【存在するものを否定するのは簡単】インターンシップ演習2016を終えて6

2016年12月24日(土)

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メリークリスMAU!

・・・手羽は10年前から「メリークリスMAU!」というムサビ挨拶を浸透させようとしてるのに、全然流行る気配がありません。
たった一言「メリークリスマウ!」とつぶやくだけでいいのに「ちょっと今忙しいから」と断られるんです。みんなtwitterやfacebookの写真をクリスマス帽バージョンに変更してる時間があるのになぜできないのか。みんなでやりだせば恥ずかしくないのに。
あ、24日でも25日でもどっちでもいいです。そのへん適当です。これ読んだ人は最低1メリークリスMAUがノルマなんでよろしく。


これまでの話はこちら

インターンシップ演習2016を終えて1
【今年のプレゼント発表】インターンシップ演習2016を終えて2
【デザインの本質】インターンシップ演習2016を終えて3
【シャドーワークでの気づき】インターンシップ演習2016を終えて4
【PARTNERは死んだ方がいい?】インターンシップ演習2016を終えて5
 

昨日の記事との関連でこの話も書いておきます。

ここ数年インターンシップ演習で毎回やってるのが、
「存在するものを否定するのは簡単」という話。

あるテーマ(お題)に対し、強制的に肯定派と否定派に分かれてディベートをやる「ディベート研修」という手法(ゲーム)があります。だいたいは前半戦・後半戦があり、前半・後半で肯定派と否定派が逆になります。
あくまでも研修(ゲーム)なので、自分の思想・主義主張はどこかに置き、賛成側・反対側の論理を構築できないといけないんです。 研修の場合だと事前にテーマを聞いて、それを調べてから参加することが多いかな?

この研修の狙いは2つあって、1つ目は「問題発見能力・調査力・提案力・説得力を鍛えること」

手羽は私立大学合同の研修でこれを経験したんだけど、その時のお題は
「私学助成は必要である。是か非か」
でした。

「私学助成」とは簡単に言うと、「国等からの大学への補助金」。いらない大学なんてあるわけがなく、当然必要に決まってます(笑)
だから最初は「賛成の方が簡単だよね」とみんな言ってたけど、やっていくと「否定する方が簡単」なことに気がつくんですね。なぜなら、既に存在するものはどんなものでも必ず不都合・不具合があるからです。しかも具体的な矛盾点が。
私達が絶対に必要だと思ってる私学助成金だって、それは大学関係者の論理に過ぎず、
「なぜ大事な税金を使って私立大学を国が守らなければいけないの?普通に考えたら、そのお金を国立に回した方がよくね?あんたら私立なんだからもっと経営努力すればいいだけじゃん。世の中はとっくに実力主義なんだし、負けた私立大学は淘汰されるべき。違います?なんか間違ったこと言ってます?」
と一般論で攻められたら、身もふたもありません。

存在する矛盾点を追究してるから否定派の方が論理的に感じるし、理想のあるべき姿を語ってるので説得力があり、聞いてる方も理解しやすい。
逆に、問題点を抱えつつ存在しつづける理由をちゃんと説明するのはかなり困難です。「行動の根拠」って説明が難しいし、見えないものを想定して理由付けしなくちゃいけない。
最後は「でも必要なんだもん・・なんとなくわかるでしょ?」的な精神論的な話になってしまう傾向にある。

芸術祭(学園祭)を例にするともっとわかりやすいかな。
「芸術祭にお酒は必要か否か?」
をテーマにした場合、おそらく多くの方が「お祭りなんだもん。成人限定であればお酒ぐらいいいんじゃね?」と感じるんじゃないかしら。
でも、否定意見はお酒のリスク等データを揃えることがいくらでもできるけど、肯定意見は「お祭りでは酒で体を清める意味がある」と「あなたは芸術祭を神事としてやってるつもりなの?(苦笑)」とすぐに突っ込まれる意見や、「でも・・なくなったら寂しいでしょ?」なグダグダなものしか言えず、論理的に「絶対に必要だ」と説明できない。
ディベートをやれば間違いなく圧倒的の差で「芸術祭にお酒は必要ない」が勝ちます。
でもだからといって芸術祭でのお酒を完全に中止にすることがいいことなのか?
(今は多くの大学が学園祭でのアルコールを禁止してるけどね)


ディベート研修での気づき二つ目は「多角的な視点を持つことの重要性」

SNSで学生さんが「理解できん。バカじゃね?死ねばいいのに」とつぶやいてるのを時々見かけるんですが、これが前から気になってて。

なんとなくこれって「問題点の回避」「理解からの逃避」のような気がするんですよ。もちろん本気でつぶやいてないのはわかってるけども、「そんなにあっさり全面否定しちゃっていいのかな?」と。

 

「何故それが肯定されてきたのか」を肯定側の立場でも考えみることって・・・社会の課題発見・課題解決をやるべきアーティストやデザイナーにはすごく必要なんじゃないかと。
「それは理解できない」といきなり全面否定するのではなく、「なんでそうしたんだろ?」から入った方がより高いレベルの結論、社会が幸福になる道を導き出すことができるんじゃないかと。
そのために必要なのが知識や教養で、だから美術大学では実技と一緒にそれを学んでるし、特にムサビはそれを重視してるんですよ、という話につなげてます。


あ、一応補足しておくと「否定・批判しちゃいけない」ではなく、「否定・批判の方が肯定するよりも簡単なんだってことを知っておきましょう。アーティストやデザイナーを目指してる美大生なら、「みんながそう言ってるから」と一般の人と一緒になって叩くのって、あんまりクリエイティブじゃないよね、批判先にまず興味を持ちません?」という話なので念のため。



以上、つまり、
流行とは生まれるものではなく、作るもんなんだよ!
「流行ってないからやらない」じゃなくて、「流行ってないからやる!」の精神が大事なんだよ!
それがクリエイターってもんでしょ?

だからムサビ生は「メリークリスMAU」を使えよ!!

と、これが言いたいがために長々と書いてきた手羽がお送りいたしました。
ええ。すべて前置きです。この最後の4行さえ読んでもらえれば、あとは読まなくていいです。


もう一度いいます。
 
メリークリスMAU!

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。