【イノベーション教育とリーダーシップ】第5回Xデザインフォーラム@千葉工業大学に行ってきた後編

2018年9月11日(火)

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9月9日に千葉工大さんで開催された第5回Xデザインフォーラムの様子をレポートしています。
これまでの話はこちら。
【宇宙兄弟とチバニー】第5回Xデザインフォーラム@千葉工業大学に行ってきた前編


ポスターセッションの準備が完了。


  • 様々な大学が参加してて、こちらは福岡大学


  • 成安造形第さんもパネルを出してた


  • 先生と千葉工大の学生さんかな?


  • ムサビ視デパネルはこんな感じに仕上がりました


そしてここからフォーラムのスタートです。

第5回Xデザインフォーラムのテーマは「Playful & Open:学びのデザイン」
第1部ファシリテーターは千葉工業大学 先進工学部 知能メディア工学科の山崎和彦先生。


以降は手羽の解釈含めて書いてるので、「そんなこと言ってねーよ!」がありましたらご指摘ください・・。>講師の皆様

最初は立教大学・助教の舘野泰一さんによる基調講演で「リーダーシップと学び、オトナがリーダーシップをどう学ぶか?」
舘野先生はリーダーシップ教育、トランジションに関する研究などをされていて、「リーダーシップ教育のフロンティア【研究編】: 高校生・大学生・社会人を成長させる「全員発揮のリーダーシップ」」という本を出されていて、立教大学経営学部でやってるビジネスリーダーシッププログラム「BLP」の事例も紹介してもらいました。


「リーダーシップ」と聞いておもいつくイメージは「才能によって決まるもの」「役職のこと」「引っ張ること」「カリスマ」という人が多いんじゃないでしょうか。


  • *舘野先生が出した図を手羽が記憶をもとに作成(写真撮り損ねた。間違ってたらすいません・・)

昔はAのような上下関係がはっきりあり、なおかつカテゴリが分かれてるイメージでした。カリスマ経営者パターンもそうですね。
でも、前例のない仕事をする機会が増えてて、1人の判断・知識・引っ張る力だけではどうしようもなくなってきてる。なのでBのように特権的立ち位置につかず個人と環境両方同時に開発する立場に存在し、メンバーそれぞれがリーダーシップを発揮する形が望まれている。
リーダーシップの定義を「職場やチームの目標を達成するために他のメンバーに及ぼず影響力」と捉え、全員がこのリーダーシップを発揮すればチームを強くできる、というシェアド・リーダーシップの考え方。
ただAの組織だと責任はリーダーだけにつくけど、良くも悪くもBだと全員が責任を負う(気持ち)になる。つまりは「自分事として取り組み、不満を提案に変えよう」ということなのかな。

なので新しいリーダーシップの考え方は「学習可能である」「全員が発揮できる」「自分らしさが重要」だ、という話。
キーワードは「オトナがだれかの憧れになる」。

続いて、はこだて未来大学の原田 泰先生から「未来に向けた『学び』と『デザイン』の関係」というお話。大変な時にありがとうございました。
何か書くより、この図を見てもらうのが一番早いっす。

「停電でスライドを作れなかったから」とおっしゃってましたが、この1枚絵でプレゼンするやり方もアリですね。見る方からすると話の全体像が把握できてメモしやすい利点があります。

Xデザイン学校 共同代表の浅野智さんからは「大人のためのデザインの学び」

「これからの社会で必要な学びとは?」「ゲームチェンジの本質」がメインの内容。
手羽がひっかかったのは、UXの市場には「グラフィック、プロダクトを学んだ人がUXをやる人」と「大学でUXを勉強した人」の2種類が存在するが、前者はプロダクトにUXをふりかけるとなんかできると勘違いしてる傾向にあり、水道橋博士が著書『藝人春秋』で「成長したいなら必殺技を捨てろ」と言ってて、一度捨ててしまった方がいい、という話。

学びの真の目的は、資格を取るような画一的な技術や系統的知識の取得「スキル学習」ではなく、「発達」にある。これからは(これからも)「覚える(知己・技術)」から「察知する(態度)」になっていく。

ここから第2部で、最初はi.club・代表理事の小川悠さんによる基調講演「イノベーションと学びのデザイン」

「イノベーション教育」の話で、イノベーションとは何か?それを教育するにはどうしたらいいのか?という手羽的にも一番関心があるところ(笑)一番メモってました。

高校生にこういう3つの質問をしたそうです。
アイデアを出すことを「大切な力と思うか?」「好きか?」「自信はあるか?」
すると「大切な力だ」と感じる子はほぼ全員なのに、「好きだ」はかなりの少数になり、「自信がある」子は0名になってしまう。これは県立高校でも私立高校でも同じような結果が出たそう。
なぜ自信がないのか・・・それはアイデアとは空から降りてくるイメージで才能やセンスが必要だと思われるから。本当はアイデアの創出は学ぶことができるんだけど、義務教育ではそれを補う場がない。

企業や自治体から「若い人の視点で斬新なアイデアを考えてほしい」という依頼があるが、高校生や大学生は経験値が少なく類似情報の蓄積が少ないから、実は「手段」の新規性を出すことは苦手。
「やりがちな地方活性化アイデアあるある」には「ゆるキャラ」「ラーメン」「インスタ映え」の3種の神器があり(手羽はここに「スタンプラリー」を追加させてくださいw)、高校生もついこういうアイデア提案ばかりになってしまう。
高校生や若者が新規性を発揮しやすいのは、先入観や既存の概念にとらわれない(しがらみがない)ところから思いつく「目的」であり、目的・手段を分けて考え、各プレイヤーの弱みを補うプログラム作りが必要、という話。
「そう!そうなの!!」と膝を叩きながら聞いてました(笑)

続いて東海大学・准教授の富田誠さんによる 「社会とデザインの学び」
富田さんはムサビ基礎デの出身で、学生時代には東工大初のベンチャースタートアップとしてデザイン会社を経営し、卒業後は早稲田大学院に進学して助手もされ、現在は東海大の准教授しながら筑波大学の博士課程生もやってるという、「どんだけ勉強好きなんだ」という人(笑)


富田さんと手羽の洋服がダダかぶりだったとかはどうでもよく、何が感動したかって、富田さんが2004年に作り、会社のロゴマークにもした

こういうベン図があるんだけど、これってtakarm田川さんが発表してあちこちで使われてる

BTC型人材モデルのベン図そのままなんですよ。新学科でも使わせてもらってます。
富田さんは2004年でここにたどり着いてたんだなあ。。

今は「対話の壁」を研究されてるそう。
東工大との合同ワークショップ「コンセプト・デザイニング」はまさにそこに注目した内容で、東工大・野原先生と一度お話されるといいかもしれない>富田さん

最後は第2部のファシリテータでもある千葉工業大学先進工学部 知能メディア工学科の安藤昌也先生の「エクスペリエンスエコノミーの先にある『変革経済』と学び」
安藤先生は「UXデザインの教科書」という本も出されてます。

1999年にB・J パインさんとJ・H・ギルモアさんが書いた「【新約】経験経済」(現在は2005年に復刊された新約のみ)を紹介していただきました。20年近く前に出た本ですが、経験の設計の仕方が具体的に書かれていて、今読んでも古くなくむしろこの後の未来が書かれており、UXデザインの時代だからこそさらに価値がある内容になっている、と。

●コモディティ→製品→サービス→経験→変革へと企業の差別化のポイントが時代とともにシフトしている。
「経験のステージングにおける4E領域」は「Entertainment (娯楽)」「Educational (教育)」「Escapist (脱日常)」「Esthetic (美的)」。
と必死にメモったけど、こちらにプレゼンシートがあがってました(笑)
エクスペリエンス・エコノミーの先にある『変革経済』と学び from Masaya Ando

ちなみにUI/UXデザイナーを育成する「Designers Gym」を立ち上げたそうです・・としか聞かなかったけど、Goodpatchさんだったんですね。

会場からも質問が沢山でてました。
Xデザインフォーラムはいつも勉強になるし、プレゼンのやり方はいつも参考になります。

あ、ここで少し宣伝を。
Xデザイン学校とデザイン・ラウンジは共同事業をやってまして、次回はこちら。
Xデザイン学校公開講座+DMLセミナー「デザインxアートxビジネスのネットワーキング」

●日時:10月22日(月)18:30-21:00(開場18:00)
●会場:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ
●参加費:3000円(Xデザイン学校2018年度コース受講者は無料)
●主催:Xデザイン学校、武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ
●共催:立命館大学デザイン科学研究センターDML(Design Management Lab)
●申し込み方法:こちらからお申し込みください
●プログラム:
18:30-18:40 「アート、ビジネス、デザイン」
18:40-19:50 「分野の壁を越えて見える意味のイノベーション」
20:00-21:00 考えるディスカッション
安西 洋之(モバイルクルーズ・代表)、山崎和彦(Xデザイン学校・共同代表)、八重樫 文(立命館大学・教授)

デザイン思考とは異なるアプローチ、意味のイノベーション、アート思考、デザイン3.0、オープンデザインなど、多様な未来のデザインアプローチについて語ってもらいます。

ちなみに立命館の八重樫 文 教授・・・というか八重樫くんはムサビ基礎デ卒→東大大学院修了後、デザイン情報学科を助手をしてた人。詳しくはこちらを参照ください。
立命館大学大阪いわきキャンパス(OIC)に行ってきた(東工大にも)
今だから言えますが、新学科のヒアリングだったんです。てへ。


話を戻して。
フォーラムは4時に終了し、これからパネル説明や懇親会という流れだったけど、この日はゼミ展のギャラリーツアー&オープニング懇親会だったもんで、高速飛ばして(法定速度内)六本木へ。
みんなが手羽を待ってる。6時までやってるはずだから1時間ぐらいは合流できるはず。

でも、着いたら

ちょうど宴が終わった直後だった・・・。
70人ぐらい各大学の学生さんや先生がいたそうだけど、懇親会は早めに終わったそうで(涙)


仕方なく残った料理を一人で食べてたら、「もしかして・・手羽さんですか?」と声をかけられたんです。
「あ。はい、そうですけど(モグモグ)」
「今はSFCの学生なんですが、ムサビの基礎デとデ情も受験するために手羽美術大学★を昔からずっと読んでたんです。ここで会えるとは思ってなくて嬉しいです」
「あ、ありがとう。でも基礎デとデ情落ちたってこと?」
「両方とも受かったけどSFCを選びました」
「まあ、、普通はそうだよね(涙)自分が親だったらそうさせるね(涙)」
という嬉しいやり取りもあり、六本木までいったかいがありました。



以上、「てかそういう思考の人こそ新学科の大学院にいけばいいんじゃね?」と後で気が付いた手羽がお送りいたしました。

●日時:2018年9月14日(金)17:30-19:00(開場17:00)
●会場:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ

で、新学科について語ることになった手羽がお送りいたしました。
非公式な場ではよく人前に出てるけど(笑)、大学の説明会でムサビを背負ってしゃべるのは久しぶり。
高校生や高校の先生、保護者の皆さん、ぜひ来てください。


プレゼンシートを作るので金曜まで更新休みます。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。