先週出した問題の回答・解説編をお送りしています。
■【あなたは解けるか?】ムサビ検定、略してムサケン。
■【あなたは解けるか?】ムサビ検定、略してムサケン【答え合わせ編1】
では、後半戦行きます。
ムサビ検定2017【初級編】
問6.2017年現在、ムサビに実在する学科名を選びなさい。(複数回答可)
A 日本画科
B 情報デザイン学科
C 油画学科
D 基礎デザイン学科
ひっかけ問題で、正解はDの「基礎デザイン学科」です。「複数可」と書いてますが正解は一つだけ。
「A 日本画科」は、「科」じゃなく「学科」!
「B 情報デザイン学科」なんてもんはない!ムサビにあるのはデザイン情報学科!!
「C 油画学科」もありません。油絵学科!!!
他にも「視覚デザイン学科」「工業工芸デザイン学科」と間違えて書いてるケースもありますが、多いのはこの3つのパターン。
ムサビ入門では「自分の所属する学科名ぐらいはちゃんと書けるようになろう」という話が何度かされてきました。「そんなまさか」と思うかもしれませんが、これが意外と書けない。特に「映像科」とか「学科」と書かずに「科」と書いちゃうパターンがあまりにも多く、私もインターンシップ演習で毎年「『学科』を『科』と略すことはないだよ」と話してるくらいです。
でもそれでも間違えるんですよね・・。上記の「油絵科」は研究室が作った張り紙なのに、です。
「大学で学んでいるのは学問。『彫刻』じゃなくて『彫刻学』。だから『学科』なんだ」と覚えれば二度と間違えることはありません。
・・・と、ここまで説明しても今週も「基礎デザイン科」と書いてる学生さんがいて、「これ見たら向井先生が泣くよ・・一番『学』を忘れちゃいけない学科なのに」と思ったりも。
問7.視覚伝達デザイン学科の前身はどれか?
A 芸能デザイン専攻
B 商業デザイン専攻
C グラフィックデザイン専攻
D 実技専修科
Bの商業デザイン専攻が正解。
略して「商デ」と呼ばれてました。
ちなみにAは空間演出デザイン学科の前身で、略して「芸デ」。
リリーフランキーさんを紹介する時に面倒な時は私も「空デ卒です」と言ったりするけど、正確には「芸デ卒」なのです。
■リリー・フランキー「美大生にしか持てない刀がある」
今の私達からすると「芸能のデザイン??」と感じるけど当時の先生のお話を聞くと、空間演出デザイン学科へ改称する時に周りからは「空間演出ってフワフワした言葉でみっともない。芸能デザインしかありえない」という声の方が強かったそう。新しい学問領域を打ち出す時ってそういうもんだろうし、むしろそういう声が起きないと「既に新しくない」ってことなんでしょうね。
そういえば、デザイン情報学科ができる時はリアルタイムにその場にいましたが、やはり「デザイン情報?!デザインの情報?おかしくない?じゃなに、『略してデ情』とか言ったりするの?(半笑)」と思ったもんですが、今は普通にデ情デ情って言ってるし。
問8.造形学部の正しい英語名称を選びなさい
A College of Art and Design
B College of Art
C College of Arts
D College of Art and Craft
Aの「 College of Art and Design」。
「『造形』をどう訳してるか?(解釈してるか?」ってことでもあり、これは大学によって違います。
ムサビと成安造形大学さんは「Art and Design」だし、長岡造形大学さんは「Design.」だし、東京造形さんは「Zokei」で、名古屋造形さんは「Nagoya Zokei University of Art & Design 」です。
問9.武蔵野美術大学1号館・4号館・7号館等を設計した日本を代表する現代建築家は?
A 藤本壮介
B 芦原義信
C 竹山実
D 伊東豊雄
これはムサケンやる直前に建築・鈴木先生が説明してたので、少なくともこの日受講生してた学生さんは間違っちゃ困るんです(笑)
Bの「芦原義信」が正解。
芦原先生は鷹の台キャンパスのグランドデザインの他に駒沢オリンピック公園体育館・管制塔、ソニービル、国立歴史民俗博物館、東京芸術劇場等も設計されてます。
ちなみにAの藤本壮介さんは ムサビ図書館等を設計された方、Cの竹山実先生はムサビ10号館やSHIBUYA109等、そしてDの伊東豊雄さんは タマビ図書館等です。
そうそう。
ムサビの建物といえば、数年前からネットで「ムサビを真上から見たら『日本』が隠れてる!」と話題になってます。
こちらは最新の航空写真ですが、確かに1号館が「日」、中央広場が「本」に見える!!
(諸説あるけど)大蔵省を真上から見たら「円」になってたり、建築家は時にこういう遊び心を入れることがあるし、昨日紹介したように建築家はいろんなストーリーを描いて設計するもの。なのであながち芦原先生が意識してグランドデザインの中に「日本」を入れた可能性はなくはない。もともと「帝国美術学校」と言ってた学校ですから。
で、建築学科の鈴木先生が調べてみたところ、
これは1975年の航空写真ですが、中央広場の斜めの道はないんですね。むしろグリッドを優先した形。
なので芦原先生はグランドデザインの中に意識して「日本」を入れたわけじゃなく、たまたまそうなったんじゃないか、というのが鈴木先生の見解。
夢のない話ですいません(笑)
「日本」が建物でできてればアレですが、道は必然性とかで生まれるもんなんだな、と。「デザイン」と「UX」の違いを表す画像を思い出します。
あ、そんな芦原建築に関する展覧会が、なんとタイムリーなことに8/13まで美術館・図書館で開催中です!これは行くっきゃない!
■芦原義信建築アーカイブ展―モダニズムにかけた夢
はい、宣伝も兼ねた問題でした(笑)
では最後の問題。
問10.鷹の台キャンパス敷地面積(南北キャンパス合計・2016年4月現在)は、13インチMacBook Pro(2016発売・閉じた状態)の約何台分か?
A 約7000台
B 約1万7000台
C 約170万台
D 約35億台
10問中9問はムサビ入門をちゃんと聞いていれば解ける内容になってるんですが、これだけはそういうわけにはいかない(笑)
よく「東京ドーム何個分と言われてもわからない」と言われますよね。なので、普段使ってる身近なもので計測してみよう!という問題。
ムサビの敷地面積は110,040.59㎡、 13インチMacBook Proは30.41×21.21cm= 0.06459㎡、割ると1703678.4なので、正解は「C 約170万台」となります。
このムサ検は3月に作ったんですが、自分の中でブルゾンちえみブームがきてた時期だったんでDが35億なのはその名残(笑)
もっと身近なものだと、予備校時代に使ってたデスケルだと約683万個分で、だいたいデスケルって500円ぐらいだから、34億円出せば大学全体をデスケルで埋め尽くすことができます。
・・・。え。もっとわかりにくい?
えーと、ちなみに東京ドーム2.3個分、サッカーコート15.4面分です。
・・・うん、やっぱりこの方がボリューム感がわかりやすいね。人間ってイメージとして把握したいだけで、普段見慣れてるかどうかは関係ないんだな。
というわけで、これで答え合わせは終了。
レベル的には、通常のムサビOBOGなら3問、ムサビ教職員なら8問、ムサビ入門をちゃんと受講した学生さんなら8問以上の正解率を目指した設定にしてありました。
みなさんはどうでしたか?ムサビ教職員で正解が7問以下の人はちょっとやばいっすよ。
で、答え合わせをやったところ、9問正解者が4名、そしてそしてなんと、全問正解者が1名出たんです!!もうムサビマスターですな。
太っ腹な手羽は全問正解者に手羽のサイン入りムサビ日記と、「そんな10年前の本なんかいらね」と言われても嫌なので、基礎デOB・ヨシムラヒロムくんが書いた現在もamazon「芸術教育 」ランキングで上位に入ってる「美大生図鑑 あなたの周りにもいる摩訶不思議な人たち 」を、もとは同じ帝国美術学校だったタマビのオープンキャンパスバッグに入れてプレゼントしました。
今回のムサビ検定は、授業「ムサビ入門」の内容に合わせた初級特別編として作りました。なので大学史的な要素が少し強めなんです。
実は問題は他にも作ってありまして、そっちはもっとマニアックな内容になっています。いつか機会があれば発表します。
将来は初級編はムサビに興味をもらってもらうために、中級以降は職員採用試験とか、高校説明会で説明をやる人とか、どれだけムサビに興味を持ってるか、アンテナを張ってるか見るために昇進試験とかで使えるようになるといいなあ。「●●資格を取りました」とかよりも「ムサ検初段です」とかの方が価値があるんじゃないかと。
以上、今日は七夕、願い事は「みんなが仲良くなれますように」な手羽がお送りいたしました。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。