「自分に嘘をつくな、やり切れ」スペース・コンポーザー 谷川じゅんじ

「良いものを作りたいなら、自分に嘘をつくな、やり切れ」そう言っておられたのは、JTQ株式会社代表であり、スペース・コンポーザーでもある谷川じゅんじさん。今回特別に、美大生に向けたメッセージをいただくことができました!

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アートディレクターの千原徹也さんを塾長に、京都で開催されているデザイン塾「れもんらいふデザイン塾」に、ゲストとして登壇された谷川じゅんじさん。今回は千原さんとの対談の前に少しお時間をいただいて、クリエイターとしてお仕事をする上で大切なことを5つ教えていただきました!

>> 「れもんらいふデザイン塾」の潜入レポート記事もぜひ!
「東京でしか知り得ないことを、京都でも。噂のれもんらいふデザイン塾に潜入してきた!」



谷川 じゅんじ Junji Tanigawa

スペースコンポーザー
JTQ 株式会社代表
2002年、空間クリエイティブカンパニー・JTQを設立。 “空間をメディアにしたメッセージの伝達”をテーマに、さまざまなイベント、エキシビジョン、インスタレーション、商空間開発を手掛ける。独自の空間開発メソッド「スペースコンポーズ」を提唱、環境と状況の組み合わせによるエクスペリエンスデザインは多方面から注目を集めている。主な仕事に、パリルーブル宮装飾美術館 Kansei展、平城遷都1300年祭記念薬師寺ひかり絵巻、GOOD DESIGN EXHIBITION、MEDIA AMBITION TOKYOなど。2016年現在、外務省JAPAN HOUSE Los Angeles 事業プロデューサー、茨城県北芸術祭クリエイティブディレクター等を務める 。





>> 1
「《何をやりたいのか》も大事だけれど、《誰とやるか》がますます重要になっていると思います」

たとえば今回、谷川さんが京都で開催されたイベント
「れもんらいふセッション」にゲストとして参加した理由は、
他でもなく、塾長の千原さんと「友達」だから。
友達からの依頼にできるだけ協力したい、
そんなシンプルな思いから参加することにしたのだと言います。


この人とだったらこんなこともできそう、
一人じゃできないこともできる気がする、
そうやって「誰とやるか」も考えていくと
面白い方へ面白い方へ、必ず世界は広がっていく。


だからこそ、美大生に伝えたい。
「美大生、社交せよ。」

殻に閉じこもっていないで日頃から自分自身を整理し、
一言で自分のやっていることを説明できるように「準備」すること。
自分の「才能」を知ってもらわなければ始まらない。



ぐっ・・・谷川さんからいただいた喝を、
そのまま皆さんにおすそ分けします。





>> 2
「プロも、みんな死に物狂いで仕事をしているんです」

業界を代表するクリエイターの生み出す美しいアウトプット。
だけど、人から見えているのは上澄みだけ。
実は綺麗なアウトプットの裏側で、僕は死に物狂いで必死に仕事してきた。
そういうことを若いクリエイターにもかっこつけず伝えたい。

優雅に見える白鳥も水面下では激しくバタ足している‥‥。
そんな私は、谷川さんの気迫に終始圧倒されていました。



>> 3
「実は一番良いものができる場は《打ち合わせ》」

普段から打ち合わせ中に「答えを出す」よう心がけている谷川さん。
つい打ち合わせでは考えてきたことを発表する場になり、
肝心の考えること、答えを出すことは「また次回」と、先送りにしがち。

しかし谷川さんは、打ち合わせをただ発表し合って聞く場にするのではなく、
その場で一緒に「良いものを作り出す」ように工夫しているのだそうです。
たとえば、打ち合わせの前にあらかじめ資料を送って目を通しておいてもらい、
打ち合わせの場ではそれを元にディスカッションし、答えを練る時間にする。
 

これは仕事の場だけでなく、
学校のグループワークなどでも通じますよね。



>> 4
「自分に嘘をつかないこと。自分に正しく誠実に、そしてやりきることが大切です」

ご自身が参加するJAPAN HOUSEなど
「日本」がキーワードとなる仕事が増えたという谷川さん。
かつて剣道で培ってきた武士道精神や作法が
そうした仕事に活きていると言います。

また、剣道を通じて学んだ「誠実にやっていくこと」は、
谷川さんが仕事をする上でも重要な核になっています。


良いものを作ろうとしている時に、
自分の中でどこか妥協や疑問が残ったまま進めたら、
そういう仕事は必ずボロが出る。
その嘘を一番よく知っているのは自分なんです。
だから、自分に嘘をつかず、「良い」と思うまでやりきることが大切。
 

ところで、JAPAN HOUSE、
ビジョンもWEBサイトも最高にクールで、
まばたき厳禁なプロジェクトです。



>> 5
「クリエイターは、ユニークネスであり続けろ」

谷川さんのお仕事をもうひとつご紹介します。
2013年に開催された「UT POP-UP!TYO」、
東急東横線渋谷駅跡地を使って世界最大のUTストアを創出しました。

なかでも話題となった企画が、
会場を訪れた参加者がUTを着て映像を撮ると、
空間の壁面にプロジェクションマッピングされるという
ユーザー体験型の仕掛け「UT CAMERA」。
参加した人たちの映像からは、その喜びが伝わってきます。


UT POP-UP!TYO


人が喜んでるのを見るのが嬉しい、
だから人を喜ばせたい。
谷川さんの仕事哲学が伝わってくるお仕事です。


クリエイターにとって重要なのは、ユニークネスであり続けること。
自分は人と何が違うのかに気づき、追い続けていくことこそ人生。
予定調和の中で生きていくなんてつまらない。

美大生はぜひ、どうなるかわからないことを面白がって
本当にやりたいことに挑戦してください。
 





突然にもかかわらず、
クリエイターを志す私たちにたくさんのヒントをいただきました。
谷川さん、ありがとうございました!
これからも素敵なストーリーと体験が詰まった
谷川さんのユニークな空間を心待ちにしています。


執筆:岩谷香穂(関西大学・4年)

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