タマビ「クリエイティブリーダーシッププログラム(TCL)」開講発表記者会見に行ってきた

2019年11月22日(金)

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11月21日(木)、有休を取って六本木のミッドタウンへ。

芝生広場はイルミネーションの準備真っ最中でした。

地下1階のホール前を通ると、

あ、もう明日からなんだ。
こちらです。
慶應義塾大学 SFC Open Research Forum2019

●会期 :2019年11月22日(金)・23日(土・祝)10:00-20:00
●会場:東京ミッドタウン
●入場無料 事前登録不要

SFC Open Research Forum 、略してORF。
手羽のオススメ展示。規模が美大のそれと全然違って、これを見ちゃうと小平や八王子に籠ってる場合じゃないなあ、と感じます。
詳しくは以前書いた記事をご覧ください。
【手羽が気になる美大以外の展示】東京大学制作展2019とSFC Open Research Forum2019と科学と芸術の丘2019

そのまま5階のデザインハブへ。

●会期:2019年11月25日(月)~12月25日(水) 会期中無休
●時間:11:00-19:00
●会場:東京ミッドタウン・デザインハブ
●入場料:無料
●企画・運営:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科

視覚伝達デザイン学科、略して視デが運営主体となって開催される大規模な展覧会。
詳しくはやはり以前書いた記事をご覧くださいませ。
【若者を信じよう】東京ミッドタウン・デザインハブ企画展 「ヴィジュアル・コミュニケーション・デザイン・スタディ」が開催されます【11/25(月)-12/25(水)】
手羽が社会連携チーム時代に視デへ依頼してるので、この展覧会までは気にかけてないとな、と。
2週間前からこもって作業をしてるそうで、ほんとお疲れ様です。少しだけ差し入れも。

と、幸せにやってるとお隣のリエゾンセンターがなんか慌ただしい。
看板を見ると

え?

タマビ?
クリエイティブリーダーシッププログラム開講発表会?!
なんじゃそりゃ?!?!

というわけで、こっそりプレスの振りをして潜入して聞いてきました。
以下レポートをお送りいたします。


  • 最初は青柳理事長の挨拶。「経済社会が閉塞状態にあり、それを打ち破るのはデザイン思考じゃなかろうか」


  • 建畠学長「美大が企業のイノベーションに寄与する必要がある。その目玉となるプログラムとしてTCLを立ち上げた」。青柳さんも建畠さんもお忙しい二人だから日程調整が大変だったろうなあ、と思ったり

そして、統合デザイン学科教授でもある永井一史先生が、この「多摩美術大学クリエイティブリーダーシッププログラム、略してTCL」について説明されました。
2017年に本プログラムを構想起案したそうで、骨格にあるのが永井先生もメンバーとして参加された「産業競争力とデザインを考える研究会」が発表した「デザイン経営」宣言です。
デザイン経営について詳しくは去年書いたこちらをご覧ください。
【緊急開催】「デザイン経営」宣言カンファレンスに行ってきた

ちなみに永井先生はTCLエグゼクティブスーパーバイザーでもあります。


  • グーグルトレンドでは「デザイン思考」の検索数が急激に上がっている

このプログラムのテーマは「ビジネスに、デザインの持つ創造性と美意識を」


  • ミッション・ビジョン・バリュー


  • カリキュラムのコンセプト。PR会社さんからスライドPDFデータがメールで配信されたきたのでちょっと使わせてもらいます。


  • 求める人材


  • プログラムの講師陣はこちら


  • コアメンバー講師


  • プログラム講師として、こういう方々も登壇されます

フォロープログラムもばっちり。

ここはサラっと説明されたけど、TCL-Labを設立するそう。
概念・組織機構的なものなのか、スペース的なものなのか。

んで、募集概要がこんな感じです。

早とちりの人のために書きますが、新学科や新大学院設立ではなく、「履修証明プログラムを開講するって発表です。以上でレポート終わり。

・・え?もっとちゃんと書け?
でも公式サイトやプレスリリースの方が詳しく書いてあるんで、そちらを読んでもらった方が早いんだもん。
TCL-多摩美術大学クリエイティブリーダーシッププログラム
多摩美術大学、 日本初の「デザイン経営」人材育成のための講座 「TCL-多摩美術大学クリエイティブリーダーシップ プログラム」来春開講
日本初の「デザイン経営」人材育成講座。多摩美術大学が来春開講へ

会場からの質疑応答に入り、
「東京藝大も企業との連携を強めているが、美大の生き残りをかけた戦略なのか?」
「入学審査での面接で問われるのはもちろん意欲が一番だろうが、デザインの下地、バックグランドがない人間が10週間でそれを見つけられれるのか不安」
「BtoC系の消費者に入り込む企業だと必要性を理解すると思うが、BtoB企業だとデザイン経営とか関係ない、と思うのでは」
「この能力がこれから必要だとして、既存学科での教育にはどのように対応しているのか?」
「なんでストレートにビジネスデザイン学科を作らなかったのか?」
などなど、結構突っ込んだ質問がありました。

「日本でデザイン経営が成功してる企業はどこですか?」という質問に永井先生が「やっぱり良品計画さんですね」と答えてました。
ですよね・・。

教務部長であるプロダクトの和田先生含めて4人で記念写真。

いやー、革新的な素晴らしいプログラムですね。

・・って、ち、ちょっと待って!

スルーしようと思ったけど、やっぱりできない。
だって、だって、

ムサビは、その無印良品と一緒にやってる共創スタジオもある市ヶ谷キャンパスで、大学院クリエイティブリーダーシップコースを2019年4月に立ち上げたばかりなんです。
なおかつ、
人望の正体は「リーダーシップ+愛嬌」慕われる人の方程式 劇場から学ぶ、クリエイティブ・リーダーシップ #1/2

2015年には既に学長が「クリエイティブリーダーシップ」という言葉を使ってるんですわな。

講師陣もクリエイティブリーダシップ特論 第二回に登壇してもらった佐宗邦威さんや、デザインハブでつい最近開催したばかりの武蔵野美術大学公開講座2019

に登壇してもらった山口さん、遠山さんとすごくかぶってる。
てか、山口さんにはこういう記事に出てもらってます。
美大教育に革命を。 山口周と長谷川敦士が語るムサビ新学部の可能性|美術手帖

アクシスの編集長さんが「武蔵野美術大学が市ヶ谷に同じような学科や大学院を先に立ち上げてますが、TCLと市ヶ谷との違いはなんですか?」とまるで手羽が仕込んだんじゃないかと疑われるような質問をされたくらいで。


タマビ、それはないんじゃないか!?
うちが本家だああ!!

 

・・・という展開をここで期待されてた皆さん、すいません。
全然そんなことは思ってなくて、「クリエイティブリーダシップ」って別にムサビが作った言葉ではなく、昔からある一般的な単語なんですよ。

IDEOのCEOが説く、組織のクリエイティブな力を引き出す「クリエイティブ・リーダーシップ」とは@thebridge_jp
CLP( クリエイティブ・リーダーシップ・プログラム ) |株式会社ビジネスコンサルタント
クリエイティブリーダーシップで未来の生活をアップデートする。新規事業開発組織「ミライの事業室」発足 |博報堂WEBマガジン センタードット
デンマークKAOSPILOTにはなぜ多くの起業家が学びに来るのか?@CINRANET

大学でも
東京大学ソーシャルICTグローバル・クリエイティブリーダー育成プログラム(GCL)「博士課程教育リーディングプログラム」
名古屋大学 学術研究・産学官連携推進本部 国際産学連携・人材育成グループ クリエイティブリーダーシップ研修
(管理職・中堅向け)「クリエイティブ・リーダーシップ」~Tamagawa Adventure Programについて
立命館大学映像学部キャリア形成科目「クリエイティブ・リーダーシップ・セミナー」
と既にいくつかあります。立命館はちょっと違うかな?
どっちが先か、とかつまらない話で。

一番有名なのはこれかな。
経験学習によるリーダーシップ開発
リーダーシップ開発研究の世界的権威である米国CCL(Center for Creative Leadership)てのがあるんです。

なので、むしろ
●ムサビがやろうとしてることは全然突飛なことではない。むしろ美大でこれまでこの分野に取り組んでなかったのは遅すぎるぐらい
●これからの美大の在り方、社会に寄与できるアプローチをいろんなデータをもとに考えたら、みんなここにたどり着く

とタマビさんが証明してくれたということでもあり、嬉しい限り。


そして先ほどのアクシスさんからの質問に永井先生が「ムサビさんはソーシャルデザインとかビジネスとか広く学ぶ感じだが、TCLはビジネスにフォーカスしてるのが違い」と説明されてました。
これもその通りでして、


●デザイン思考だけではなくアート思考、エンジニアリング思考も含めてクリエイティブ思考
●クリエイティブ思考をベースにビジネス・テクノロジー・ヒューマンバリュー

というのがムサビ・クリエイティブリーダーシップコースの考え方なので、そこが大きく違います。
個人的にはTCLがやろうとしてることは、「クリエイティブリーダーシップ」ではなく「デザイン経営リーダーシップ」じゃないかなあ、と思ったりもしますが。


実は今まで秘密にしてたことがあって。
8月23日に市ヶ谷キャンパスで開催された
【ビジョン人形劇】ソーシャルクリエイティブ研究所発足記念イベント 「日本のビジョンをデザインする」に行ってきた
に永井先生が参加してたんですよ。

1人だけ全然違うオーラを出してて手羽はすぐに気が付いたんだけど、先生方も誰も突っ込まないから一人でドキドキしてたの(笑)
そういうことだったんですね。


ところで、話題の京都造形芸術大学がこういう発表をしています。
京都造形芸術大学通信制大学院に「学際デザイン研究領域」

2020年4月に通信教育の大学院「学際デザイン研究領域」を新設するんです。
あ、ちなみに、
山口周氏特別講義 京都造形芸術大学通信制大学院学際デザイン研究領域 開設記念特別講義
開講記念で山口さんの講義があるそうで、誰が考えてもこのあたりは山口さんや遠山さんって人選になっちゃうんだな、と(笑)
「デザイン思考」というキーワードが大きく使われていて、なにがすごいってネットだけで修士号が取れ、学費も36万円なんすよ。


芸術系大学で一番学生の多い京都造形芸術大学、美術系大学で一番学生の多い武蔵野美術大学、そして多くの超著名デザイナーを輩出してる多摩美術大学が偶然ほぼ同じタイミングで「美大で習得する本質的な思考力を、働きながら学べるカリキュラム」を打ち出して、一番脅威に感じたのは様子見をされてたその他美術大学さんだと思います。
偶然が重なる時ってくすぶってた何かがあり、一気に時計が進むので、どのタイミングで参入するか今日あたり緊急検討会議をされてるんじゃないかと。


以上、

「こっそりプレスの振りをして潜入して聞いてきた」と書いたけど、タマビスタッフから「なんでいるんですか?」「いつもブログ読んでます」と完全にばれてた手羽がお送りいたしました。
ピンク色の忍者状態。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。