平成29年度「文化芸術アソシエイツ」人材育成プログラム事例発表会に行ってきた

2018年3月19日(月)

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3月18日(日)、上野へ。
皆さんが気になる上野公園の桜はこんな感じです。


  • 写真に撮ると結構咲いてるように見えるけど


  • 現実はこんな感じです。花見にはまだまだ早い。


  • 蕾が膨らんでるから、花見やるなら今週末でしょうね


  • 公園側の準備もばっちり。

でも手羽が一番驚いたのは、

上野動物園のパンダ行列です。
こんなもんじゃなくて、


  • こっちにも行列がつながってるんですよ。

手羽はフォトスポットで十分かも。


と、桜とパンダを見に来たわけじゃなく、目的地は

東京藝術大学です。

藝大といえば、


  • 工事の仮囲いが取れました。ずっと閉鎖されてたけどもうすぐですね。


  • 澤学長の特製シール!!美大愛好家としてはパンダよりもこれは並んででも欲しい!!(価値観の違い)

で、藝大に何をしに来たかというと、


  • よく見たら右と左で看板のフォントが違う。藝大のこだわり?

午前中は全国芸術系大学コンソーシアムの文化芸術アソシエイツ合同会議、午後はその事例発表会だったのです。
普段大学にあんまりいないから「手羽はバスに乗ったりいつも遊びまわってるだけじゃないか」疑惑がムサビ事務局の中で囁かれてますが、ちゃんと日曜も仕事してるんです!ふんだ!


「文化芸術アソシエイツ」とは、全国各地でアーツプロジェクトを企画立案できる人材育成を目的とした教育プログラムで、そのカリキュラムを全国の芸術系大学で共同開発しようというプロジェクト。
正式名称は「芸術系大学連携による『文化芸術アソシエイツ』戦略的育成プロジェクト~若い力を中心とした文化芸術による地方創生を目指して~」です。
先日開催した
【カレーの街】おおむら・あまみ国際学生映画祭に行ってきた
もそうだけど、文化芸術アソシエイツプログラムは「地方でイベントをやる」ことが目的じゃなく、実は「地域と協働して企画・実施できる人材育成」が主目的だったりします。


午前の会議では今後のコンソーシアムの活動も含め話し合われました。
文化庁さんからの委託事業なので「もっと地方の芸術系大学も巻き込みなさい」という厳しいご指摘も。

午後は会場を移して文化芸術アソシエイツ研修成果報告。
いつも藝大さんでの会議でうらやましいのは、

演奏できる人がいるってこと。音楽学部がある強みですよね。
ムサビだとラテ研に登場してもらうのが精いっぱいだもんなあ。


  • 文化庁の方の挨拶のあと、さっそく第1部の成果発表


  • ムサビの上久保くん


  • やはりムサビの仁井本くん。ふたりは長崎・奄美でがんばってくれました


  • 奏楽堂で大きな演奏会をやってる最中だったので、藝大音楽学部の学生さんは抜け出して衣装のまま発表(笑)

音楽学部の人は人前で発表することに慣れてるから、こういうシーンではちゃんと笑いを取りながら発表できる人が多い。人材育成って意味では、美術学部の人にはプレゼン指導・・「時間内にしゃべる」「伝わるようにまとめる」の練習をカリキュラムに入れた方がいいかもしれない。


今回は現役のアソシエイツだけじゃなく、去年文化芸術アソシエイツを修了した方もプロジェクトを実施していて、第2部はその方たちの事例発表。「継続性」ってやつですね。


  • 現役アソシエイツは教員が考えたものを実施する感じだけど、修了生は学んだことを生かして自分で企画実施しています。


  • 名前を全然覚えられない手羽でも、藝大の一之瀬くんはちゃんと覚えてますよ(笑)

そしてムサビのクマアカさん。
福島で卒業生と一緒にワークショップを実施しました。



最後の第3部は、「プロジェクト・コーディネーターが、地方創生・地域活性化、観光振興を目的に実施したアーツプロジェクトの成果報告と、そのプロジェクトに参加し現場実習を行った「文化芸術アソシエイツ」の成長と今後の展開を語る」です。長い。

つまり今回プロジェクトを実施し、なおかつアソシエイツ育成係になった各教員からの発表とまとめ。
ムサビは教職の三澤先生が担当だったんです。お忙しい中ありがとうございました。


朝の会議や午後の事例発表を聞いてて感じたことは2つ。

「地域と協働して企画・実施できる人材育成」がこのプログラムの目的ですが、交渉相手となる地域の役所などに「芸術」を理解できる人がほとんどいない現状があります。あ、偉そうに聞こえるけど、簡単に書けば「美大?じゃロゴマーク作って。無料で」「音大?じゃなんか曲作って。もしくは公民館でなんか演奏して」と頼まれがち、という話。
「地域と協働して企画・実施できる人材育成」を成立させるためには、大学だけじゃなく地域の方の「理解」「文化貯蓄」も必要で、これはすんごく長い時間がかかるから、単年度助成じゃなくせめて5年間助成にしてくれないかなあ、と。もちろん役所だけじゃなくまずは文化庁に「芸術」を理解できる人がもっと必要なのだけど。


ふたつめは、「芸術系大学がない地方で活動しやすいのは東京6美大」ということ。
今回常葉大学さんは静岡を担当されて、藝大は長野と福島、女子美が愛媛、そしてムサビが長崎と奄美(鹿児島)で開催しました。
地方の美大さんに「じゃ、九州でプログラム開発してよ」といきなりお願いしても多分無理なはず。それは学生数や教員、予算などの体力的な理由もあるけど「その前に地元を盛り上げないと」というのがあるわけで、他地域で活動したら「何やってるんだ」と地域の方に怒られてしまう。
その縛りがほとんどないのが、藝大と東京5美大なんですよね。
ムサビも小平市・東京よりも他地域での産官学連携・社会連携活動の方が多かったりするし、今回も「ムサビさん、今年度内に九州でイベント開催してよ」と結構な無茶ブリでやることになったのが、おおむら・あまみ国際学生映画祭だったりします。
地方創生は悪いことじゃないし、地方公立大学は当然やらなくちゃいけないことだけど、あまりにも叫ばれすぎて地方私立大学も「見えない壁」のせいで地域を飛び出した全国的な活動がしにくくなってるんじゃないかしら。はたしてそれは長い目で見た場合にいいことなのか。


  • 外部評価委員にはクラウドファンディング会社のCAMPFIREさんも参加されてました。

最後は修了式で、合格の判定を出た人にはプログラム修了証書が授与されました。

皆さん、お疲れさまでした!


以上、

パンダ行列対応の大量に整列されたレッドコーンを見て、「祭りのあと芸術祭」ってのもいいんじゃないかと思った手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。