東工大×ムサビ合同ワークショップレポートと手羽家の大分・北九州旅行記をシリーズでやってたもんでこのタイミングになっちゃいましたが、話は東工大合同ワークショップ中間プレゼン日だった7月31日(水)の午前に戻します。
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7月31日(水)10時、手羽は
明治大学駿河台キャンパスにいました。
全国大学史資料協議会の会議を明大さんでよくやってるんで、以前はちょいちょい訪問してて、前来たのは熊本地震直後だったから3年ぶりですね。
さすがに夏休みとあって、いつも賑やかなエントランスも人があまりいない(普段はスーツ姿の学生さんがいっぱいいる)
手羽のライフワークとなった大学喫煙所チェック。
行く前から「明大さんのあの場所は確実になくなってるだろうなあ」と思ってたけど、全然変わってなかった。
明大の裏手側にある山の上ホテルは全面改修工事のため11月末まで全館休館中。
って明大に行ったことある人なら、手羽がどういうルートで歩いてるかわかるはず(笑)
で向かった先は
アカデミーコモン。
ここの地下には記念館や博物館があるんですよ。
地下1階には阿久悠記念館があるのご存知ですか?
阿久悠さんは明大卒で、遺族からの寄贈により2011年に記念館が構内にオープンしました。
でもここは以前見たからスルー。
他にも博物館と大学史展示室があるんですよ。
これがなかなかのもので、
でも明大の博物館で一番有名なのは刑事部門の展示。昔は「拷問博物館」と呼んでたけど、今はNGなのかな?
明大の前身は明治法律学校なので、学生に法学の歴史を教えるために作られた博物館なんですよ。古文書の他に拷問具や刑罰具などの道具類が陳列されてるのです。
ここで一番有名なのが、
ニュルンベルクの鉄の処女、いわゆるアイアンメイデン。
手羽は拷問博物館で「へー。アイアンメイデンってここからきてるのか」と知りました。
ちなみに「アイアンメイデンは空想上の拷問具」という説が有力です。
と、ここも何度も来てるので華麗にスルーして、今日の目的地は特別展示室。
「見えているのに見えていない!立体錯視の最前線」展!!です。
明治大学先端数理科学インスティテュート(MIMS)は、社会や自然にかかわる現象の数理的解析を課題とする国際的研究拠点で、研究テーマの一つに身近で不思議な現象である「錯視」の解明があります。
この展覧会は、錯視研究が始まった意外なきっかけ、錯視とはどういうことかを考え、錯視を研究する社会的意義を明らかにしよう、という展示。私立大学研究ブランディング事業にも採択されてますね。
去年も同様の展示が行われてたんだけど、タイミングが合わなくて、ようやく今年来ることができた。
これらの錯視をずっと研究されてるのが杉原厚吉 特任教授。
専門は数理工学で、ロボットの目を開発する研究の中で不可能図形のだまし絵を立体化する手法を見つけたそう。これまで様々な不可能立体を創作して、国際ベスト錯覚コンテストで2010年、2013年、2018年と3回優勝されてます。
今回手羽も初めて知ったのは、どんどん研究は進化していて、
誰もが「錯視」と聞いておもいつくエッシャー的というかトリックアート的なものは第1世代にあたり、今の研究は第9世代まで進んでるんだそう。
見慣れてるはずの錯視が研究によって更に進化してるって、なんか面白いと思いません?展覧会名の「見えているのに見えていない」はここにもかかってるんじゃないかしら。
今まで紹介してきたのは第2世代までのもので、
どうやって計算して作ってるのか・・・考えれば考えるほどすごい・・。
ただ。
第3世代以降は比較的どこから見ても「錯視」を認識できるのだけど、第1、2世代あたりだと、かなり視点が限られてるんです。ある一点からじゃないと錯視にみえないのね。細かいものは特に。
サラっと写真アップしてますが、両目で見るとなかなか探せず、片目かもしくはスマホ越しに見る必要があり、「ここかな。うーん、もう少し右か・・でちょい下で・・おお。ここからなら見える!!」と視点を探さないといけない。
例えば、
これなんかも、ちょっと視点がずれると
残念な感じになります(笑)
トップの画像も、何10枚と撮っての1枚でして。
子供にもぜひ夏休みの宿題の参考にしてほしい(この時期にやってるのはそういう意味もあるはず)とは思うけど、この「視点」が見つからないと子供にはつまらないので、特に第1,2世代については「ここから見ると見えるよ」マークみたいなのがあれば(踏み台も用意して)いいかもしれないな、と感じました。視点を探す楽しさもあるけど、子供はその前に飽きそうで・・。
そういう意味でも「立体錯視はどんどん進化してる」と言えますね。
立体錯視を研究する意義もちゃんと説明されてました。
車を運転している時、上り坂なのに下り坂のように感じることがあります。これは奥行きの錯視であり、そういうところで渋滞が起きるし事故も起きやすい。つまり「なぜ錯視が起きるのか?」を研究することで「どうしたら錯視が起きにくい安全な生活環境が作れるか」を知ることができる。
考えてみたら、瞬時に映像情報で判断しないといけない道路は錯視がよく使われてますよね。道路が狭く見えたりスピードが出てるように見せて速度を落とさせる手段は一般的になってるし。
そしてアカデミック・・というか大学広報的に考えるなら、立体錯視は応用数学・現象数理学であり、「数学がなんの役に立つのか?」を子供たちにもわかりやすく説明するにはもってこいの素材と言えます(私立大学研究ブランディング事業の鏡)
こういうアプローチを美大でもどんどんやってかなくちゃいけませんね。
この展示も美大が絡むともっと面白くなりそうだなあ、と思ったりも。
というわけで、この展覧会はお盆明けから再開してるので、ぜひお子さんといっしょにお出かけください。杉原先生によるギャラリートークもありまっせ。
▼特別展「見えているのに見えていない!立体錯視の最前線」
●会期:2019年7月13日(土)~9月8日(日)※8月10~16・18日は休館
●会場:明治大学博物館 特別展示室
●時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)
●料金:無料
●関連イベント:【ギャラリートーク】
・日時:8月23日(金)、9月5日(木) いずれも14:00~
・講師:杉原厚吉(明治大学研究特別教授)
・申込不要 当日特別展示室にお集まりください
●主催:明治大学
●企画:明治大学先端数理科学インスティテュート(MIMS)、私立大学研究ブランディング事業「数理科学する明治大学」錯視学研究チーム、明治大学博物館
以上、
明大の男子トイレへ入るたびに「もっと前に行けるよ!自分で制限しちゃダメだ!頑張れ!!」と励まされてる、もしかしてこの表示が今の明大さんの元気のパワーになってるんじゃないかと思ってる手羽がお送りいたしました。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。