【美大職員について】君も大学職員になろう4

2019年9月9日(月)本日ムサビは台風により午前休講です(職員は午前自宅待機)。詳しくは大学公式情報をチェック!

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2019年9月9日現在、学校法人武蔵野美術大学が専任職員の募集を行っています。
学校法人武蔵野美術大学 専任職員募集概要
●雇用形態:専任職員(総合職)〈正職員〉
●募集人員:若干名
●勤務地:鷹の台キャンパス、吉祥寺校、市ヶ谷キャンパス
●採用期日:2020年4月入職
●応募条件:
1)4年制大学卒業以上
2)2020年4月1日時点で、35歳以下(若年層の長期キャリア形成を図るため)
●応募方法
1)マイナビ所定ページよりエントリー
2)応募書類を期日までに送付
●応募締切日:2019年10月14日(月)17:00エントリー完了、10月15日(火)17:00応募書類必着


いい機会なので、大学職員・美大職員についてお届けしてます。
今までの話はこちら↓
【参考になる情報はどこにある?】君も大学職員になろう1
【大学の事務組織編】君も大学職員になろう2
【キャリアステップの考え方】君も大学職員になろう3

今日は「美大職員」について。

手羽のせいか「美大職員は美大卒ばかり」と思われてるフシがありますが、美大といっても大学なので(笑)、ほとんどの専任職員は一流総合大学卒の方達です。

採用実績をムサビは出してないので、タマビの採用実績を見てみると、北海道大学、東京大学、横浜国立大学、京都大学、桜美林大学、学習院大学、慶應義塾大学、国際基督教大学、駒澤大学、上智大学、専修大学、中央大学、東海大学、東洋大学、法政大学、明治大学、立教大学、早稲田大学、同志社大学、立命館大学な大学名がずらりと並んでて、だいたいムサビも同じ感じですね。あとは青学と東京女子大かな。
75人いるムサビ専任職員でムサビOBOGは1割ぐらいだし、他美大さんでの美大卒割合もこんなもんだと思います。
いろんな職員に「なんで美大の採用試験受けたの?」と聞いたことがありますが、明確に美大と自分との関係を語った人はいなくて、「たまたま」とかそんな感じだったかな?面接で「御校の教育理念や活動に感銘を受けまして」とか言ってても、ま、そんなもんです。

というのも美大事務業務で学生や高校生と話をするような仕事、直接美術に関係する仕事はほんの一部の部署。くどいですが美大といっても「大学事務」なので、昨日書いた通り総務、人事、経理、施設管理、IR、法人、監査など表に出ないバックオフィス系や美術の知識をほとんど必要としない仕事の方が実は多いわけで。


  • 全員が高校生相談対応をするわけではありません

なので「美術の知識があんまりないんだけど・・」という方もなんら心配いりません。
嫌いじゃなければ大丈夫。「趣味は美術館に行くことです」なんて取ってつけたように面接で言わなくても問題ないっす。美大職員で月に1度以上美術館やギャラリーに行ってる人は・・どれくらいいるんだろ・・。


個人的には、もっと美大卒業生が美大職員になってほしいとは思ってます。
でも美大生はバックオフィスの存在をイメージしにくいようで、どうしても一般大学卒のジェネラリスト的な発想を持ってる人と比べると美大生は弱く感じられてしまい、最終面接まで上がってこないみたい。美大卒の人が採用面接で熱く「高校生に美術の面白さを伝えたいんです!」「ワークショップと産学経験あります!」「絵を描くのが好きです!」ぐらいのことを語ってるだけじゃ「ふーん・・で?」を思われ逆効果になる可能性が高い、と。

また合議で決めると、トガった人よりも「妥当な人」を選ぶ傾向にあるし、「美大職員試験なんて楽勝」と甘い考えの美大卒より、例え一夜漬けでも大学のことをちゃんと調べて対策してきた総合大卒に印象で負けちゃうようです。ま、なんでもそうですが。

市職員募集枠で神戸市が「デザイン・クリエイティブ枠」、市川市が「クリエイティブ枠」を作ってるし、「創造的思考力」なんていってる某大学はもう少し美大生を採用するべきなんですけどね。例えるなら企業に「そんなに早く内定を出されると勉強しない!」と文句言っておきながら、大学はAO入試を早い時期にやってる的な。違うか。

ただ、美大職員の難しいところは「とはいっても美術の世界と全く無関係じゃない」で、なんやかんやいろんな部署で美術・デザインに関係する仕事が出てきます。教務課だと卒業制作展だったり、学生生活課だと芸術祭だったり。直接ではないけどある程度美術・デザイン事情がわかってないとつらいケース。あ、就職課もそうですね。

だから時々言われるんですよ。「手羽さんはいいですよね。美大卒だからデザインの知識があって」と。
確かにファインアート、特に彫刻の知識と経験は総合大卒の人よりありますが、デザインについては広報、デザイン・ラウンジ、産学を担当するようになって「あ。今の状態じゃまずいぞ・・」と必要に迫られて勉強しただけです。スタートラインは普通の人とほとんど変わらず、社会連携の仕事をやってなかったら多分10人もデザイナーの名前を言えなかったと思います。ほんとに。
関係する部分を優先的に勉強したから、いまだに「応用はわかるけど基礎はない」の状態だし(涙)

逆にデザイン系出身者が油絵のことを語れるはずもありません。
例えるなら、音楽大学でバイオリンやってる人が全員ホルンできますか?で、せいぜい「とっかかり」があるぐらい、超初歩的な知識と「共通する音楽の本質的な学びと楽しさ」は語れるけどもって話。
何が言いたいかというと「ほぼ同じ条件だから、知らないのはあなたが勉強してないだけ。本の一冊でも読みました?」で、そこは美大卒かどうかはあまり関係ありません。


・・・ここまで読むと「全然美大卒が美大職員採用試験を受ける優位点がなくね?」と思うかもしれませんな。
ポイントは「美大の本質的な学びがなんなのか?美術やデザインの必要性は何か?」を自分事として考えた、実感したことがあるか、それを自分の言葉で語れるかどうかじゃないでしょうか。
これは確実に美大出身者の優位ポイントだし、逆に美大卒でそこが言えないと超マイナスポイントになるはず。

例えば、

武蔵野美大、都心で勝負 旗振り役は元出光の豪腕社長 : NIKKEI STYLE
天坊理事長が日経でいろいろ語ってます。(大学職員についても)
ちなみに「武蔵野美術大学」でググると上位に出てくる記事なので、去年の採用試験ではこの記事を読まれた方が多かったです(笑)

天坊理事長は入学式・卒業式でも同じようなことを毎年しゃべってるんで、行間を読めない学生さんや卒業生から「美大卒業して一般企業に総合職で入れと言ってる。そんなに就職率を上げたいのか?ムサビも落ちたもんだ」とSNSで叩かれることが時々あります。
ちゃんと読むと「美大での学びって絵がうまくなることじゃないよね?美大での本質的な学びを経験した人を社会や企業は本当に求めてる。そこに気が付こう」と語ってるのに。

「美大での本質的な学びやその必要性」を体感してる人が美大職員に増えれば、もっと美術・デザイン業界や美大業界、そして社会ががよくなるはずだと信じてます。なのでたとえ総務や経理に配属されるとしても美大卒の美大職員がもっと増えるべきだし、個人的には美大卒ほど役所に就職してほしいと思ってるくらいで。


じゃあ、美大卒じゃない人が本質的な学びやその必要性を知るにはどうしたらいいか。

簡単です。
手羽美術大学★を最初から読めば完璧!!(これが言いたかった)


続く。
次回はいよいよムサビ職員について。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。