美大ってなんだろうね。美術ってなんだろうね。

昨日定期人事異動の発表があった手羽です。手羽は全く変わらずですが、研究支援センタースタッフが全員異動しちゃいました・・・・。

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宇都宮の旅シリーズその3です。

昨日までの話はこちらをご覧ください。
【そこは幻想的な巨大地下神殿だった】大谷石地下採掘場跡へ行く

【我が生涯に一片の悔いなし】念願の地・文星芸術大学へ行く




車を走らせること約20分、某所に到着。
そこはどこかというと・・・

栃木県立美術館!!


美術館で最初に目に飛び込んできたのが、

保田春彦先生の作品
こんなところで保田先生の作品に出会えるとは。
栃木で最初に出会った彫刻が保田先生の作品ってのは何か運命を感じますね。

おっ。これは東京造形の三木俊治先生の作品じゃないか!
あ、東京造形さんの彫刻といえば、現在選抜展やってますよ。
■東京造形大学彫刻専攻四年選抜展'15
●会期:5/29日(土)-6/6(土)
●会場:東京造形大学ZOKEIギャラリー他

ブールデルもあったり、ムサビ彫刻の戸谷先生の作品もあったり、栃木県立美術館は彫刻作品が強くていいっすね。

・・・って彫刻レポートをするために来たわけではなく、今回の栃木訪問はこれが主目的だったんです。

栃木県高等学校教育研究会美術・工芸部会での講演を頼まれまして。
つまり、栃木県の高校美術教員の研究会ですね。


去年の講演はクワクボリョウタさん、その前がタムラサトルさんと栃木出身の作家さんが続いてたんですが、突然なぜか栃木出身でもなく作家でもない手羽に声がかかったと。
「名前がカタカナ縛り」で探して手羽になったのだろうか。手羽は漢字なのに。

というのはアレで、2013年に非公式ムサビ卒業制作展ツアーをやりまして、その時に参加された茂木高校の先生(ムサビOB)から声をかけていただいたんです。

お話をいただいたのが2月。
タイトルはすぐに決めました。
「美大ってなんだろうね。美術ってなんだろうね」。

ただ、生徒さん、保護者、美大生、美大職員の前では話したことあるけど、高校の、しかも美術の先生にってのは手羽も初めて。
タイトルを勢いで決めちゃったけど・・というかこういう話しかできないのだけど・・・何を話そうか・・・。

と散々悩んだあげく、いつも12月にやってる授業「インターンシップ演習」とムサタマトーク用にタマビの米山さんと作ったスライドを合体させ、「美術」への提案をいれこんだ話に。

しかし・・・この写真、クネっとしてますね。。。。あれだけ「ブログ用にクネっとしてないかっこいい写真だけ送ってください」とお願いしたのに・・・。

「ほ、他にかっこいい写真ないんですか??」と求めたら

こんな写真が送られてきた・・・。ま、このスライドから内容を推測してください(笑)
こういう講演会は作家か、美術館館長か、美大教授が呼ばれ「美術っていいよね」「美術教育の事例」などを話されるのが普通なので、手羽は「大学広報」「戦略」として捉えた美術教育の話をさせてもらいました。



この講演会のために作ったデータもありまして。
それは、アート系高校生向けコンペ受賞高校の県別一覧です。
高校生向けコンペから手羽美★の広報戦略を考える
↑ここで詳しく語っています。
これから県の美術教育振興度が見えるんじゃないか、と仮説をたててみたんです。

で、4つのコンペのうち1つしか入賞していない県が6つありまして。
それがどこかというと、

山形県、茨城県、群馬県、富山県、石川県、そして・・・栃木県だったの・・・。


えーと・・・・えーと・・・・気分をかえましょう(汗)


「美術の現状」として、いくつか例を出しました。
ひとつだけ紹介すると、日本テレビ「世界一受けたい授業」です 。

これまでにグッドデザイン元審査員である多摩美術大学プロダクトデザイン学科長・和田達也教授や東北芸術工科大学デザイン工学部環境・建築デザイン学科 志村ネコミミ直愛教授が先生役で出てるんですが、お二人とも科目は「美術」ではなく「社会」なんです。知ってました?
話してる内容が
●あっ!と驚く技術と発想!暮らしを豊かにするグッドデザイン
●自販機の投入口はなぜタテとヨコがある?

なのに、「美術」ではなく「社会」なんです。

「テレビだから主要5科目しかないんじゃないの?」と思うかもしれません。
でも美術の科目もちゃんとあるんです。じゃ、「美術」では何をやってるかというと、
●だれでも絵が上手に描けるテクニック~クリスマスカード&年賀状編~
●たった2つのポイントで劇的に上達 2週間でどれだけ絵が手くなれるのか?

です。これが世の中的に「美術」であり、現状なんです。

一般の方は「デザイン=美術」と思ってないし、美術と社会のつながりを知らない。
その人たち相手に「美術は大事!美術をなくしちゃダメ!!」といくらいっても通じないんじゃないか?と思ってて、一方で「美術は情操教育として大事なのだ!」「美術は答えはないのだ!!」な美術の本質をちょっと言いすぎてしまったんじゃないか?というのが私の考えです。

具体的な解決方法として、
中学・高校で「美術」っていらないかも
ここで書いたぐらいのことしか思いつかないんですよね。
あ、「美術を正当化する合理的な方法」として、です。
現在の「美術」を否定するものではありません。


今回直前までデータをいじってたんで・・・文星さんの学食でもデータを修正してた・・時間通りにいくか不安だったんだけど、きれいに1時間30分弱で終わることができました。よかったよかった。

今回声をかけていただいた横田先生を始め、「美大愛好家」なんてわけわからん肩書のやつに講師をさせてくれた栃木県高等学校教育研究会美術・工芸部会の皆さん、大変貴重な機会を作っていただきありがとうございました!!
WEBでの情報UPもありがとうございます!
平成27年度美術工芸部会総会、講演会を開催しました。 - 栃高教研 美術工芸部会




業務連絡。
せっかく大人向けのデータを作ったので、どこかの美大さん、職員SD研修で手羽を講師で呼んでください。神戸芸工さんあたりいかかですか?



講演会が終わったのが3時半。
今から車飛ばせば間に合うかも・・・・よし、行くか!!



まさかの続くっ!!!

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。