イギリス人とアート
部屋に飾られた絵画から街じゅうで見つけることができるギャラリーやアート。イギリスでは日常生活の中でアートに親しむ文化が根づいているように感じます。身近なところで言えばイギリスのコイン(小銭)。実はジグソーパズルのようになっていて、6種類のコインを並べると盾が浮かび上がるという遊び心のあるデザインが取り入れられているのです。ちなみに、このコインのデザインは一般公募で選ばれており、当時26歳だったグラフィックデザイナーのMatthew Dentさんがデザインしたもの。
また、イギリスのアートシーンを切り取る上で外せないのがストリートアート。ロンドンの街を歩けば至るところでびっくりするほど完成度の高いストリートアートに出会うことができます。ストリートアーティストのバンクシーはイギリス出身のアーティストとしてあまりにも有名ですよね。
なんで美術館・博物館が無料なの?
そもそもなぜ美術館・博物館が無料で開放されているのでしょうか。理由は単純で、「だってアートはみんなのものであり、上流階級の人たちだけが楽しむべきではなく、みんなに平等に開放されるべきだから。」
イギリスでは国の政策として、博物館・美術館の解放が国民の福利厚生の向上に繋がるという考えを掲げています。博物館・美術館は上流階級の人たちだけのものではない、国民みんなのものであり平等に公開されるべきだという考えがあるのです。ですから企画展などの特別な展示を除いては、いつでも博物館・美術館を無料で楽しむことができるのです。
イギリスには大英博物館のような大きな美術館から小さな美術館まで本当にたくさんの美術館があり、みんなそれぞれに自分のお気に入りの美術館があったりしてイギリス人にとってアートがとても身近な存在であることを感じさせます。今回は、そんなイギリスからぜひ日本の美大生におすすめの美術館を紹介します。
1. V&A Museum
ファッションや装飾品が好きな人におすすめ
ファッション、宝飾品、ステンドグラス、鉄細工装飾品、衣装などを中心として収蔵している美術館で、ファッションや工芸に興味のある美大生におすすめの美術館。定期的にファッションデザイナーや、ファッションフォトグラファーの展示もしており、こちらは有料になってしまいますがおすすめです。また、館内に併設されているカフェも大変人気です、展示を見た後に素敵な空間の中でティータイムを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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2. National Gallery
絵画を中心としたコレクション
ナショナルギャラリーといえばゴッホの「ひまわり」が収蔵されていることで有名ですが、13~20世紀初頭のヨーロッパ絵画コレクションを中心にダヴィンチ、フェルメール、モネ、セザンヌなどの世界的に有名な画家の作品が多数展示されており、ロンドンを訪れた際は必ず押さえておきたい美術館です。有料ですが日本語の音声ガイドも利用可能。
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3. British Museum
英国が誇る世界最大級の美術館
美術品や書籍をはじめとして、考古学的な遺物、標本、硬貨や食器などの工芸品まで多岐に渡ります。イギリスのものももちろん展示されていますが、エジプトやペルシャなど世界中の国々から集められたものが収蔵・展示されています。彫刻や、古代の歴史に興味のある人におすすめの美術館です。ただ、収蔵品の数は800万点にも及ぶ大きな美術館なので、訪れる際はポイントを絞って行くとよいかもしれません。ロゼッタストーンやパルテノン神殿の彫刻は必見。
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4. National History Museum
子供から大人まで楽しめるイギリス最大の博物館
こちらも7000万点以上もの収蔵品を誇る自然史博物館。イギリス最大の自然史博物館ともあって、1日中いても飽きない程のボリュームがある博物館です。コレクションの分野としては動物学・昆虫学・古生物学・植物学・鉱物学の五つに大別され、体験型のブースも多く設けられ来場者が楽しんで学べるよう工夫がされています。一番人気の恐竜の展示室では巨大な恐竜の全身骨格などが展示されており、混雑時には1時間待ちなんてことも。
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5 Serpentine Gallery
公園の中にある小さな美術館
ロンドンの公園内にある小さな美術館。現代美術、近代美術に関する企画展を行っています。夏季限定で隣接する場所にカフェ併設の休憩所「サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン」を、毎年異なった建築家に依頼して建設しており、夏にイギリスを訪れる方はここはマスト!普通の建築物とは違ったコンテンポラリーなアート空間を体感することができます。
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6. Saatchi Gallery
コンテンポラリーアートの企画展が充実
最近ではチームラボが展示を行ったり、シャネルが展示を行ったりと、なにかと話題の企画展が多く行われているここサッチ・ギャラリー。コンテンポラリーアートを中心に扱う美術館としてイギリスで真っ先にあがるのはテート・モダンですが、こちらもテートよりは小さいものの、魅力的な展示を行っていますのでHPをチェックして興味がある展示がやっていればぜひ訪れてみてください。
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7. White Cube Gallery
白で構成された空間で楽しむアート
ここは他の美術館と比べると小さな美術館ですが、ここもコンテンポラリーアートの企画展を多く行っており、真っ白の壁で構成された空間には映像や写真、もちろん絵画など空間を贅沢に使って作品が展示されています。他のロンドン中心部に位置する大きな美術館に比べると観光客で混み合っているということもないので落ち着いて作品を鑑賞することができます。
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どの美術館・博物館もとても無料とは思えないボリュームとクオリティーです。金曜日は多くの美術館が夜遅くまで開館しており、アート系のイベントなんかも頻繁に行われています。また、それぞれの美術館・博物館に併設されているカフェもとても素敵な空間のものが多いですので、鑑賞後は美術館のカフェでアフタヌーンティーを楽しんでみてください。
武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科 卒業 現在はイギリスはロンドンのUniversity of Arts London Collage of Fashion でファッションビジネスを勉強中