【美大受験のギモン】美術予備校へ行くべきか

今日は某大学に一日いる手羽です。レポートできるといいのだけど、どうかな?

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「美大受験のギモン」シリーズ、 略して「ビダモン」。
盛り上がってまいりました!(一人で)


もともとこのPARTNERのライターになろうと決めたのが、恐らく20年前ぐらいに美大を卒業したであろう人が「それ、いつの話をしてんねん・・」な適当な美大や美大入学の知識で書いた記事を見つけて・・・しかも結構なアクセス数で・・・、「これを真実だと思って受験を考える親御さん達がいるってことなんだなあ・・でも、美大が発信してる情報と求められてる情報がマッチしてないってことでもあるんだよなあ・・・まずいなあ・・・ラウンジでブログ書いてる場合じゃないなあ・・」と思ったのがきっかけだったりします。
いや、手羽の情報もかなり適当で(笑)ベースとなる体験談は古いけど、もう少し「今の美大」を踏まえた話が書けるはずなので。


受験生の親御さんから質問メールをいただきまして、
【美大受験のギモン】美大進学のきっかけ
【美大受験のギモン】美大予備校の存在

美大予備校の話をお送りしています。
あ、昨日は「美大予備校」と表記してますが、ほとんどの美大予備校は「●●美術学院」「●●美術研究所」という名称なので、手羽は普段「美術予備校」と呼んでます。恐らく美大関係者は「美術予備校」派が多いと思うのだけど、どっちが一般的なんだろ?
よく見たら昨日の記事もごっちゃになってますね(笑)
以下、慣れてる「美術予備校」で。



美大に入学したい人は美術予備校に行くしかない。
昨日書いたこの考え方は、先ほど書いた「20年前に美大を卒業した人」がよく書いてることです。
でも、昔と違って「美術予備校に通うことが美大合格の近道とは言いきれない」という話を。

グラフィックデザイン・プロダクトデザイン・・・と、第2次産業的なものは学問領域としてだいたい出そろっているので、新しい学問分野、つまり新しい学科を考えた時、社会が現在求めてる第3次産業的な内容になることが多いです。それは「情報」「企画」「サービス」「文化」「ソーシャル」「コミュニケーション」などなど。
となると、「制作」よりも「企画政策力」とか「構成力」「思考力」「情報収集能力」「文章力」「コミュニケーション力」等、「モノ」より「コト」を重視とするカリキュラム構成になり、入試は実技よりもそういう面を見るための試験を重視するようになります。

脱線するようで本題に関わる部分を。
よく受験生には「その学科がどういう学科なのか、●●学科との違いを見分ける簡単な方法が二つあるよ」と伝えています。
一つは、「実技試験など、その学科独自の試験を見ること」。

実技入試など学科独自の問題文には『こういう人材が欲しい』というメッセージが含まれています。
「うちの学科はこういう人材が欲しくてそのためのカリキュラムを用意してるんだけど、あなたはこの問題に対してどう理解してどう表現しますか?」と問うているのが入試であり評価のポイント、「あなたはよく理解してるし、その能力が高いですね」が合格となります。
予備校で習ってる「入試テクニックの傾向」だけで見てると、前年とちょっと問題の出し方が違うだけで「傾向が変わった!!」と大騒ぎになっちゃうんだけど、「問題文の本質」、つまり「●●学科の学びの本質」を理解していれば、「問題の出し方は去年と違うかもしれないけど、いかにも●●学科らしい問題」と感じられるはずなのね。
見分けるもうひとつの方法は後日書きます。

話を少し戻して。
なので新しい学科は比較的その手の能力を見る試験・・つまり、実技以外に数学・小論文等の選択肢が用意されてるケースが多く、その場合は美術予備校に通わなくても入学できます。
もちろん、「純粋な美大希望者が減ってきてるから、今までとは違う領域を目指してる子も獲得しなくちゃ」という美大の思惑もあるわけですが。

実技重視の学科でも推薦入試やAO入試を実施するようになってきてるので(タマグラと視デはやってませんが)、「必ずしも美術予備校に行かなくちゃいけないわけではない。ま、2,3ヶ月通って基本デッサンを習うぐらい?」な考え方が増えてきてるのも事実です。

多くの美術予備校で教えていることは、悪くいえば「美大に合格するための実技テクニック」であり、あんまりどっぷりあの世界を味わってしまうと、「美大予備校で習った絵=社会で通用する絵」と勘違いしちゃて、美大に入ってからも伸びない傾向にあります。必ずしも美大予備校にべったり通うのがいいことではないんですね。

ハンター×ハンターで例えるなら、美術予備校の存在を知らずに美大を目指すことは、極寒の地で全裸で凍えながらなぜつらいのか気が付いてない状態であり、その美術予備校に入っても、念の基本「纏」「絶」「錬」「発」を教えてもらう場所なのだけど、それを念の全てだと勘違いし、そのままグリードアイランドに行ってはいけないようなもの。
・・・・ってこの例え、何人ぐらいの人がわかってくれるんだろう・・・・。

また、美大にも思惑があるように、美術予備校も商売なので、浪人してもらった方がお金になるし、宣伝できるような学科に多く入ってもらいたい。自分は建築をやりたいんだけど、「タマグラ受験しなよ」と言われたり。
ハンター×ハンターで例えるなら、強化系のカストロが系統の相性が悪い具現化系と操作系の複合能力(ダブル)を覚えて負けたように、「本来は建築系なんだけど、講師にいわれるがままにグラフィック系を目指したら二浪した」的な。
・・・・・もうハンター×ハンター例えはいいですね・・・・。


あ、美術予備校を否定してるわけではないので、そこは勘違いしないでください。
私は「美術予備校に行って良かった派」なので(笑)
おっと、美大進学を反対されてる受験生のために、ムサビ日本画OBから貴重なアドバイスをいただいたので最後に紹介しておきます。
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予備校主催の大学説明会は重要で、頭の固い(というより親父の親戚が昔カーデザイナーをやって失敗して大変なことにあったので自分が美術方面に行くことに警戒していた)親父がすこし納得した。そういう説明会に親を引っ張り出して説得するのがすごく大事。家の家族会議だけだとまず、説得不可能でしたので。

大事なのはオープンキャンパス以外の場所で、大学の教員と親御さんたちが顔を合わせる場を予備校がセットしてくれる(大手に限る)し、美術に理解が少ない親を説得できそうな数少ない場なのでそれは活用した方がいいかなぁとは思います。
もちろんオープンキャンパスで大学でやってることを見るのもいいけれど、でもまず入るには?てところになるとやっぱり構えますし。今だから言えますけど親父は「日本画?画壇とかにコネがないと入れないだろう?そんな世界に行きたいのか」って本気で思ってましたもん、大学側の話聞くまで。

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では、いよいよ次回から本題に入ります。


続くっ!!

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。