【入学式の服装は?】美大新入生に6つのアドバイス【友達作りは?】

2019年3月31日(日)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

いよいよ明日から新年度。
美大に入学される方は、ワクワクと同時に不安を抱えてると思うので、多くの新入生が疑問に思ってることに答えていきます。
「●●があると便利」「あの授業を取れ」みたいな話は学生さんに聞いてもらった方が早いので、手羽は「考え方」「捉え方」を中心に書いています。
あ、ムサビ基準で書いてますが、どの大学もだいたい同じだと思いますのでご参考に。

 

(1)美大の入学式ってどんな服装でいけばいいの?
新入生の入学式に関する一番の不安・疑問はこれでしょう。
結論は「なんでもいいよ」です。はい、終了。
・・・って、これだとあっさりすぎます?

面白いもんで、周りに縛られない自由を求めて美大を目指したのに、いざ本当に自由になると結局周りが何着るのか心配になっちゃう・・人間なんてそんなもんっす。入学式につなぎ着てこようが、ジーンズはいてこようが、Tシャツだろうが、それで「なんて非常識なやつだ!」と怒る人は美大にはいません。なんせムサビには卒業式も入学式もTシャツを着てる教員がいるぐらいなんで。多分式典用のTシャツ(笑)

でも迷ってるならスーツでいいです。スーツ着ときましょ。 多くの方が就活でも使える紺か黒のスーツです。
参考にいろんな美大の去年の入学式の様子を見ていきましょ。
ここから服装や式の雰囲気もわかるはず。





東京藝大だろうが、卒業式の奇抜な仮装で有名な金沢美大やタマビだろうが、入学式はこんなもんで、コスプレはさすがにいません。
ま、別にコスプレしてきてもいいんだけど、美大生だからといって最初に気合入れすぎる必要はないのです。だって今までと違って周りもみんな美大生なので。むしろ「美大を患ってる」と思われてしまうかも(笑)

ある意味、高校生の時のように無理やり「オレはみんなと違うんだ!」な自己主張アピール武装をしなくていいのが美大入学のメリットかもしれませんね。みんな自分がアーティストやデザイナーだとわかってるし、みんなと違うと思ってるので。いずれ学内で「本物の変な人」に出会えば、「そういうのは作るものではない」ってことがわかると思います。


ただ、デザイン系だと産学連携の企業プレゼン等でスーツを着る機会がちょいちょいあるから、入学を機にベーシックなスーツ一式を(許されるなら)スネかじって買ってもらった方がいいですよ。
で、スーツを買う時に男性だと革靴がポイント。足元は見られてないようで結構人に見られてるからスーツと一緒に購入した方がいいです。
女性だとパンツスタイルかスカートスタイルか悩むと思いますが、シーンを選ばない使い勝手の良さだとスカートかもしれません。大手一般企業の就活だと「この人、面接なのにスカートはいてない」と感じる面接官がまだいるようです。美大やデザイン業界では全然気にされないし、自分に合ってる恰好が一番なんだけどね。

ちなみに手羽も昨日スーツを買いました・・「新調した」ではなく「全然持ってなかったら購入した」ですね。なぜかは明日書きます・・・。

 
(2)入学式は絶対に参加しなくちゃいけないの?
美大を目指すような人であれば、「入学式みたいな大学がやるカタイ場は嫌い。あんなの参加したくない。オレは自由なんだよ!」という新入生もいることでしょう。
手羽はそういう人、嫌いじゃないです。

入学式はあくまでもセレモニーなので、「入学式に参加しなかったら入学取消」なんてこともありません。 出席するか欠席するかは全くの自由です。逆の言い方すると、それをtwitterとかLineで宣言するまでのことでもなく、「参加しないオレ、大学という大きな組織に反逆してるオレ、かっこいい!」とつぶやいてる方が全然かっこ悪いです。そもそもどっちでもいいものなので。

卒業式は「卒業証書授与シーン」という学生さんによるメインイベントがあるんだけど、入学式はそれがないのね(小規模校なら「新入生の名前全員読み上げ」とかはあるかも)。
毎年派手な演出してるムサビであっても、入学式は祝辞ベースで淡々と進行します。
あ、とはいっても上記写真でわかるようにムサビ入学式は高校までの入学式とは明らかに違うから、ムサビ新入生はだまされたと思って参加しといた方がいいよ。
今後は「入学式がこのレベル」というのが基準になるので。

ただ、入学式に出なくてもいいけど、学生証発行と学科別説明会は絶対なのでご注意を。

大学によって違うし、入学式を学内でやるか学外でやるかでも違うけど、入学式後に学生証の発行や学科別の説明会が設定されてる場合が多いです。
また、学生証発行とかそういうタイミングで「学費等領収書」「卒業証明書」などが必要なはずなので、入学式数日前には一度入学手続き書類を呼んでおいた方がいいです。ない場合は急いで実家から送ってもらうことになるだろうしね。

あ。そうそう。健康診断も受けましょう。
「美大生で健康診断ってかっこ悪くね?」と思うかもしれませんが、美大生の前に大学生なのよ。奨学金申請などで健康診断証明書が必要になってくるんです。外部医療機関で受けるとそれなりのお金がかかりますよ。


(3)オリエンって聞かなくちゃいけないもの?
ムサビとタマビの新入生向けオリエンテーション日程はこちら。
武蔵野美術大学|平成31年度オリエンテーション日程
多摩美術大学|2019 年度 美術学部 新入生オリエンテーションについて
ご覧のとおり、しばらくはずーーーーとオリエンテーションが続きます。これはどの大学も。

確かにオリエンって、いかにも仕事をつまらなそうにやってる大学職員が、美大とは思えないデザインのデの字も入ってないカラーコピーのダサい冊子を大量に配って、低いテンションのまま同じ声のトーンでダラダラしゃべってて「これで眠くなるなって無理だよな」「ちゃんと説明したからね、と自分が言いたいがためだけの場?」みたい退屈な会かもしれませんが、参加しないと大変なことになります。
あ、1回の説明ぐらいで単位の仕組みを理解できる人はいないので安心してください。特に美大はカリキュラムが複雑なので。

そしてここが大事だけど、ムサビでは教職オリエン、学芸員オリエン、奨学金説明会等は「出席することが申し込み必須条件」です。希望する方はどんな理由があろうとも絶対参加。これはどの大学でもそうなんじゃないかしら。
稀に「子供がいけないので私が参加していいですか?」と親御さんから電話かかってくることもありますが代理出席は不可です。子離れしましょ。


ちなみにオリエンテーション地獄が終わっても、サークルの説明会やら、著名人による課外講座・公開講座、就職説明会、新歓コンパ、公募説明会等も入ってきます。


  • 去年のミッドタウンアワード学内説明会の様子。今年も4月にやりますよ!

よく「美大は暇で楽そう」と勘違いされてるけど、実技以外に教養科目などの座学授業も普通にあるんで、むしろ総合大学よりも忙しいと思った方がいいです。デザイン系は課題(宿題)も出るしね。
なので、大学の様子がわかるまで・・・できればゴールデンウイークぐらいまで・・欲をいうなら夏までは、アルバイト等「動かせない夜の予定」はいれない方がいいです。
授業でグループワークをやってる時は授業後もグループで打ち合わせをやったりするんで、せめて「午後6時ぐらいまで大学にいるかもしれない」というスケジュールで考えた方がいいですよ。

 
(4)友達ができるか心配なんですが・・
入学式はほぼイベントのみなので、その日のうちに新しい友達ができる人は少ないと思います。初日にグループができてたとしたら、恐らくそれは美術予備校仲間です。
今は事前にLineで友達ができてたりするけど、これからオリエンテーション、サークル勧誘、新入生歓迎会などが続くので、その中で自然と作っていけばいいだけ。焦る必要は全くありません。特にデザイン系はグループワークショップが多いから、嫌でも仲間ができちゃう。

というのも、美大では「友達を作りたい」と思ってるなら、それほど苦労はしない大学なんです。
なぜなら美大授業の特徴でもある「課題発見」「企画・構想」「制作」「発表」「講評」というシステムは、自分の考えや表現をみんなに知らせたり、同じ釜の飯を食べることになるんで、コミュニケーションが自然と発生し、仲間ができる仕組みになってるのね。
なおかつ総合大学だとサークルやゼミ以外はたまり場がないけど、美大だとグループワークが多くあるし、制作は演習室・アトリエ・工房でみんなで長時間使うから、通常の大学よりも友達を作りやすい環境だとも言えるのです。
よく私が書いてることですが、最近になって「アクティブラーニング」だの「ラーニング・コモンズ」だの「思考力・判断力・表現力等の育成」と叫ばれるようになりましたが、美大はそんなこと昔からやってるんですよね。

さらに今は授業・サークル以外でも有志チームがワークショップやったり、イベントやることが増えてます。
ムサビを例にとると、「旅するムサビプロジェクト」(略して旅ムサ)がまさにそう。これは完全な自主活動で「旅するムサビ」に偽りはなく、日本全国はもとより3月には台湾にも行ってます。
「わらアート」もその一つでしょう。

有志40人ぐらいが1週間以上新潟に合宿状態でわらアートを作るんです。
最近記事になってましたね。
「わらアート」と「食」と「西蒲区」を楽しむ座談会 |ようこそ新潟市西蒲区へ - わらアート発祥のまち -

違ったパターンだと、東京工業大学との合同ワークショップもいい例。

授業じゃないから参加したところで単位も出ないし、5日間かなりハードな内容だし、六本木や大岡山へ行ったり来たりなので、これもやる気がある人じゃないと無理。

大学外であれば、D-LANDがやってる部活とかね。あ、現在こういう募集してますよ。
高田唯さんが顧問を務める美大生の部活「紙部」メンバー募集! D-LAND|ディーランド
他だと、医療系学生・美大生をはじめとするメンバーで結成されたColonb’sなんかもそうですね。
デザインの力で「医療」の課題にアプローチ|BAUS
インカレとは違う動きが生まれています。



共通してることは、「自分からドアをノックしないとダメ」「自分から情報を集めにいかないと気が付かない」ってことです。
「大学ではなんも面白いことがなかった。クソだ」と嘆いている卒業生がたまにいるんだけど、「面白いことは誰かが用意してくれて、この優秀な自分に誰かが紹介してくれるもの」と信じてる人の可能性が高いです。ここに紹介したのはほんの一部で、もっといろいろあるし、もっと言うと「面白いものがないというなら自分で作ればいいんじゃね?」で。
高校生から受験相談で「ムサビには陸上部がありますか?」と聞かれることがありますが「ないけど、ほんとにやりたいなら自分で作ればいいだけだよ」と私は答えてました。大学なんてそんなもんで。
あ、ちなみに2019年から陸上部が公式サークルになりました(笑)


「リア充」という言葉がバカにされる傾向にありますが、すでに「美大生」という存在が世の中的には「リア充」なわけで(笑)、美大においてはなにかとリア充の方が面白いはずだし、なにより得。高い学費を払ってるんだから、4年間大学とその環境を使い倒して、仲間を作って楽しんだ方がいいと思いません?使い倒すには美大っていい大学なんですよ。

 
(5)じゃ友達作れるように頑張ります。
さっきと逆のこと書きますが、無理やり友達を作る必要もないとも思っています。

というのも、友達作りにはリスクを伴うからです。
高校まで自分の周りにいたのは「同じ地域で自分と同じ年代に同じような環境で育った人」だったはずだけど、大学では一気に出身地域・年齢・思考・価値観の全然違う人たちと出会うことになります。特に美大は。育ってきた環境が違うからすれ違いは仕方ない。
それが大学で学ぶ良さではあるんだけど、ほんとに広い社会には様々な人がいるわけで、すごく仲良くなった人に裏切られたり、実は「やばい人たち」だったり「何かの勧誘」だったり、様々なケースに遭遇する機会が増えるということでもあります。以前より出所がわからない情報を信じやすくなってる気もしてて。(必ず公式情報を確認しましょうね)

今の学生さんは私たちの頃より「外に出ていく」「周りとつながろうとする」意識や能力が高くて本当に感心するんだけど、その能力に合わせた「もしもの場合の免疫力」ができてるかというと、ちと疑問で。
人を信用しすぎるといけないこともある。でも、人を信用しなければ友達ができない。
なので、心の中に「この部分までなら裏切られても大丈夫」というスペースを作っておいて、「この人は大丈夫だな」と思ったら次のステップに移行する、というDMZ的な考え方を持つと後で何か起きたときに自分の気持ちが楽になります。そうすることである程度「うん。これは想定内(笑)」で終わらせることができ、自分が傷つく部分を減らせる、と。
「友達がいなくたってなんとかなる」という気持ちも必要だし、大事な友達は無理やり作ろうとしなくても自然とできるものです。

ちなみに手羽は「ぼっち飯」という言葉が大嫌いで。


  • 明星大の学食にあるエクスプレスカウンター、通称「ぼっち席」(撮影:手羽イチロウ)

「ぼっちがさびしい」とメディアが言い出したから、「ぼっち」という言葉が生まれたから、なんか変な感じになってるけど、別に普通のことですよ。美大だったら一人でご飯食ってても「あいつ1人で飯食ってるぜww」て思う人は少ないし、ファイン系なんかだとむしろ「一人で飯食わせてくれよ」という人の方が多いんじゃないかしら。そういう人の集まりが美大のような気もするんだけどね。
 

(6)ホームルームとかありますか?
高校までだとホームルームで月終わりに翌月のスケジュール表をもらったり、先生が「明日はこれを持ってくるように」と指示が出てたかもしれませんが、基本的に4月のオリエンで配られたもの、それと掲示板情報などが全てで、毎日のショートホームルームのようなものは存在しません。
オリエン期間にもらったプリントは大事に保管し、掲示板を毎日見る習慣つけた方がいいよ。


全体的に言えることですが、大学の対応には「未成年対応」と「大人対応」があります。
「大学生といっても未成年だったり、成人であっても社会に出ていない人、『学校』というカテゴリーにまだ所属してる人たち」という考え方が未成年対応。
「大学生なんだから大人と一緒の扱いします」が大人対応。
大学のスタンスは「大人対応」が基本であり、「高校までと違って自由。自分で判断しなさい。ただし、責任は自分で負いなさい」です。ここがわかっていれば大丈夫。

ただ。
徐々に「外圧」で「未成年対応」の範囲が広がっている気はしてます。
例えば、数年前からムサビは成績表を在学生保護者に送っています。最初聞いた時「え。大学がそんなことやるの??」と当時は思ったけど、今やオープンキャンパスに合わせて在学生保護者説明会をやるようになりました。
「昔に比べて学生が・・」というより「大学はサービス業」と言われるようになってからで、「学生だけじゃなくステークホルダーの満足度を上げる」のは当然ですが、本当にこの風潮を学生さんや保護者の方は望んでるのかな、と思ったりもしないでもないです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。