「ポートフォリオづくりの基本って?」美大生のためのポートフォリオ勉強会レポート(1)

2018年5月25日、D-LAND TOKYOにて行われたのは「ポートフォリオってどうやってつくるの?」「企業はどんなポートフォリオを好むの?」など、美大生の疑問・お悩みを解決するイベント、美大生のためのポートフォリオ勉強会。授業後の平日夜にもかかわらず、大学1年生から3年生まで20名ほどの美大生が集まった。 開催したのは、AbemaTVやグランブルーファンタジーなど、さまざまなメディアやゲームを展開するサイバーエージェント。若手デザイナーの社員さんからポートフォリオのつくり方解説や質問コーナー、最後には座談会も設けられた。この記事ではそんなイベントの様子をお届け!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

サイバーエージェントで活躍する若手デザイナー

まずはじめに、人事担当の清水さんからサイバーエージェントの企業紹介。

サイバーエージェントの事業は「広告」、「メディア」、「ゲーム」、「新規事業」の4つ。Web広告代理店としては国内最大で、メディア事業部ではAbemaTVを運営している。
 

 
年間5〜10社の新しい子会社が生まれている。つまりサイバーエージェントは、ベンチャー企業の集合体。それぞれの事業が“子会社”として存在していて、現在は約100社にものぼる。

そんなグループ全体には、UIデザイナー、イラストレーター、映像クリエイター、広告デザイナーなど、デザイナーの活躍の場が多くある。


少し緊張した面持ちの美大生を前に、「若手のデザイナーを連れてきたので、リラックスしてくださいね!」と清水さん。集まった3名の若手社員はそれぞれ以下の通り。



山下さん
2014年入社のUIデザイナー。3D美少女ゲーム『オルタナティブガールズ』を担当。東京造形大学出身。


渡辺さん
2015年入社のデザイナー。電子コミックサービス『読書のお時間です』のデザインを担当。武蔵野美術大学出身。

 
松尾さん
2017年入社。新規プロジェクトのメインイラストレーターを担当。武蔵野美術大学出身。

 

ポートフォリオの基本って?

ポートフォリオの作り方を教えてくれたのは、UIデザイナーの山下さん。美大生時代はアートスタジオでアルバイトをしたり、グッズのデザイン制作に携わったりしていたそう。

今回集まった美大生は、すでにポートフォリオを作り始めている人、まだ作っていない人などさまざまな様子。「良いポートフォリオってどんなものだと思う?」「そもそもデザインって何だろう?」そんな問いかけから山下さんによる講義がはじまった。
 
 

 
デザインとは基本的には「文字(タイポグラフィー)」「色(カラー)」「組み方(レイアウト)」から成り立っている。ポートフォリオづくりも、この3つを学べば上手く作ることができるという。
まずは、ポートフォリオで使用する基本のカラー、タイポグラフィー、レイアウトのテンプレートを作ること。アウトプットやジャンル、作風が異なるさまざまな作品を1冊に上手くまとめるコツだ。

講義では実際にさまざまな種類のタイポグラフィーの中から、ポートフォリオに適した文字を考えたり、色の使い方や組み合わせ方などについても学んだ。


2年生の頃からポートフォリオづくりを行なっていたという山下さん。レイアウトの参考にしていたのは、著名なデザイナーの作品集だそう。「3つの基本を押さえてまずはポートフォリオを作ってみることで、意外とできないな……、という実感を得られるはず。そこからワンランク上を目指そう!」と美大生にエールを送った。




ポートフォリオにまつわる疑問・お悩みを解決

一通り講義を終えた後は、ポートフォリオに関する質問コーナー。山下さんへさまざまな質問が飛んだ。


ーーポートフォリオにグループワークの作品は入れてもいい?

山下さん:僕は入れてましたね。仕事ってみんなでやっていくものなので、企業からするとチームで作ったものを見れるとその人の役割がわかる。面接などで説明するときは、どんな役割が得意なのか伝えられるといいですね。

ーー作品を載せる順番はどうやって決めていましたか?

山下さん:受ける業界・企業に合わせて決めていました。まずポートフォリオの冒頭にはアピールしたいスキルが強調できる作品を載せていました。UIデザインをアピールしたかったらそれを一番目に。
順番やカテゴライズなどが意識されていて、気遣いのあるポートフォリオは印象に残ります。企業の担当者は“見た目がきれいなポートフォリオ”ってたくさん見ている。気遣いがデザイン的にされているもの、細かなフォントの選びやカーニング、全体のマージンの取り方細部まで気が使えているとデザイナーとして良いと思います。
 

 
ーーひとつの作品について、たとえば下書きやスケッチなどプロセスを載せてもOK?

山下さん:僕は、作品ができるまでのプロセスは知りたいと思います。どんな目的・ターゲットを想定してアイデアを出して、最終的な成果物につながったかというプロセスは、作品に対するロジックを知ることができるので。一番よくできた作品についてはやってもいいかもしれません。

ーーポートフォリオの作り直し(アップデート)ってどれくらいしましたか?

山下さん:バージョンは3〜4回改定しました。誰かに見せたり、コメントをもらったりしながら、直していきました。
ポートフォリオを見せる相手は、同級生とか友達とか、美大生ではない友達にも見せると良いです。その人が楽しそうに、興味持ってくれるかどうかが結構大切な指標なんじゃないかなと。デザイナーにしか伝わらないポートフォリオではなく、誰にでもわかりやすいポートフォリオを目指せると良いです。



懇親会では、作成したポートフォリオのフィードバックも
 

 
イベントの最後はピザやドリンクを片手に懇親会。全体で交流をした後は、3名うち興味のある若手デザイナーの元に集まってお話を聞ける、貴重な機会となった。

 

こちらのテーブルでは、実際に参加者が持参したポートフォリオ内の作品に対して、松尾さんがフィードバック。

「作品(人物絵)の柔らかさがいいね」「デッサン力や背景はもっとレベルアップできそう」「インプット量が物を言うから上手い人の絵をたくさん見よう」など、具体的なアドバイスをもらったようだ。
 

渡辺さんのテーブルでは、ポートフォリオの作り方について具体的にお話をしている様子。「ポートフォリオにとびらをつけたり、作品にキャッチコピーをつけるといいよ」など渡辺さんからアドバイスが。
 

会場隅にあるカウンターテーブルでは、実際にサイバーエージェント社員のポートフォリオの実物を見ることができた。ここではじめて製本されたポートフォリオを見た美大生からは「クオリティが高くて驚いた、まだ作ったことがないのでこれを機に作ってみたい」という声も。

大学の課題でアプリのプロトタイプのUIを制作したという別の美大生は、人事の清水さんとデザイナーの渡辺さんに「UIの中に使用する写真をもっとこういうものにすると良い」など、フィードバックをもらった様子。ほかにも懇親会では、「就活はいつから始めましたか?」「面接ではどんなところを見られている?」など実際の就職活動に関する話題もあがった。


懇親会終了後、参加した美大生にイベント全体の感想を聞くと「美大生時代、自分の作品の制作時間をどう確保したか聞けた」「仕事での制作と趣味での制作を、どのように分けているか聞けてよかった」などの声を聞くことができた。

第1弾の今回は、ポートフォリオの作り方を始め、就活についてや、制作に関することなど、幅広い悩み・疑問を解決できる場となったようだ。これを機にポートフォリオづくりを始めたり、ゲームや映像、メディア系の業界への就職について考えてみてはいかがだろうか。


 

 

ーーーーー
サイバーエージェント
2004年からブログを中心とした「Ameba」を開始し、アバターサービス「アメーバピグ」やコミュニティサービス、キュレーションメディアなど、インターネット産業の変化にあわせて、形を変えながらメディアサービスを提供。2016年からは今後の成長分野として注目される動画事業「AbemaTV」をスタート。2009年から開始したゲーム事業は、主力タイトル7本、他数十本のスマートフォン向けゲームを提供している。
https://www.cyberagent.co.jp
https://www.cyberagent.co.jp/careers/news/detail/id=21653

インターンも募集中!詳細は下記サイトでご確認を。
UI Design Academy 5期
UI Design Academy 6期
その他インターンシップ情報

ーーーーー






>> 関連記事「事業会社で活躍する美大生たち。ーサイバーエージェント若手デザイナー座談会」
>> 関連記事「美大生のためのポートフォリオ勉強会、参加者募集!」
>> 関連記事「第二回『美大生のためのポートフォリオ勉強会』参加者募集!」




写真・木下治子 文・佐藤由佳 編集・上野なつみ

tag

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

STUDENT WRITER

partner official / partner official

PARTNER編集部です。 編集部アカウントでは、フリーマガジンやイベントなど、総合メディアPARTNERに関わる様々な情報を提供いたします。