【中から見た五美大展】令和元年度 第43回 東京五美術大学連合卒業・修了制作展に行ってきた

2020年2月24日(月)

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2月22日(土)、手羽は六本木を歩きまくってました。
午前中の動きはこちら
【多摩「逆」美術大学 「反転」学科】未来の学校祭とshide CONTACT 2020に行ってきた

で、午後は

国立新美術館!
「都心で広大な敷地に文化施設がある時は、だいたいは軍事系施設があったところ」というのがあって、六本木のミッドタウンももともとは防衛庁本庁だったし(もっと遡ると毛利家下屋敷)、この国立新美術館は東京大学生産技術研究所の跡地につくられましたが、戦前は二・二六事件にも関与した旧陸軍第一歩兵師団第三連隊の兵舎でした。(今も別館として少し残ってます)
ちなみに国立新美は収蔵品がないので、英語名称は「Museum」ではなく「ART CENTER」。


その国立新美に何しに来たかというと、

令和元年度 第43回 東京五美術大学連合卒業・修了制作展
●会期:2020年2月20日(木)-3月1日(日)
●時間:10:00-18:00 *入場は17:30まで
●休館:2月25日(火)


通称「五美大展」です。
五美大展については先日書いたこちらの記事を参照ください。
【2/20から国立新美で開催】東京五美術大学連合卒業・修了制作展に関する5つの豆知識【外から見た五美大展】

「てか五美大ってなんやねん」という方は2015年に書いたこちらの記事をご覧ください。
五美術大学と五芸術大学
ちなみにこちらの方が同じような内容を書かれてますが、
【意外と簡単】五美大と五芸大の違い【詳しく解説】
2017年に嵯峨美さんが復活して、「純粋な美術大学」は現在6校になっています(笑)


今年1階は


  • 誠実な青のムサビ


  • 高貴な紫の女子美

2階は、


  • 幸福な黄色の日芸


  • 調和な緑の東京造形


  • 情熱な赤のタマビ

という会場構成になっていました。


五美大展の歴史に少し触れます。

五美大展は約40年前、東京都美術館でスペースが空くことになり、ムサビ版画・清水昭八先生に「ムサビで使いませんか?」と話があったけど、「せっかく都美館使えるんだから、ムサビだけでやるのはもったいない」と他美大の知り合いの先生達に声をかけたのが最初と言われており、なので第1回五美大展はムサビが幹事校だし、ファインアート系のみの展示なのです。
・・ってこれはあくまでもムサビの人間が引き継いできた話なので、脚色されて本当は全然違うかもしれません。幹事校持ち回り制だとこのあたりをちゃんと引き継いでいく人がいなくて。詳しい方教えてください・・。

最初から全員参加は無理だろうから、多分有志展か選抜展から始まったんじゃないかと手羽は推測してます。それだと大抵参加者が減り出すんで、徐々にほぼ強制参加状態になったんじゃないかと。
各大学の学生数が増えたことも影響し、手羽が学生時代に出品した頃の日本画・油絵は壁に2段掛け・3段掛けってのが普通で、手羽が幹事校を担当した当時も「会場を拡大するか、選抜展にするか、2期に分けるか、場所を変えるか、やめるか」って議論をしてました。

これがいわゆる「3段掛け」で、公募展や地域高校文化祭などではよくある風景ではありますが、美大の卒展でこれはどうなんだ、と。
なので、大学によっては「卒展とは別に五美大展用の小作品を一個作る」などで対応してきたけど、それでも全然壁面が足りない。

なおかつ都美館は老朽化が進んでて、バリアフリーなんてありえないフロアー構造だし、ぼろっちい有孔パネルに、確か照明も普通の蛍光灯で、そこに2段掛け・3段掛けだから、「なんのためにやってるんだろ?」とやる側もモチベーションが下がる一方。

そこに「2007年に国立新美術館竣工」「都美館が2010年から2年間の大改修工事による休館」という話が浮上し、「五美大展を広い国立新美でやるか、いったん休止し3年後に都美館で継続するか、いっそ五美大展をやめるか」を長く議論した結果、2008年の第31回五美大展から国立新美で開催するようになりました。

さすがに3段掛けとかはなくなりましたが、都美館時代は750人ぐらいの出展数だったのが今は1000人前後に増えてるし、都美館もそれなりにレギュレーションが厳しかったけど、国立新美はより厳しいルールになってるし、なおかつ「社会の目」も昔より厳しくなり、「学生さんと大学と美術館での調整」(言葉を選んでます)が以前よりも難しくなっているように感じてます。


話が長くなりました。ここからは展示風景を紹介していきましょう。


  • 女子美さんの立体系は昔から好き。


  • 1階の屋外展示場の存在に気が付いてない人も多いのでは?

おっと、もうすぐ2時だ。

急いで3階の講堂に上がり、こちらに参加。

■シンポジウム「外から見た五美大展」
●日時:2月22日(土)14:00-16:00 *開場:13:30
●定員:260名(先着順)
●登壇者:黒瀬陽平(カオス*ラウンジ)|田村かのこ(札幌国際芸術祭2020コミュニケーションデザインディレクター)|成相肇(東京ステーションギャラリー学芸員)|長谷川新(インディペンデント・キュレーター)|藪前知子(東京都現代美術館学芸員)
●モデレーター 杉田敦(美術批評、女子美術大学教授)
●五美大展シンポジウム実行委員会:飯田竜太(日本大学芸術学部)| 大島成己(多摩美術大学)| 小林耕平(武蔵野美術大学)| 末永史尚(東京造形大学)| 杉田敦(女子美術大学)| 冨井大裕(武蔵野美術大学)


このシンポが楽しみで楽しみで・・・っと書き出すとさらに長くなっちゃうので、続くっ!
関係者にはかなり厳しい意見ばかりだったけど、書かないわけにはいかない。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。