【大学の受賞は?】2020年度グッドデザイン賞が発表!

2020年10月5日(月)

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10月1日、2020年度グッドデザイン賞の受賞結果が発表されました。

2020年度グッドデザイン賞受賞概要 | Good Design Award

ところで、そもそも「グッドデザイン賞」って何か知ってます?

グッドデザイン賞は1957年の通商産業省主催「グッドデザイン商品選定制度(通称Gマーク制度)」として生まれ、現在は公益財団法人日本デザイン振興会(JDP)が運営する「総合的なデザインの推奨制度」のことです。

設立当初は「大量生産されるモノのデザイン」が対象だったこともあり、いまだに「グッドデザイン」と聞いて多くの人が真っ先に思い浮かぶのが「かっこいいプロダクト製品」じゃないでしょうか。車とか家電製品とか。
でも徐々に「デザインで生活の質を総合的に向上させること」へ目標が変化し、1990年頃から「価値変化」、2000年頃から「価値多様化」がキーワードになっていきます。1998年の審査基準に「ソリューション(問題解決方法)の適切性」「システム的解決により生活次元でのベネフィットを生み出しているか」という言葉が初めて登場するんで、このあたりがヒト視点に切り替わりだしたターニングポイントになるのかな?(詳しい方教えてください)

一番わかりやすい例は、やっぱり2018年度グッドデザイン大賞を受賞した「おてらおやつクラブ」じゃないかと。

これが大賞なんです。
「これのどこがデザインなのかわからない」「グッドデザインはもうなんでもありになってる」と批判される方もいます。
でも個人的には、2つポイントがあると思っていて、一つ目は2017年までなんだかんだ「デザイナー」が関係した「デザイン」が大賞をとってきたけど、「おてらおやつグラブ」は(恐らく)デザイナーが中心に関与していない仕組みがグッドデザイン大賞を受賞したってこと。
二つ目は、「これはデザインの一種だからグッドデザインに出したら?」と教えた人が周りにいたってこと。日本ではこれを「デザイン」とほとんど教えていないんですよね。
「美大のデザイン教育はガラパゴスになってない?」「美大は受験生や社会にわかりやすいことしか伝えてなかったりしてない?」と危機感を感じるわけで。


てなわけでここから今回グッドデザインを受賞した大学を紹介していきましょ。
といっても、
スマートプランター [grow HOME]

ムサビCIの山崎先生のように教員がデザイナーとして関わったパターンだとキリがないので、「事業主体」「受賞企業」に大学名があるケースとします。
 
 
ストール、スカーフ [トチュウ/ホールラブキョウト/京都伝統文化イノベーション研究センター]

ホールラブキョウト/京都伝統文化イノベーション研究センターは京都芸術大学さん。


モビリティ [地産地消型モビリティ]

長岡造形大学。
 
 
共同住宅 [長者丸 VIEW TERRACE]

東京工芸大学 工学部建築学科 八尾廣研究室。
 

富山大学芸術文化学部(と富山工業高校 建築工学科)。
  
 
公園 [碧南レールパーク]

神戸芸術工科大学プロジェクトチーム 。
 

九州大学芸術工学研究院と山口大学。
 

ノート [3mmLEAF3/4、3mmLEAF2/1、FILENOTE]

こちらも九州大学大学院芸術工学研究院。
 
 
バナーポール・フットライト [YF-A7140/YF-A7141]

東京大学 景観研究室 。
 
今年は大学が関係してるのはプロダクト・建築系が多く、そうじゃないのは、 
スポーツ共創プログラム [創造と遊びを共有することでコミュニティをつないで拡げる「スマート鬼ごっこプログラム」]

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科のこちらと、

ワーカーの知性と感性を刺激する社会実験 [大手町アートラボラトリーズ]

東京藝術大学のアートプロジェクトぐらいかな?

大学施設てことだと、神奈川大学新国際学生寮東京音楽大学 中目黒・代官山キャンパス、それと近畿大学 東大阪キャンパスが受賞しています。
意外と大学の受賞てあるでしょ?
 
 
ところでグッドデザイン賞は「あれはグッドなデザインだから推薦しよう」と勝手に選ばれるわけじゃなく、「応募対象の事業主体者」または「デザイン事業者」からの公募制(申請制)だと知らない人が意外と多いかもしれません。1957年当初は審査委員自身が街へ出て「よいデザイン」を探す選定方式だったけど、1963年から「公募形式」に変わっているのです。
何を隠そう手羽も9年前はそうでした。勝手に「うん、グッドだね!」と勝手に表彰してるもんだと(笑)

また、Gマークを使うのにお金がかかることを知らない人も多いんじゃないかしら。


  • 1957年に日本を代表するグラフィックデザイナー・亀倉雄策氏によってデザインされた「Gマーク」

総事業費によって違ったり、行政機関や学校法人等公共機関・団体だとGマーク使用料は無料、個人だと半額だったりしますが、これも手羽は最初知らなくて、「なるほど。社会の仕組みってうまくできてるんだなあ」と感心したのを覚えてます。以上、余計な情報でした。


で、現在ミッドタウンのデザインハブではこういう展覧会が開催されてます。
東京ミッドタウン・デザインハブ第88回企画展 2020年度グッドデザイン賞「グッドデザイン・ベスト100」

●会期:10月1日(木)-11月3日(火祝)
●時間:11:00-19:00
●会場:東京ミッドタウン・デザインハブ
●会期中無休・入場無料


2020年度グッドデザイン賞受賞対象の中で、審査委員会により特に高い評価を得た「グッドデザイン・ベスト100」の展示で、この中からグッドデザイン金賞等特別賞が選ばれます。
例年だとミッドタウン全体を使って全受賞作品が一堂に会す受賞作品展がありますが、今年は開催されないので、100点だけでもリアルに受賞作品を見れるのはこのチャンスだけなんです。

というわけで、実は

【本日10月4日まで!】五美術大学交流展と女子美高校卒展に行ってきた
のついでに立ち寄ってました(笑)


長くなるので明日に続く!


以上、全然金曜のプレゼンができてないからほんとは更新してる場合じゃない手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。