ポートフォリオは、持っているすべてを見せる覚悟で作る
ポートフォリオについて教えてくれたのは、サイバーエージェント入社4年目のベク・ヨンギョンさん。現在は「オルタナティブガールズ」や2Dアニメーションの制作・運用に携わっているUIデザイナーだ。自身が就活時期に制作したポートフォリオを実例にとりながら、ポートフォリオ制作における大切な5つの考え方についてお話をしてくれた。
ベクさん:ポートフォリオについて私が大切だと思っていることは、この5つです。
・制作に時間とお金を惜しまない
・自分自身を覚えてもらうことが大切
・作品の数にこだわらず、質にこだわる
・レイアウトのルールを決める
・ポートフォリオ自体をデザインする
今回特に注目したいのは、「制作に時間とお金を惜しまない」「自分自信を覚えてもらうことが大切」の2つ。ベクさんのポートフォリオ制作に対する熱量の高さが感じられるポイントだ。
ベクさん:1つ目に重要なのは「制作に時間とお金を惜しまない」ということ。ポートフォリオは自分のスキルを思いっきりアピールできる場です。自分の持っている全てを見せる覚悟で作るベし! 授業やアルバイトなど忙しい学生生活だと思いますが「時間がない」「お金がない」と言っていては良いものはできません。
ポートフォリオでは、作品・スキルが最も魅力的に映るように意識したいと、ベクさんは紙質にもかなりこだわったそう。どのような紙に印刷するか、1ページ目にはどのような紙を入れ込むかなどを検討。印刷業者とも打ち合わせをして、何度も試行錯誤をして編集した。
ベクさん:紙で提出するポートフォリオの場合、紙の質や印刷形式も重要なんです。コピー紙での提出は、絶対にやらないほうがいい。私はポートフォリオの形も工夫して、A4横サイズを縦横にした正方形のものを作りました。
2つ目のポイントは、「自分自身を覚えてもらうことが大切」。ポートフォリオはいわば美大生にとっての履歴書だ。“この作品を作った人” という印象づけよりも、ピンポイントで自分自身を覚えてもらうことを目指そうというものだった。
ベクさん:私の学生時代のポートフォリオには、制作した作品だけでなく、受賞歴や自己分析、スキル、自身のキャラクターを表す写真も掲載しました。自分自身のキャラをアピールすれば、見る人にインパクトを与えることができますよ。
まずは作ってみるべし!フィードバックをもらいながら、自分の軸は大切に
次に行われたのは、イラストレーターの島原さん、内定者の根本さん、大野さんも交えたパネルディスカッション。それぞれのポートフォリオにまつわるこだわりや経験談をお話いただいた。
ーーまずみなさんにお伺いしたいのは、ポートフォリオを作り始めた時期です。いつ頃から作り始めましたか?
大野さん(内定者):いま私は4年生なのですが、1年生の頃から学科の授業の一環としてポートフォリオを制作する機会がありました。そのため1年生の時から毎年、ブラッシュアップを繰り返しているんです。
根本さん(内定者):僕もいま4年生で、3年生の4月に作り始めて夏前には完成していました。夏以降のインターンに参加するために、応募資料としてポートフォリオを作ったんです。
島原さん:私は彫刻を学んでいたのですが、面接を受ける1ヶ月前からポートフォリオ制作を始めましたね。それまで制作してきた作品はきちんと保管していたため、ポートフォリオに入れるものには困らず、3年生の終わり頃から4年生のはじめにかけて一気に作りました。
ーー大野さんはかなり早い段階から制作を行なっていたのですね。作り始めた時は、どんなものを参考にしていましたか?
大野さん:先輩のポートフォリオの中から、優秀な作品や、いいなと思うものを参考にしました。写真作品はどのように並べるのが良いのかなど、やり方が分からないものは本屋さんに行って雑誌を買ったり、ポートフォリオを作るための本を読んだりしましたね。
根本さん:僕も参考としたいものを真似して学ぶことから入りましたね。Web上でポートフォリオを作ったのですが、イケてるなと思うグラフィックデザイナーのWebサイトを訪問しまくりました。こういう文字組があるのだなとか。
ーーポートフォリオ作りは、どなたかに相談・アドバイスをもらっていましたか?
大野さん:最後のポートフォリオを作っているころ、私はすでにサイバーエージェントを志望していたので、UI Design Academy(サイバーエージェントが主催するインターン、通称UIDA)でサイバーエージェントのクリエイティブ責任者にポートフォリオを見てもらい、フィードバックをもらいました。
根本さん:僕は、作り込みの時は友達に、徐々にまとまってきたら社員の方に見てもらいましたね。
ベクさん:私は学生時代お世話になっていた先輩に見てもらっていて、良いアドバイスをいただくことができました。一方、成長できないパターンとしては、自分一人で作ってしまってフィードバックをもらわないことだと思っていて。かといって真っ白な状態でフィードバックをもらいすぎると、何をしたいか分からなくなってしまうこともあると思います。そのため、ある程度作りたいコンセプト・方向性・軸を決めてから取り組むのが良いですね。
ーーまずは、作ってみることが大切なのでしょうね。それから相談。方向性はブレないように、と。
ベクさん:そうですね。フィードバックをもらった人の意見ばかり追っていては意味がないですよね。自らの頭で考えたことを大切にしてほしいです。
ーー実際に企業は、ポートフォリオのどんなところを見ているのでしょうか?
ベクさん:UIデザイナーがよく見ている点は「作品のまとめ方」。全体の雰囲気を見ていると思います。まず大切なのは、「見ていてつまらなくないもの」であること。
ーーポートフォリオを見るとき、どれくらいの時間をかけて見ていますか?
ベクさん:興味がないと10秒くらいですね(笑)。興味をもっても、さまざまな仕事の合間で見るため、一つのポートフォリオを見られるのは最大5分ほど。だからこそ、一番はじめの印象は大切なんです。
忙しい中、どうやってスケジューリングする?
パネルディスカッションの最後には、会場の美大生からも積極的に質問があがった。
ーー(会場の美大生)ポートフォリオの中身は自主制作が多いのか、課題で制作したものが多いのか、どのような内訳でしたか?
根本さん:僕は課題と自主制作、半々くらいの割合で入れましたね。与えられたものに対しての課題解決と、見つけた課題に対するアウトプット。どちらもアピールしたいなと考えたためどちらも載せました。
ーー(会場の美大生)授業やアルバイトなどある中でポートフォリオを作ったり自主制作を作ったりする時間は、どのように確保していましたか?
島原さん:私は学生時代から趣味でイラストを描いていて。イラストの仕事もしていたため、その記録をきちんと残すことを習慣にしていました。そうすることで、ポートフォリオ作成の時に一から集める必要がなく、少し時間短縮になったかなと思います。
大野さん:私は大学2年生の冬から今年の2月まで、ミュージックビデオの監督のもとに弟子入りをしていたんです。弟子同士で作品作りをしたり、撮影の手伝いを行ったりしていて。自主制作よりもできるだけその活動に時間を割くようにし、その成果を、就活時にアピールしていましたね。
イベントでは、内定者のお二人を交えて就活の経験談も聞くことができたようだ。
イベント最後の懇親会では、持参したポートフォリオを社員の二人や内定者のお二人に見てもらっている美大生も。第2弾の今回も、美大生の幅広い悩み・疑問を解決できる場になったようだ。
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サイバーエージェント
2004年からブログを中心とした「Ameba」を開始し、アバターサービス「アメーバピグ」やコミュニティサービス、キュレーションメディアなど、インターネット産業の変化にあわせて、形を変えながらメディアサービスを提供。2016年からは今後の成長分野として注目される動画事業「AbemaTV」をスタート。2009年から開始したゲーム事業は、主力タイトル7本、他数十本のスマートフォン向けゲームを提供している。
https://www.cyberagent.co.jp
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写真・田川優太郎 文・佐藤由佳 編集・上野なつみ
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