今週末がムサビオープンキャンパスなもんで、
■武蔵野美術大学オープンキャンパス2015
●会期:6月13日(土)10:00-18:00 / 6月14日(日)10:00-16:30
●会場:鷹の台キャンパス
*予約不要・入退場自由
*お車でのご来場はお控えください。
http://www.musabi.ac.jp/open15/event_06/
オーキャンネタを連投してますが、
■ムサビオープンキャンパスを楽しむ3つの方法
■ムサビオープンキャンパスのオススメ企画
■意外と知らないムサビへ行く5つの方法
今日はちょっと視点を変えて、「来場者のための情報」ではなく「運営側のための情報」を。
つまり、学生さん・研究室スタッフ・教職員向けに。
「ムサビ」「オーキャン」に限らず、どこでも関係することなので他美大の方も参考になるはずです。
東京ミッドタウンに関わる人間が絶対に受けなくちゃいけない研修がありまして。
それはなにかというと、「ホスピタリティ研修」。通称「ホス研」です。
これが勤務してる人はもちろんですが、1日だけのイベント運営の場合でも受けなくちゃいけない厳しいルール。
六本木アートナイトに出演したとりじんあんさんぶるや、そういう「研修」なんて縁がなさそうな(笑)山田太郎プロジェクトも、出演者・スタッフ全員、イベント前にこの「ホス研」を受けています。
あ、「あの恰好のままで」ではないけども。
手羽はイベントやるごとに研修受けてるので、もうホス研のプロっす。
「へ?ホスピタリティ研修?人工呼吸とかAEDの使い方の講習?」
と思ったあなた。
はい。手羽と同じ英語レベルですね(笑)
「ホスピタリティ」とは「おもてなし」の意味で、「1日のイベントといえどもミッドタウン内でスタッフ腕章をつけている以上、お客さんは『ミッドタウン関係者』としてあなたに接します。なのでミッドタウンの人間として対応してください」
ということなの。
例えば、お客さんから「トイレはどこですか?」と聞かれて、「あ。私は今日だけの人間なんでわかりません。受付に聞いてもらえます?」と初歩的な情報まですべて受付に回してると、受付も混乱しちゃうし、お客さんもたらい回しにされてる悪い印象を受けます。
ほら、ムサビ生だと1号館事務局でたらし回しにされるでしょ?あれ、すんごく嫌なもんです。(職員だって、たらい回しにされるんだから最悪です)
自分も主催者側の人間だと認識し、他人事にせず、おもてなしの気持ちをもって対応するための研修、それが「ホスピタリティ研修」。
至れり尽くせりなサービスを増やすのは大変ですよね。
でも、ちょっとしたことを意識するだけで、来場者の満足度を上げる(クレームを減らす)ことができるんです。
例えばホス研で毎回言われるのは、「携帯電話で話してる姿を見せない。談笑してる様子は見せない」とか。
仕事の話をしてるのに、お客さんからすると「仕事中にさぼって携帯で誰かと話してる」「仕事中に仲良しと雑談して笑ってる」ようにしか見えず、クレーム電話がかかってくるそう。
商業施設のレベルなのでさすがに大学オープンキャンパスで、しかも学生さんにそのレベルのものを要求する人は少ないと思いますが、「そういう人がいる」「そう見える可能性がある」ってことですね。
ムサビのオープンキャンパスは学科研究室独自にやってるし、学生さんがメインとなって動いてる企画がほとんど。普段高校生対応・学生対応をしていない職員も駆り出されるので、「オーキャンでの来場者対応ではこういうことを気を付けてほしいなあー」ってポイントを7つ書かせてもらいます。
意外とわかってるようでいて気が付いてない点だと思うから、これを読んだ人は他の人にも教えてあげてね。
では、いきなり実践編に突入します。
ここはムサビオープンキャンパス。日曜の午後2時。
●●学科の学生相談コーナーに高校2年&保護者がやってきて、ムサビの主な就職先を聞き、学生さんはこう答えました。
「そうだねー。視デは毎年電博とか代理店によく就職してますよ。芸文はキュレータとかかな?空デの生徒はシニックが意外と就職強そうな気がする。工デはインハウスになる人が多いって聞きますね。基礎デは柴田文江もいるしデザイナー目指すなら最高じゃないかな。ファインアート系だと・・・油画科とかはよくわかんないなー。受験は小論文で受けるの?だったらBTとか読んでた方がいいかも。でも、うちの学科はなんでもできるから楽しいっすよ。タマのゲイガクなんて座学だけでしょ?あんなのより、こっちにおいで!え?就職のことをもっと聞きたい?うーん、今日日曜で就職課も閉まってるから無理だね・・・え?まだパン屋は営業してるかって?・・・・とりあえず、そういうのはインフォメーションセンターで聞いてみて・・」
はい。よくある学生さんと来場者の会話ですね(笑)
このセリフのどこがいけないのか?
全部です。
これって、満足度が非常に低い対応なんですよ。それはなぜか説明していきましょう。
(1)美大用語が使われている
つい使ってしまう「工デ」「視デ」「ゲイガク」などの学科略称。
美術予備校に通い、予備校講師が話してるのを聞いて初めて略称を知るわけで、これから美大を受験しようと思ってる生徒さん、そして保護者を始めとした一般の方、つまり世の中の多くの方には一切通じません。
なので、先ほどの会話は「コウデ?シデ??ゲイブン???」と何を言ってるのか全然わからないのだけど、自信満々に学生さんが語ってるから聞けない状態になっていると思われます。
ちなみに設定がムサビのオープンキャンパスなのでそれはないと思うのだけど、世の中的には「ムサビ」も通じません。「そんなわけないよー」と思うのは、狭い美大の世界に慣れちゃってる証拠。そんなもんですよ。
面倒でも「視覚伝達デザイン学科・・・私たちはシデと略してますけど・・」と必ず説明しましょう。
(2)美術・デザイン業界用語が使われている
「電博」「代理店」「キュレータ」「シニック」「BT」「インハウス(デザイナー)」などの意味を知っている高校生&一般保護者も皆無です。(美大OBとかなら別ですが)
「ファインアート」はつい使っちゃう人が多いですね。
デ情新入生が使いたくなる単語ナンバー1の「インタンジブル」とかは、いかにも専門用語なので説明する時には気を付けると思うけど、上記の単語も使う時には補足を入れないと全く伝わってません。
つまり、「今年は博報堂に2人内定もらった」と自信満々に語っても意味がないってこと。
とりあえず、就職系・カタカナ単語は「ん。相手は理解してないかも」と疑ってかかった方がいいです。
(3)デザイナー・作家の名前は知らない
手羽調べですが、高校生は「柴田文江」という名前を100%知りません。
ムサビ生でも一部の学科(笑)以外は知らないです。
でも、ネットで話題になったこともあり「人を廃人にするソファ」は知ってる子が多い。
「高校生は『佐藤可士和』は知ってるけど、『森本千絵』はほぼ知らない」をラインに考えてもらえれば。
高校時代の自分を思い出せばわかりますが、著名デザイナーや作家の名前は知らないもんで。はい。
(4)ムサビに「生徒」も「●●科」もない
先生でも知らない人が時々いるぐらいなんですが、大学生は「学生」で、「生徒」は高校生のことなんです。
全然意味が違うの。
「え?同じようなもんじゃん」と思うかもしれないけど、「オープンキャンパスで学生が生徒に説明をする」で意味が通じるのは、学生と生徒が違う言葉だからなのね。
聞く人が聞くと「ボクチンのママは」と言ってるように感じる間違いなので気を付けましょう。
また、ムサビは「油絵科」「映像科」ではなく、「油絵学科」「映像学科」です。
全て「●●学科」なのです。これも似て非なるもの。
まして、「油画科」なんてものはムサビに存在さえしません(笑)
(5)他大学(他学科)の悪口はむしろマイナスイメージ
え?手羽に言われたくない?(笑)
冗談で終わるような話であればいいとしても、他大学や他学科の悪口はマイナスイメージになります。
信じられないかもしれませんが、「地方相談会で●●美大の先生(or職員)がムサビの悪口を言ってた」 とチクリ電話がよくかかってくるんです。これ本当に。
比較対象になるってことはある意味ありがたいんだけど、気をつけた方がいいっすよ>美大関係者
手羽が某東京造形大のキャンパスツアーに参加した時、おもいっきり先生が「ムサビは2月、3月は工房が使えないけど、うちは使えます」と説明しててね。手羽がいるとは知らず(笑)
私からすると、「でもムサビは申請してOK出れば夜10時まで教室が使えるけど、そちらは8時まででしょ?(最近一部9時になったけど)」なんですけどね。
どこで誰が聞いてるかわからないもんです。なので比較する時は相手の良い面を説明した上で比較しましょう。
(6)「なんでもできる」は売りにならない
つい使ってしまう「なんでもできます」というセリフ。
でも高校生や保護者は「その学科で何が学べるの?他と何が違うの?」を一番知りたいんですよね。
「なんでもできる」って中途半端な印象を与えてしまうだけで、売りでもなんでもないんです。
また、「なんでもできる」といっても、実際はなんでもできないわけで。
例えば芸術文化学科で彫刻はできないし工房もないし教えてくれる先生もいない。そういうことです。何でもできるは嘘。
でも、彫刻が必要であれば誰かに作ってもらえればいいだけだし、共通彫塑の授業では彫刻をやらされます。
「ヤル気とコンセプトがしっかりあれば、素材がなんであろうが自分で作ってなかろうが教授は評価してくれる。誰も止めない」が正しい表現。
できれば学生さんが事前に集まって、「うちの学科の売りってなんだろうね(「なんでもできる」を除く) 」を語り合って欲しいなーと思ってます。
(7)最低限の全体案内は知っておこう
トイレの場所、自動販売機の場所、お店の営業時間など、ほとんどの情報は全体パンフレットに書かれています。バスの時刻表も入ってます。
全部を覚えておく必要はないんだけど、「全体パンフレットにそういうことが書かれてたなー」てことだと把握してもらえれば。そうすれば、「このパンフレット、文字が小さくて読みにくいでしょ?(笑)えーと、確かこのへんに・・あったあった」なんて会話をしながら一緒に調べる、という交流技が使えます。
そうすることで、無駄な「たらいまわし」を減らすことができます。
全部インフォメーションセンターに誘導することは、親切なようでいて決していいことではないのね。
また、道を案内する時、「ここを100mまっすぐいって、右に曲がって30m進んで左側の階段を1フロアおりて・・」という説明は伝わりにくいと言われてます。特に女性には。
目印となるものをいれるか、時間が許すのであれば「一緒に行く」のがこういう時はベストだと言われてます。
ちなみに。
二日間とも就職課は特別ブースを出してるので、
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■就職課::進路・就職コーナー「創る」力は、「就く」力!
●会場:12号館 8F 第1会議室
就職課の概要、年間スケジュールなど就職支援プログラムのパネル展示、各種資料、求人票等による本学卒業生の進路の情報提供、本学の就活ツール(就職手帳や進路インフォメーション等)の展示や配付、職員による就職・進路相談、ポートフォリオ(就職活動用作品集)や実作品の閲覧などができます。
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就職のことはこちらに振ってくださいな。(ポートフォリオも展示してるんで在学生や他美大生も参考になるよ)
それと、全体的な入試相談や学生生活相談(奨学金のこととか)、全学科の実技合格参考作品展示も12号館8階第1会議室でやってるのでそちらもご案内くださいませ。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。