海外に住むことは簡単!アジア屈指の国際都市シンガポールで生活する理由

「海外に出て様々な体験をしてみたい」と思う美大生は多いのではないでしょうか。しかし、その道は困難なことだと考えているのでは? そんな美大生の皆さんに、少しでも海外へ行くハードルを下げるためこの記事を書きました。 シンガポールにきて5年経つわたしの渡星(シンガポールに渡るという意味です)エピソードを交えて、意外と海外に住むことは簡単だということをお伝えできればと思います。

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  • マリーナベイサンズ(建築家:モシェ・サフディ氏)

  • シンガポールの建国記念日は国中が国旗だらけに。

ヤシの木が茂り、街ゆく人はTシャツにサンダル。シンガポールというとマーライオン、そしてSMAPのCMで一躍有名になった空中に浮かぶプール・マリーナベイサンズを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
英語や中国語、ヒンドゥー語が渾然一体となってどこそこから聞こえてくる・・、ほぼ赤道直下のこの国にきて5年という時間が過ぎようとしています。
小さい頃から、写真家になるには英語を習得しなければ、という目標のためいつかは海外に出ようと考えていました。
しかし、「海外に出るには日本での就業経験が2~3年ないと厳しい」と聞き、大学卒業後に都内の写真スタジオに就職したのが東北大震災の年。
地震で崩れていく生活のもろさを目の当たりにし、後悔の無いようにという思いから半年でスッパリと退職し、シンガポールに移住してしまいました。


  • シンガポールに住むマレー系の人々

  • 欧米の人々も多く住んでいます

 なぜシンガポールを選んだのか?

「英語力が低くても生きやすい」というのが、英語力に自信がなく、初めて海外に出ようという人には一番のグッドポイントといえるでしょう。
シンガポールは多民族・多文化国家。シンガポール人と言われてもピンとこない人が多いのではないでしょうか?

彼らは中華系、マレー系、インド系などからなり、、一般的に英語に加えて自分の民族の言語を話すことができます。(3カ国語を操る人もいます!)
それに加え、シンガポール国内に住む外国人の割合は約40%をも占めており、バングラデシュ、インドネシア、フィリピン、オーストラリア、日本・・・・と実に様々な国籍の人々が暮らしています。

シンガポールに移住した時、何を隠そう・・・わたしの英語力は中学生レベルでした。
スーパーで買い物をするのが精一杯の英語力で日本を出て、英語学校に通いながら写真スタジオでアルバイトを始めました。
生活するにあたって、シングリッシュと呼ばれるシンガポール特有の英語に大変助けられました。
様々な国籍が入り乱れるシンガポールでは、しゃべる言語や英語の癖も様々。そのため拙い英語でも理解しようと努力してくれる傾向があります。
簡単な英語ばかりを使い、発音も片仮名に近く理解しやすいシングリッシュが、わたしに英語を学ぶとっかかりをくれました。
(英語がすでに流暢にしゃべれる人は、シンガポールの英語レベルが物足りなく感じるかもしれません(*'▽'))


  • ホーチミンでのメコン川クルーズ

旅行に行きやすいというのも大きな魅力。

アジアの近隣諸国へ気軽に行くことができます!

マレーシアやインドネシアには日帰りで行くことができ、その他の国も数時間のフライトしかかかりません。LCC(格安航空会社)が充実しており、低価格でチケットが購入できるのも助かります。

旅行での異文化体験を通じて感受性を高めたいと考えている美大生には、とても良い環境ですよ。


  • シンガポールからモルディブまで約4時間半

  • マレーシアの世界遺産マラッカへも日帰りで行けます

シンガポール生活ではじめにぶつかる「壁」とは

住み始めてすぐに、日本の人々はなんて温厚で真面目だったんだろう・・・・!と感じました。(わたしが温厚で真面目というわけではないです)
サービス精神が低い、レジに並ぶと割り込まれる、時間通りに進まない、などなど。
日本の文化ではありえない、という事が日常に散らばっています。

そしてシンガポールに来て3ヶ月後、ついにわたしにもお人好しではいられない事件が起こりました。
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日本の家族から小包が届くはずでしたが、予定日を過ぎてもいっこうに配達されません。
思い切って郵便局に電話をかけてみたところ、「不在だったため預かっている」という返答でした。
再配達の日時を伝えましたが、待てど暮らせど荷物は届きません。そんなことが3回ほど続きました。
これは怒っていいのか?怒るべきじゃないのか?と、拙い英語で恥ずかしがりながら「何回目だと思っているの!いい加減にして!」と電話口で言ってみました。
「オー、オーケー」とすごく不機嫌な返事を聞きつつ、さらなる再配達を約束させます。
イライラしながら電話を切った15分後、郵便屋さんがようやく小包を届けに来ました。
そんな早く来れるなら・・・・最初からちゃんと配達してほしかった、まったく。
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日本のように、ただ頼んだだけではアジアの人々は動いてくれません。念を押し、時にはガツンと強く言う事が必要なんだと痛感しました。
もちろん、悪いところだけではなく生活の中で感動させられることも多々あります。
シンガポールの人々は、自分より年上の人を敬う気持ちが強く、バスや電車でご年配の方を見つけるとサッと席を譲ります。(優先席ではなくても、です!)
そういった場面には頻繁に遭遇します。嫌味のない席の譲り方は、ご年配の方を気持よくさせ周りの人までも優しい気持ちにさせてくれます。
日本を基準に考えることを止め、文化の違いを理解したうえで行動をするようにしなければなりません。


  • 日本人に人気のコンドミニアム。プール付きが多い

  • アイスクリーム屋台

仕事を見つけないと住み続けることができない

短期の語学留学とちがって、どこの国であれ「住む」となると、滞在するためのビザ取得が難しくなります。 
わたしが渡星した当時は、ワーキングホリデービザを簡単に取ることができました。
このビザは、海外旅行と違い長期滞在が許され、就学や就労をしながら生活することができるとても便利なビザです。
滞在できる期間や年齢制限は国によってまちまちですが、期間は1年ほど、そして31歳になるまでの申請を必要とする国が多いようです。(その他に様々な条件があります)

わたしが渡星した当時は、ワーキングホリデービザを簡単に取ることができました。(2011年)
ワーホリ期間内にアルバイトをし、その後ウェブデザイナーとして就業ビザを取り、働きながら作品作りに取り組んでいます。
現在シンガポールではワーホリビザが大変厳しくなっており、取れる人数も制限されているようです。
最高で2ヶ月間の滞在が可能ですが、より長期に滞在するには就労ビザが必要になります。だから、「仕事を見つけないと住み続けることができない」というわけなのです。

シンガポールの魅力のもうひとつは、仕事探しの面でも日本人に優位だということです。
UNIQLO、ダイソー、吉野家やペンタックスなど日本の企業が多く進出しており、日本人向けの求人が多くあります。
その中でも特に、飲食や販売、ウェブ、クリエイター系の求人では英語力のレベルを問わないものがあります。
面接のために渡星する必要はなく、日本からのスカイプ面接が一般的です。
まず、仕事を選ばずに働きながらある程度の英語力をつけ、その後興味のある分野へ転職をするという流れをお勧めします。
(シンガポールではキャリアアップのために転職をすることが一般的です)

求人、住まいなどの情報は、シンガポール在住の日本人がこぞってアクセスする「シンガポールお役立ちウェブ」で見ることができます。
日本人サークルやフリマ、相談コーナーもあり友達を作ることもできるウェブサイトです。


  • 街中のアート

  • 独創的な建築物が多い(パークロイヤルオンピッカリング)

海外に出る上で必要なこと

「勇気」の一言につきます。
勇気というとかっこよく聞こえてしまいますが、ようは「今の生活に踏ん切りをつける」ことができるかどうかにかかってくると思います。
パスポートやビザの申請がもちろん必要となりますし、現地での住む場所、就活、1人暮らしをしている場合アパートを引き払わないとなりません。
そういった、ひとつひとつの準備がめんどくさかったりするんですよね。
途中で諦めてしまわないよう、自分自身を奮い立たせましょう。
家族、友人、といった周りの人間に「海外に○月までに行くから」と思い切って伝えるのもいいかもしれません。
声に出して言ってみることで、夢が現実味を帯び目標に変わっていきます。自分で自分を追い込みましょう♪

海外生活は、どの国を選択するかで大きく違ってきます。
わたしはシンガポールで自己主張・表現の大切さを学び、引っ込み思案で人の顔色ばかりを気にしていた性格を大きく変えることができました。
そういった心の変化が、作品を作る際に大きく表れてきていると感じています。
もちろん、海外の芸術・文化に触れ他のアーティストにもまれることで、作品制作だけではなく発表の仕方や芸術に対する意識も大きく変ってきます。
どういったことを体験したいのか、どんなものに感化されたいのかを明確にし、自分にあった場所選びをしましょう。


  • シンガポールにあるスリランカ寺院

それでもまだ怖がっているあなたに

さて、色々と書き連ねましたが、あなたはまだ海外に住むことを怖いと思いますか?それはなぜですか?
初めてのことをするのは、だれでも怖いです。しかし、あなたの人生を決めることができるのはあなた自身だけ。
やったことがないから、英語が苦手だから、うまくいかなかったらどうしよう、、、と足踏みしていてはすべてがストップしてしまいます。
うまくいかなくてもいい、ダメだったら次のことをすればいいじゃない!
自分の思い描く環境を求めて、気軽で柔軟な気持ちで進むことが大切なのではないでしょうか。
思い悩んでいる方は、一度気になる国に旅行しその土地の文化に触れてみましょう。そのことで、より具体的に移住を思い描くことができると思います。


  • 大衆食堂「ホーカー」で人気のチキンライス

  • あっさりとした味のハッカライス

<おまけ>筆者のシンガポールでの一日

07時30分 起床
08時00分 バスで通勤
08時50分 パン屋さんにて朝ごはんを購入(2S$=約180円)

09時00分 始業・朝ごはんを食べながら一日のタスク管理
14時00分 会社横のホーカーでランチ(4S$=約360円)
      リスのいる公園でプチ瞑想
15時00分 仕事再開
18時00分 終業

19時00分 残業を終え電車で帰宅
20時30分 家の下にあるホーカーで晩ご飯(3S$=約240円)
21時00分 画像編集・自由時間
22時30分 ヨガ&シャワー(シンガポールの家は基本シャワーのみ)
23時00分 家族にLINE電話で近況報告
24時00分 就寝


(写真:得本真子)


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OTONA WRITER

得本真子 / TOKUMOTO NAOKO

日本工学院八王子専門学校および東京工科大学メディア学部卒。シンガポール5年目の写真家&ウェブデザイナー。DTPデザインもやってます。ポジティブなアートが大好きな奄美出身の変わり者。過去にクラウドファンディングサイトCAMPFIREにて資金を集め、個展を開催したことも。 なんでもやりたい、なんでも好き!な自他共に認める(オタク)です。