを含んでいるケースが多い(あえてそうしてる場合も)。でも英語表記だとストレートに表現されてるから、悩んだ時は英語に置き換えたり英語表記を見ると、言わんとすることがはっきりするんです。

いくつか例を出してみましょ。
私がよく使う、一番いい例がムサビの「基礎デザイン学科」(略称「基礎デ」)でして。
「『基礎デザイン』だからデザインの基礎を1から教えてくれる学科なんだろうなあ」と誰もが思うはず。「初級デザイン」みたいな。
でも英語表記は「basic design」ではなく、「science of design」なんです。つまり、「基礎英語」の基礎ではなく、「基礎物理学」の基礎ってこと。これを聞くと、ちょっとモヤっとしてたものが少しだけはっきりしません?


タマビ芸術学科(略称「芸学」)の英語表記は「Art Science」。art学科ではなく「芸術(科)学」で、「理論・研究」の色が濃いんだな、と。徐々に実践系へ移行されてますが。
一方でムサビ芸術文化学科(略称「芸文」)は、「Arts Policy and Management」。「政策を考えマネジメントしましょ」となります。


タマビの情報デザイン学科(略称「情デ」)とムサビのデザイン情報学科(略称「デ情」)の違いも英語にするとわかりやすい。
情デは「Information Design」で、デ情は「Design Informatics」。
つまり、情デは「情報をデザイン・創造する」であり、デ情は「デザインを情報学的に分析し、再構築する」ってこと。誰だ誰だ。「単にムサビがひっくり返しただけなんでしょ?」なんて言ってる人は。(手羽です)


佐賀大学さんが新設する「芸術地域デザイン学部」は英語表記が「Art and Regional Design」になりました。「of」ではなく「and」なのがポイントじゃないかと。


で、タマグラと視デです。お待たせしました。

タマビグラフィックデザイン学科は「Graphic Design」で、ムサビの視覚伝達デザイン学科は「Visual Communication Design」。
同じ「デザイン」ですが、微妙に「デザイン」の意味が違うの、わかりますかね?
タマグラは「プロダクトデザイン」などと同じ「図案・意匠」という意味の「狭義な」デザイン、視デは「ソーシャルデザイン」などと同じ「企画・計画」という意味の「広義な」デザインの印象が強い。
何を中心に考えるか?(何を大事にしてるか?)」であり、タマグラは「グラフィックデザインからコミュニケーションデザインを考える」だし、視デは「ヴィジュアルコミュニケーションデザインの中に(の一つとして)グラフィックデザインがある」と考えられます。
タマビの米山さんがワークショップ発表会を見て「タマグラと視デの違いが明確になるね」と言ってたはこの部分。

タマグラは1年から「手」で描く行為を徹底的にトレーニングしますが、視デは入学してすぐにやるのが「目隠しして裸足になって二人一組で構内を歩こう」(笑)


トラストウォーク」という授業で、毎年春や新学期始めに行われるから、この姿を見ると「ああ。新しい学期が始まったんだああ」と感じます。

恐らく「美大のグラフィックデザイン系の授業」と聞いて一番イメージに近いのはタマグラなので、視デ1年は「せっかく高い倍率をクリアして入学したのに、なんでワークショップばっかり・・・予備校で聞いた話とちゃうやん。タマグラ羨ましいなあ・・」と感じてる人が多いかもしれません。
でも、「コミュニケーション」とは「視ること」「感じること」を通じて伝え合うことなので、今まで「オサレなものをつくることがデザインだ!」と教わってきたことを一度リセットして、「広義なデザインから狭義なデザインを考えましょ」という実践教育をやっている・・・ように手羽は感じています。
なので、アウトプットはグラフィック以外にも「ワークショップ」という形があると。タマグラがワークショップをやった。という話はあんまり聞きませんし。

あ。手羽はムサビの人間なので、全然そんな気がなくてもムサビの方を良く書いてしまってるかも。タマビのことは2割増し、ムサビのことは8割ぐらいで解釈してもらえるといいだろうし、詳しくはやっぱり先生に聞いた方がいいっす。


「本題よりも導入が長い」という信じられない結果ですが、こんな感じでいかがでしょ?

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。