美大入試アドバイスシリーズ「ビダモン」はこちら。
■【ビダモン2017】美大受験生へのアドバイス。まずは交通編
■【ビダモン2017】美大入試当日に関する11のアドバイス
■【ビダモン2017】美大実技試験に関するたった1つのアドバイス
■【ビダモン2017】美大学科試験に関するたった1つのアドバイス
今日はタマビ・東京造形・日芸の試験がありますが、ムサビ的には何もない中日。
後半戦も頑張っていきまっしょい!
手羽は昨日振替休日が取れたので
午前中はスパイラルでやってる工デ・クラフトの学外卒展を見に行きました。
学内で展示されてるより数段よく見えますね。クラフト卒展は今日までやってるんで、時間を持て余してる受験生がいたら見に行ってみたら?
んで午後は青山のシャオツな会社でミーティング。結局仕事してるわけだけど、休みを取らないとこの時期外に出れなくて(笑)
今日は皆さんお待ちかね、クマアカさんによる全国芸術系コンソーシアム「文化芸術アソシエイツ育成プログラム」気仙沼視察研修レポート 二日目をお送りいたします。
1日目の様子はこちら。
■クマアカの文化芸術アソシエイツ育成プログラム気仙沼視察研修レポート
グレー太文字がクマアカさんのレポート、黒文字が手羽補足コメントです。
クマアカです。
全然整理できていないのでまとまった感想が書けてないですが、ひとまず視察2日目のご報告を。
視察2日目は、気仙沼市内の小中学校に伺いました。
1校目は気仙沼市立鹿折小学校で、校長先生と教頭先生とお話をさせていただき、校内を見学しました。あ。学校内の様子は写真があまり使えなそうだったので描いてみました。
・・・てか、「写真が使えなそうだから描いた」って、サラっと言ってるけどこれが美大生のすごいところだよな・・手羽はもうこんなに描けないなあ・・浦沢直樹ぐらいにしか描けない(張り合ってみた)
鹿折小学校は2010年12月に新校舎に立て直したばかりで被災し、校舎1階、1.4メートルまで浸水したそうです。
見学した校舎内はきれいで明るい雰囲気。
平日だったので、児童の皆さんはそれぞれのクラスで授業を受けていました。
鹿折地区の公民館が津波で被災したため、現在は小学校に併設し運営されているそうです。
給食もいただくことができました
2校目は気仙沼市立新月中学校に伺い、1、2年の生徒の皆さんと交流してきました。
新月中学校は高台にあるので津波による被災はしていませんが、裏手に復興公営住宅が立ち並んでおり、沿岸部から転居してくる生徒が増えているそう。
「志交流会 生き方を学ぼう〜自分探しの旅〜」ということで、グループに分かれて、生徒の皆さんから色々と質問を受けながら、アソシエイツが自分自身について話をする形。
グループ内での司会進行はすべて生徒さんが担当し、皆さんとてもしっかり自分の言葉で話をしていたので驚きました。
そして、これもサラっと小学生を「児童」、中学生を「生徒」を使い分けてるけど、これができない人も多いんですよね。ムサビの教授でも「うちの生徒が」と言ってる方がいますし。さすがムサビの教職を取ってただけはある。
ここに出てくる「志交流会」はたぶん宮城県独自でやってる「みやぎの志教育プラン」というキャリア教育の一環ですね。
始まるまではアソシエイツのメンバーも緊張してましたが、中学校の先生の似顔絵を描いたり、作曲を披露したり、終わってみると話し足りない!と言っていたメンバーもいて、それぞれ充実した時間だったようです。
私も生徒の皆さんと近い距離で話すことができて嬉しかったです。
「個性や才能ってどんなものだと思いますか?」と聞かれて「わからん…」となりましたが…笑
新月中学校では、サークルタイムという時間をつくり、学年を縦割りのグループを編成して、新聞記事などを題材に、内容について話し合うというような時間を設けているのだそうです。
普段から言語活動に積極的に取り組んでいらっしゃる印象。
最後は生徒の皆さんが合唱をしてくれました。鳥肌が立ちました。
個性や才能とはなにか?・・・・難しい質問だなあ・・。
一般的には「才能や個性があるから美大や音大に進み芸術家になる」と思われがちですが、多くの美大生・音大生はそうは思ってないんじゃないかな。
小さい頃から絵を描いてたりピアノやヴァイオリン弾いたり、「それが好きだった」から美大・音大という進路を決めた人がほとんじゃないかと。心のどこかに自信がなければこの道に行こうとは思わないけど、それを「もともと備わった才能によるもの」とは誰も思ってないはず。
才能や個性って、なにかの「きっかけ」が転がってたり、それを止めなかったり褒めてくれた「環境」が大きく影響してるように手羽は思ってます。
ちと親バカに聞こえるかもしれないけど、最近起きたこんな話を。
手羽はやはり子供の頃から漫画やイラストを描くのが大好きで、結局美大に進学しました。
でもその漫画やイラストはなにかを写して描いたり、パクリだったりパロディだったり影響を受けたものしかなく、「自由に描け」と言われると何も描けなくなる普通の人間です。
絵を描いてる「時間」が好きだったのを「自分って才能あるかも。美大でも行くか」と勘違いしちゃったクチ。美大進学希望のきっかけはそれでいいと思ってます。
で、中3の息子・リンクロウくん。
小さい頃あちこちの美大のオープンキャンパスやワークショップ、展覧会に連れまわしたけど、それがトラウマになったのか、家で絵を描いたりほとんどしないし、美術の時間があんまり好きじゃない子に育ちました(笑)
だけど、なぜか昔から図工と美術は成績がよく。
数年前「オレ、バカだからムサビ行こうかな」と冗談で言ったのを手羽が真に受け「バカはムサビには入れないんだよっ!」と喧嘩した手前、「少なくともリンクロウが大学受験する時まで定員割れしないムサビを作る」が手羽の最大の目標です。それ以降は・・いいや。
この1月に高校推薦入試の面接があり、そこで絵が1枚必要になったんです。美術系高校ではないんですが、成績が4以上のものは何かしらの提出があり、それが数学と美術だったと。
でも美術の時間に描いたものは提出サイズより小さく、美術の先生に放課後指導してもらえないかリンクロウが聞いたら断られ(非常勤だったんで)、結局年末1か月だけ近所の絵画教室(女子美出身の方だった)で事情を説明し、絵を描かせてもらうことにしました。
手羽としては「水彩で静物を何枚か描いて、そのうちいいやつを1枚選べばいいか」ぐらいの気持ちだったんだけど、彼が選んだのは完全な創作画。「自由に描きたい」んだそう。「創作って基礎があって描けるものだよ。時間もないからモチーフをそのまま描く静物画が楽だよ?うまい下手はあきらかになっちゃうけど」と言ったけど聞く耳持たず。
そして1か月後1枚絵を持って帰ってきたら、「・・なんでこんな絵が描けるんだ?!」と美大OBとして嫉妬したくなる絵で。テクニックは中3そのままのレベルで拙いんだけど、親バカ目も抜いても、パクリ絵しか描けなかった手羽にとって「その発想はどこから思いつくんだ?・・これが才能ってやつなのかな?」という絵で。
彼の生まれ持った才能もあるだろうけど、あちこちの美大に連れまわして「ああ。こういう表現もOKなんだな」というストッパー・リミッター解除を経験したのもあるんじゃないかと。
ちなみにおかげさまで無事に高校合格しました。
美大進学者が多い高校なんで、美大関係者の皆様、もし3年後「手羽リンクロウ」の名前を見かけたら「手羽の息子だ!」といじめないで優しくしてあげてください。
2日間の視察を終えて今回は、気仙沼へ行けたことが一番良かったです。現場に身を移して実際に見聞きし震災を知る機会があったことは必要なことで、重要だったと思います。行こうと思っているまま時間が経ってしまったので…
見て聞いて、やっと少しは知ることができたかなという気がします。
福島の状況とはまた違った感覚で、私にとっては改めて向き合うための機会になりました。
とにかくこの2日間の視察中、美術館の山内さんもスタッフの皆さんも、小中学校の先生にもとても良くしてくださいました。ありがとうございました。月末の実践研修に向けてがんばります!
クマアカさん、お疲れのところレポートありがとうございました。
本人も書いてるけど、今回はあくまでも「視察」で月末が本番。時間もないけど頑張ってね!
以上、12月まで気仙沼は「ケセヌマ」と発音するものだと信じ切っていた手羽がお送りいたしました。
「ケセヌマ」で打って変換してくれないんですよ。だってほら「ケセヌマちゃん」って昔いたじゃないですか・・・って今調べたら「ケセンヌマちゃん」なのね・・・他にそういう方いないかしら・・。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。