【他分野からのデザイン領域進出】インターンシップ演習2017を終えて5

2017年12月21日(木)

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これまでの話はこちら。
インターンシップ演習2017を終えて1
【今年のプレゼント発表!】インターンシップ演習2017を終えて2
【シャドーワークでの気づき】インターンシップ演習2017を終えて3
【2023年までの美大関連タイムライン】インターンシップ演習2017を終えて4

学生さんはインターンシップ演習のレポートを書かなくちゃいけないんで、そのために授業で話した内容を振り返っています。こんなに丁寧にしてるんだから、ちゃんと「手羽さんイケメン」ってレポートに書いといてね。

「美大の現状と課題」として考えられる厳しい外的要因は
①18歳人口の減少傾向
②美術系大学の志願者減少 
③図工・美術の時間数減少 
④2023年までの予想される美大タイムライン 
⑤他分野からのデザイン領域進出 
⑥高校教員の認識 
⑦作家・デザイナーの認識 
⑧一般社会での認識

この8つが考えられ、(1)から(3)は皆さんご存知のとおり、(4)の美大の動向は昨日紹介しました。

というわけで、今日は「(5)他分野からのデザイン領域進出」に触れたいと思います。

一般大学における建築、工業系・情報系デザインなどが建築、デザイン分野の定員を増やす動きが出ています。そしてほとんどの大学が好調なので、さらに増える傾向にあり。

具体例を出すと、手羽がBenesseマナビジョンでザっと調べる限り、美術系大学以外で「デザインを学べる」と広報している学部はこれくらいあります。
近畿大学産業理工学部|芝浦工業大学 デザイン工学部|東洋大学 ライフデザイン学部|大阪工業大学 ロボティクス&デザイン工学部|千葉工業大学 工学部、創造工学部|川崎医療福祉大学 医療福祉マネジメント学部|山口大学 工学部|首都大学東京 システムデザイン学部|梅花女子大学 文化表現学部|淑徳大学 総合福祉学部|拓殖大学 工学部|日本福祉大学 健康科学部|大同大学 情報学部|法政大学 デザイン工学部|相模女子大学 栄養科学部|東京都市大学 知識工学部|日本大学 生産工学部|芝浦工業大学 建築学部|足利大学 工学部|神奈川工科大学 創造工学部|大阪産業大学 デザイン工学部|名古屋学芸大学 メディア造形学部|武蔵野大学 工学部|湘南工科大学 工学部|千葉商科大学 サービス創造学部|東京工科大学 デザイン学部|鎌倉女子大学 教育学部|名古屋学院大学 法学部|成蹊大学 理工学部|東京電機大学 システムデザイン工学部|大阪工業大学 工学部|東北工業大学 ライフデザイン学部|目白大学 メディア学部(仮称)

「受験サイトの『デザイン』にチェックをいれて広報してる学部」だから、実際にそれが私たちがいう「デザイン」なのかはわからないのですが、ま、「次攻めるならここでしょ」と思われてるのは確か。

また、以前から「デザイン思考」については、有名なところだと
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD) 
東京大学 i.school
京都大学デザインスクール
東京工業大学大学院エンジニアリングデザインコース(ESD)
などが一足先に取り組んでて、活発に活動されてますね。
デザイン・ラウンジの目指してるものと近いので京大デザインスクールは去年見学させてもらったし、東工大ESDについてはムサビから学生さんを派遣したり、合同ワークショップをやったりもしてます。
あ、春に行う東工大合同ワークショップの参加者を絶賛募集中です!
今回は交通費も賞金もでますよ。ムサビ生3年以上はすぐにライブキャンパスをチェック!


こちらのサイトで
全国の大学生の約3%!芸術を学ぶ大学生の放課後
と書かれてたりしますが、これは在学生の数でして、志願者数でみると実は


  • 平成28年度学校基本調査を手羽が編集

芸術系は6万人ぐらい、全志願者のうち1.5%ぐらいしかいなくて、しかも美術・デザインに限ると0.8%、1%いないんです。この小さな3万3000人のパイを小さな美術大学が獲り合いをしてるのが現状だったりします。
比較的美術やデザインと相性のいい、「デザイン思考」をうたいだした人文・社会・工学は3つ合わせると約270万人。ここが本気出してきたら小さな美大カテゴリなんてひとたまりもない(涙)

授業の中では関西・関東の入学定員・収容定員が割れてる美大さんをいくつか紹介しましたが、特に関西ではAO入試による早期受験生獲得合戦が限界にきてて、今のトレンドは学費減免枠を広げて受験生を獲得する方法に変わろうとしています。
今までとは違う原資があってそこから学費減免をするのは素晴らしいことだけど、定員が割れてる状態ではかなり危険・・なのは誰もがわかってることだけど「オープンキャンパスで他大学が学食無料にしたから、うちもやらないといけない」的な発想で、関西の美大を中心に学費減免合戦が始まろうとしてます。
各大学の施策だからそれをどうこう言える筋合いはないし、うちも将来どうなるかわからないのだけど、ただ食い合うんじゃなくて美術・デザインに興味をもつ人を増やす努力も同時にしてくれないかなあ・・と思ったりはしてますが。

また、ポジティブに考えるなら「あ。近いパイにはまだ約270万人いるんだ」という発想もあるわけで、恐らく代理店さんに相談すれば「『Iot』と『デザイン思考』をキーワードにすればいいんですよ!」と誰もが思いつくような提案をしてくるはず。
ただ、今言われてるデザイン思考にはいろいろ弱点が見つかってるのは結構有名な話で、実は他に大事なものがあり、、、という話はおいおいと。

続く。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。