【美大受験のギモン】美大予備校の存在

この話、絶対に長くなると思ってた手羽です。

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タイトルとバナーを変えて、「美大受験のギモン」シリーズとしました。
略して「ビダモン」
「・・・って、『受験』の存在は?これじゃ受験くんが仲間外れでかわいそうじゃん。せめて『ビダジュモン』にしてあげて」とかそういう細かいこと言うやつは、わたしゃ、嫌いだよっ。
ビダジュモンだとなんかデジモンみたいだし、ビダルサスーンみたいじゃん(意味不明)。


受験生の親御さんから質問メールをいただきまして、詳しくは昨日の記事をご覧ください。
【美大受験のギモン】美大進学のきっかけ

質問に答える前に、もう少し導入が必要で・・・。
というのも、手羽としては
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娘は、武蔵野美術大学の視覚伝達デザイン学科を第一志望としていますが、予備校の勧めもあり、多摩美術大学のグラフィックデザイン学科を第二志望にしています。
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この「予備校の勧めもあり」という部分をちゃんと補足しなくちゃいけないかな、と思いまして。
ここに書かれてる予備校とは、恐らく「美大予備校」のことです。
昨日の記事ではサラっと書き流しましたが、これから美大を受験しようと思う方からすれば「美大予備校??なにそれ?」なわけで。
でも、美大と美大予備校の関係は切っても切れない関係であり、少し・・・長々と美術予備校について、ムサビ日記時代に書いたお気に入り記事を使いながら説明させてもらいます。


「HUNTER×HUNTER」(ハンター×ハンター、略称H×H)という漫画をご存知ですか?
・・あ、以降ネタバレ含みますので、「これから読もうと思ってたのに!」という人はここから読まない方がいいです。


全く知らない方のために簡単に書くと、まだ見ぬ父親ジンに会いたいゴンという少年が「ハンター」という資格を取るためハンター試験を受ける、という話で、1998年にスタートし、いまだに続いている長期連載漫画です。
えーと、ただ20年近く続いてる割には単行本は32巻までしかでてなくて・・・えーと、それがなぜかは・・・ご自分で調べてください・・。

ドラゴンボール等にみられる「パワーのインフレ」(強い敵を倒したら、もっと強い奴がいて、修行してそいつを倒したら、もっと強い奴がいて、また修行して・・の繰り返し)の要素もないことはないのだけど、単純に力と放出系技で相手を倒すのではなく、心理戦やゲームのルールにのっとって戦うところがこの漫画の特徴であり魅力です。あっさりバトルが終わってしまったり。
「手羽が一番好きな少年マンガをのべよ」と言われたら、間違いなくH×Hですね。
 

 
で、無事にハンターライセンスを取得したゴン。
これで何でもできると思ってたら、実は「ハンター試験」っていうのはあくまでも入り口であり、体内オーラを使った「」という力が使えないとハンターの世界では通用しないことを知ります。
私、最初にH×Hを読んだ時、「ゴンが念の存在を知らされた瞬間って、自分が美大予備校の存在を知った瞬間に似てるんだろうなー」と感じたんですよ。


周りから絵がうまいと褒められ続け、「将来は美大かなあ・・」と思っていた手羽は、高3になる直前に親から「美大のための予備校」というものの存在を教わり、連れて行かれます。
美大受験の情報は全くなかったから、「え?え?絵が好きだったり、うまい人がいくのが美大じゃないの??そのための予備校?なにそれ??」ですよ。そして中に入ると、信じられないくらい上手なデッサンを描いてる同世代が沢山いて、「ええええ。こういうデッサンって大学に入ってから教わって描けるようになるんじゃないの??」という驚き。

美大はデッサンやイラストを上手にしてくれる大学」と普通は思いますよね。
その美大に入るために超絶なデッサンを描けなくちゃいけないなんて思うはずがない。そして、自分より絵がうまい同世代が地元にこれだけいるってことは全国だと・・・・もう言葉にもなりませんでした。いかに自分が描いてたイラストや漫画が幼稚なレベルだったか、そして高校で「絵がうまい」と言われてることと「美大に合格できる実技レベル」の次元があまりにも違うことを一瞬で悟りました。
今まで住んでた世界と別次元の世界が近くにあること。
その存在を知らされなければ一生素通りしてた世界であること。
まさに自分からするとゴンが念の存在を知った瞬間と同じだったのです。

どんなものでも、デッサンが全ての基本であることには間違いありません。
構図の取り方。影の奥深さ。光と物質の関係。質感・量感という概念。ナンにでも応用が利きます。
「アニメを描くにも結局はデッサン力」って話をよく聞くし、大手ゲーム会社の人事部の方が「オペレータはそのへんにいっぱいる。一番欲しいのはちゃんと手で絵が描ける人」とおっしゃってました。一度は誰かに教えてもらった方がいいものであり、それはやはり美大予備校や画塾で学ぶしかないのも事実です。
美大で念の応用「凝」「周」「堅」「円」などを体得し、自分の必殺技を繰り出すには、結局念の基本が出来てないとダメで、念を目覚めさせる方法は2つあるけど、美大予備校はウイングさんがやったようにムリヤリ起こす行為をやってくれる場所・・・といえるかもしれません。

作家になりたくて美大受験を考えてる方は、「経験」として、一度は美大予備校か近所の美大進学指導をしてくれる絵画教室に行ってみるといいですよ。「県で絵画の賞を取った」「高校で一番漫画がうまい」はせいぜいハンター試験を合格したぐらいのことで、早い段階で「念」の存在を知った方がいいです。
自分で「自分は絵が得意」と思ってる人。それって、好きな漫画やアニメをトレースしてるだけではないですか?


質問にあった、タマグラと視デは、推薦入試もAO入試もやっていません。学科と実技試験のみ。
受験倍率も私が入職した頃は30倍とか40倍で、今でこそ10倍ぐらいになってますが、それでも私立美大の中ではダントツに高い二つなので、この二学科を目指す人は美大予備校なりでそれなりにデッサンと平面構成のトレーニングを行わないといけなかったりします。


でも、・・・という話が次回。

続くっ

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。