【#美大受験 2019 】東京4美大2019年度一般入試志願者数(確定版)から言える1つのアドバイス

2019年2月2日(土)。今日2月2日はムサビ新学部の初試験日で、初の地方会場(大阪)というムサビにとっても歴史的な日だったりします。受験生もスタッフもみんな頑張ってね。

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美大受験生の疑問にお答えする「#美大受験」シリーズをお送りしています。

#美大受験 では、ムサビ、または関東美大の一般受験入試(AOや推薦入試じゃない)を具体例で使ってますが、基本的にはどの美大受験にも参考になると思います。
これまでの話はこちら。
手羽オススメの美大・美術予備校漫画はこれだ!
東京五美大2019一般入試スケジュールと受験生にアドバイス
交通に関する9つのアドバイス

一昨日タマビさんが発表したので、これで女子美術大学、東京造形大学、多摩美術大学、武蔵野美術大学の2019年度一般入試志願者数が出そろったことになります。
女子美術大学|2019(平成 31)年度一般入学試験(A 日程/センター利用Ⅰ方式・Ⅱ方式)志願者数
東京造形大学|2019年度一般入学試験 志願者数(確定)
武蔵野美術大学|平成31年度 一般入学試験志願者数
多摩美術大学|2019年度 美術学部一般入試志願状況

ただ、大学公表データには昨年度の数が入ってないんで、誰もが気になる「去年と比べてどうなのよ?減ったの?増えたの?」がわからないんですよね。

なので心優しい手羽が作ってみました。え?いい迷惑?
2時間ぐらいで作った完全手羽オリジナルなので、数字が間違ってたら指摘してください>大学関係者
受験生は正確な数字を上記公式大学サイトで必ず確認してね。

■補足:
表に「センターI方式・II方式」「センターA方式・B方式」等と出てきますが、「センターI方式・A方式・C方式」は「センター+大学独自専門入試(実技や小論文等)」で、「センターII方式・B方式」はセンター試験だけで受験可能(大学独自入試は無し)な仕組みです。
基本的に一般方式とセンターI方式・A方式・C方式は、学科試験(国語・英語)を大学で受けるかセンター使うかだけの違いで(配点や科目の違いはあります)両方を併願する人が多く、一方、センターII方式・B方式は大学へ行かずにセンターの点数だけでいいので、一般方式を併願する人は少ない傾向にあります。


補足終わり。
では、まず各大学を軽く触れて、最後に全体的な傾向とそこから言えるアドバイスという流れで。

最初は女子美術大学さん。


  • 画像は保存すると大きく表示できます。

女子美さんは全体で約50人増。
あ、タイトルで「確定しました」と書いてるけど、女子美さんはB日程があるんで厳密には確定ではありません。


続いて東京造形大学

東京造形さんは4年連続で増加。4年連続の志願者増は4美大では東京造形さんだけなんですよ。
理由はなんなんだろうなあ・・・。


そして多摩美術大学

全体では1.2%減。


最後は武蔵野美術大学
まずは造形学部。

全体で1.8%減です(涙)
でも建築学科が3年連続で増えてます。


そしておそらく美大関係者が一番注目してるであろう新学部。


  • *CIとは「クリエイティブイノベーション学科」の略称です

こんな結果となりました。「CI・映像併願」はどうカウントするべきなんだろ?
あ、さっきは「1.8%減」と書きましたが、造形学部+造形構想学部の大学全体志願者数では7,264名と去年より570名増えています。



今年度の入試は4美大全体的な特徴として、
●日本画・油絵・版画等ファインアート系が増えている。
●彫刻がかなりきつい状況にある。
●プロダクトや工芸、テキスタイル等いわゆる立体デザイン系が大きく減っている
●情報デザイン系が増えた。
●芸術学系が減った。

が言えそう。

立体デザイン系はこの数年大学によって増加・減少がありましたが、今年急に全大学で減った印象。
逆に情報デザイン系・・といってもタマビとムサビしかないけど・・は増えてて、例えばムサビ・デザイン情報学科はとうとう基礎デを抜き、視デについで2番目にムサビで志願者が多い学科になりました。

この数年の彫刻はムサビが微増でふんばってたましたが、今年は全大学で10-25%ぐらい減らしてます。

学内回覧で志願者数速報を見た時に「芸文減ってるなあ・・新学科にもってかれたのかな?」と心配だったけど、これは4美大全体の傾向でしたね。他大学データを見ないとわからない典型例。


で、この志願者数一覧から言える、受験生に送るアドバイスは・・・

これだけじゃ何にもわからない。自分が頑張るだけ

です。
え?アドバイスになってない?ちゃんと最後まで聞いて(笑)

志願者の動向は数年分見てみないとわかりません。
昨年度が大きく落ちたから今年が増えたように見える(「下げ止まり」「底をついた」「より戻し」と表現します)だけで、5年分見てみたら下降ラインには間違いない・・・またはその逆ってことがよくあります。
作っといてなんですが、昨年度比較だけで「●●学科は人気が落ちた!」「上がった!」と語るのは全く意味がなく。

また、どの大学も定員を去年と微妙に変えてるんですね。
今年すごくわかりやすいのが、ムサビ造形学部でしょう。
新学科(学部)は大学全体の収容定員を変えずに、各学科から人数をもらう形で定員を作りました。

つまり各学科の入学定員自体が減っていて、これは一般方式の2018年度→2019年度入学定員比較ですが、視デ以外は同じか、かなり減っています。
だから、例えば空デは今年志願者が9%減ってるけど、定員が変わってるので去年の一般方式倍率4.5倍のところ、今年は5.7倍に上がってたりするわけです。(逆に「視デは入りやすくなった」と言えます)
これはシンプルなわかりやすい例で、他大学でも推薦入試やセンター方式に定員を移してたりしてるから、人数の増減だけ見てもなんにも言えない、と。

 

その増減率も「1000人が800人に減った」と「3人が6人に増えた」では、率だけでみると「20%減」「200%増!」になるけど、全然意味合いが違うのは言うまでもありません。
女子美の美術教育専攻がいい例で、センターI式は「500%増」ととんでもない数字になってるけど(笑)、
2017年度入試 7名
2018年度入試 1名
2019年度入試 12名
という変化なんです。いわゆる寄り戻し。

また、多くの受験生は他学科併願や一般方式・センター方式併用をしてるので、私たちはこの数字を「見た目志願者数」という表現を使っています。すぐに手に入るデータだから見た目志願者数は「参考」にはするけど、これで一喜一憂することはあまりなく。大事なのは「実数」で。。
「ムサビの見た目志願者が570名増えた」のはとても喜ばしいことだけど、多分「今までの美大層と違う人」が増えてると予想されるので、そっちの方が嬉しいかな。(細かいデータを分析しないとまだわからないけど)
ちなみにこの「見た目志願者数」をうまく使ってるのが某近畿大学さん。

なので、志願者数を見て「う、うわ。志願者増えてるやん(怖)」「減って合格しやすくなったんじゃね?(嬉)」と考えるのは時間の無駄で、自分は精いっぱいやるだけってことなのです。


最後に。
以前はほとんどの大学が一般入試志願者数を入試前に公表してました。
でもAO・推薦入試で定員の7,8割を確保してる大学が多くを占めてる現状では、特に地方大学では「一般入試はオマケ。補充試験みたいなもん」な状態になっており、そして定員割れしてる大学が増えてきてるので公開しない大学がどんどん増えてます。

なのでいまだに試験前にちゃんと一般入試志願者数を公開してるこの東京4美大を褒めてほしいのです。
もう意地で出してるようなもんで(笑)、評価されないと来年からなくなるかもしれません。
さっきは「参考レベルの数字」と言いましたが、美大全体の動向をすばやく手っ取り早く分析できるデータはこれしかないんですよね。
当たり前のものをずっと残すためにどうぞよろしくお願いいたします。



以上、ムサビの開門はだいたい8時半ぐらいで(状況により前後しますが)、早く着きすぎると寒い中ずっと立って待つことになるから到着時間は調整した方がいいよ、の手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。