宮城出張レポートをお送りしています。
これまでの話はこちら↓
■【宮城旅シリーズ】仙台大観音と仙台城跡に行ってきた
■【宮城旅シリーズ】宮城第一高校と仙台美術研究所に行ってきた
■【宮城旅シリーズ】宮城野高校美術科卒業制作展に行ってきた!
11月17日(日)、7時半に車を借りて北陸道へ入り、9時前に目的地へ到着。
それは
石巻市にある複合文化施設「マルホンまきあーとテラス」です。
工場や煙突、倉庫、家が立ち並ぶ、昔の賑やかな港町を表したような外観になってます。
マルホンまきあーとテラスは、東日本大震災で石巻市民会館と石巻文化センターが被災したため、ホール、展示室や研究室、博物館を併設した新たな多機能型文化複合施設として2021年に誕生しました。
ちなみに「マルホン」は施工も手掛けた地元の丸本組によるネーミングライツで、「まきあーと」は愛称応募で選ばれた、石巻の「まき」と芸術の「アート」を組み合わせた造語。
設計は藤本壮介建築設計事務所。
藤本さんは大阪・関西万博の会場デザインプロデューサーをはじめとして、武蔵野美術大学 美術館・図書館の設計もされてます。
マルホンまきあーとテラスとムサビは不思議なご縁でつながっていて、藤本さんもそうですが、実は
名誉館長の林家たい平さんはムサビ視覚伝達デザイン学科卒なんですよ。
たい平さんはムサビ生時代に石巻で落語家になるのを決意した場所。第2の故郷と昔から公言していて、サンドウィッチマンと一緒に「いしのまき観光大使」もされてます。
たい平さんの声掛けで、ムサビは2011年12月に「石巻支援アート押しプロジェクト」として作品を贈呈してたりします。石巻とはここからつながりがありまして。
さ、中に入ってみましょ。
メイン入口の横にはカフェ。
研修ブース。
特徴的なのは外観だけじゃなく、真っ白な空間の中に目立つサインもそうです。
東西約170mのメインストリートにお店の看板のようにサインが突き出しているんです。
「集まり」「賑わい」「昭和の商店街の小路」がテーマなのかな。
右手奥が大ホール。
2階のこの感じはなんとなくムサビ図書館を思い出します。
いやー、いい空間だー。
・・いけね。心の中のアツシ・ワタナベが出てきてしまう。
建もの探訪が本来の目的じゃなかった。
まきあーと内にある石巻市博物館の企画展示室へ。
こちらで11月17日から
武蔵野美術大学×石巻市博物館「森と海の美術展」がスタートしたのです!
石巻市とムサビはこれまでの活動から、2024年5月に⽂化芸術振興に関する連携協⼒協定を締結しました。締結後の第1弾企画として始まったのが、この⽯巻市博物館との合同アートプロジェクト「森と海の美術展」プロジェクト。
協定式翌日に樺山学長とムサビ生、⽯巻市の中学⽣・⾼校⽣が牡鹿半島の御番所公園やのり浜を訪れ、作品制作の題材をみつけるフィールドワークを⾏ったのです。
そこから夏にかけてムサビ生・中高生合同での作品制作や樺山学長による中間講評を重ね、この展覧会を迎えた、と。学生さんは自主的に石巻に通ったりもしたそう。
9時ジャストにロビーで開幕式。
樺山学長のご挨拶。
左でビデオを回してるのが、教養文化・学芸員課程の加藤幸治先生で、このプロジェクトの中心人物です。東北学院の教員時代に、津波で被災した石巻市の考古・民俗・地学資料の文化財レスキューをされてました。
あ、学長と加藤先生には会場へ行くことは黙ってたので「なんでいるの?!」と驚かれた(笑)
そして、いよいよ展示室へ。
朝1から沢山のご来場ありがとうございます!
右側に中高校生の作品と配置され、その間をつなぐ正面には
樺山学長が石巻で制作した新作「顕・あらわれ」がサプライズ展示されてました。
学長に「学長の絵でトップクラスで好きな絵かも」と偉そうにコメントしちゃった。
ギャラリートークとして、まずは樺山学長が自作品解説。
金華山がモチーフになっていて、人間が森をかき分けて初めて金華山を見つけた時の景色を想像して描いたそう。きっとこの世とは違うもの、あの世をイメージしたんじゃないかと。
面白いエピソードがあって、この絵を描いてる時に娘さんが「真ん中の黒いの、クジラみたいだね」とおっしゃったそう。牡鹿半島の鮎川浜といえば明治時代から発展した捕鯨の町。何か運命的なものを感じたのだとか。
ちなみに加藤先生は、樺山学長の「スピリチュアル」な話がお気に入りだそうで、ワークショップで語られた「樺山語録」を展示してました。
そして、中高校生の作品講評会スタート!
生徒さんが作品解説をして、学長やムサビ生がコメントしていきます。
ムサビ生は「中間プレゼンで作品を見た時から気になってた」と生徒さんとずっと並走してたのがわかるあたたかいコメント。
ところで、昨日の記事で紹介した宮城野高校の伊藤隆文先生が会場にいたから、「生徒さんの引率でやってきたんだろうなあ」とずっと思ってたんですよ。
「こんないい機会はないんで、無理やり頼んで参加させてもらってた」んだそう。なんと参加者側だった(笑)
「先生だから厳しめの講評でもいいよね?」と樺山学長。
手羽は東京に戻らないといけないので、講評会の途中で離脱。
展覧会は12月15日まで開催されてます。入場無料なので、ぜひお越しください!!
帰ろうとして、資料閲覧室の前を通ったら、
ムサビの資料が独占してた。
ま、もっと言うと、この日の午後は、
たまたま林屋たい平さんの二人落語が開催される日でもあり、こっそりムサビが1日占拠してたんですけどね。
東京へ帰る前にどうしても立ち寄りたいところがあったので車を走らせる。
もちろんこちらです。
長くなりそうなので、まさかの明日に続くっ!!
以上、徳島旅シリーズもまだ終わってないのに、宮城旅シリーズがこんなに続くとは本人も全く想像してなかった手羽がお送りいたしました。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。