WEデザインスクール プレオープン体験講座Vol.1【社会人のためのデザイン超入門】レポート

今日の理事会で人事異動が決まり26日に発表されるので、ムサビ職員はみんなソワソワしてる手羽です。ちなみによく聞かれますが、手羽も人事は当日になるまで知らないんです・・法人チームリーダーといってもそんなもんで・・。

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5月21日にデザイン・ラウンジでイベントがあったんですが、手羽は「まちで楽しむ4」の準備でちゃんと見ることができなかったので、代わりに研究支援スタッフの木反橋(キタンバシと読みます)くんにレポートを書いてもらいました。

現場へ行かずに推理する探偵のことを「アームチェア・ディテクティブ」(安楽椅子探偵)って呼ぶけど、目指すはアームチェア・ブログ!最初からこうすればよかった。わざわざ一人で全部行く必要なかったんだ。1年やってわかった。これが今流行りのワーキングシェアなのだ(たぶん違う)。


ただ、そのまま載せてもアレなので、ちょいちょい手羽のコメントをはさみながらお送りいたします。グレーの太文字が木反橋(くどいですが「キタンバシ」と読みます)くんの原稿です。
コメントというか、ほぼブログの書き方添削になってるけど(笑)

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形式がわからなかったので、とりあえず手羽さんスタイルで書いてみました。
編集はお任せしますので、よろしくお願いいたします!

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なんだ「手羽さんスタイル」って。最初からぶっこんできますな。「編集を任せる」とはどういうことか、この素人に思い知らせてやる。。。
 

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5月21日(土)にデザイン・ラウンジで開催されたWEデザインスクールプレオープン体験講座Vol.1【社会人のためのデザイン超入門】に参加してきたのでレポートします。
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そうそう。最近は最初に日時とイベント名を書くようにしてますね(笑)
ちなみに「このイベントがどういうものか」がわかる概要も最近は最初に書くようにしてます。
WEデザインスクールについては、以前書いたこちらをご覧くださいませ。
ノンデザイナーのための学校「WEデザインスクール」プレオープン!!
 

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まずは会場の様子。男女問わず、30代前半くらいを中心に幅広い年齢層の方がいらっしゃっていました。参加されているのがビジネスパーソンということもあり、会場は程よい緊張感。

稲葉校長、井口先生からのご挨拶のあと、さっそく授業スタート!

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「中央の金髪の方が稲葉校長で、ムサビ芸術文化学科卒。」とか、ちょこちょこ余計な美大豆知識プロフィールを入れるのが手羽流です。
 

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今回担当の丸山・中村講師より、例えばデザイナーに発注をする場合、発注者側のデザイン知識のあるなしで、仕事にどんな影響が出てくるか?というお話。
僕もこの前デザイナーさんとお仕事をする機会があったのですが、自分のイメージをなんとなくあでしか伝えられず、苦労しました…。

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ここでもう少し具体的にどういう苦労があったか書けるといいんだけどなあ。

北野武さんが映画「菊次郎の夏」の曲を久石譲さんへ依頼する時に「ジョージ・ウィンストンのアルバム『AUTUMN』のような曲にして欲しい」 と説明した、という有名な話があります。これ、作曲家からしたら屈辱的というか、正直「じゃジョージ・ウィンストンに作らせろや!」ですよ。
でもそこはプロの久石さんで、その依頼を見事に昇華し生まれたのがご存じ「Summer」。
「ああ、どんな依頼方法でもクライアントがイメージしてる以上のものを提案するのが本当のプロなんだなあ」と。


これはデザインの依頼でもあてはまって、クライアントが「どういうものを作ってほしいか?」と説明するときに「なんかかっこいい感じで」とフワフワした依頼だとデザイナーは「もっと具体的に説明しろや!」だし、具体的に「佐藤カシワのこれに似たやつ」と説明すると「じゃ佐藤カシワに作ってもらえや!もしくはそこまで具体的だったら真似して自分で作れや!」となる。よくあるシーン(笑)
「美大はデザイナー教育をやってる大学」と思われがちですが、「どういう依頼をデザイナーにするべきなのか」というクライアント教育も学ぶ大学でもあるんですね。

ただ、デザイン教育を受けてる人は信じられないでしょうが、世の中は「全体のイメージに合わせてデザイナーがフォントやサイズ、文字間まで微妙に調整してる」ってことを知らない人の方が多いんです。いわゆる「ワードで文章を書く」のと同等と思ってる人が多い現実。
うちの奥さんも手書きのカラーイラストを依頼されて納品したら、「こことここを修正してください」と「え。これ、手書きなんですけど・・・なんでそれを最初に説明しないの・・・」という苦い経験があります。パソコンでチャチャーとなんでも修正できると思われてるフシがある。
「なにがデザインの肝なのか、なにが大変か知らない人の方が圧倒的に多い」という理解はデザイナー側にもやっぱり必要だけど、「この依頼の肝はなんなのか?伝えたいことはなんなのか?」を考える力がクライアントにも必要な時代で、そこさえはっきりしてればデザインの依頼って意外と簡単だったりします。
「全部お任せ」よりも思ってることをいっぱい語った方がやりやすいデザイナーさんの方が多いんじゃないかしら。基本的にデザイナーさんも一緒に考えてくれるはず。

・・と、手羽だったら書くかな。
あ、やばい。手羽コメントがだんだん増えてきてる。アームチェア、アームチェア。(椅子をゴロンゴロンさせながら)

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今回の参加対象者は
●はじめてデザインを学ぶ方
●ノンデザイナーが仕事にデザインを活用できる範囲とその方法を知りたい方
●デザインを発注・判断することがあるけど客観的な判断基準がわからず困っているという方
となっていたのですが、
●デザインを発注・判断することがあるけど客観的な判断基準がわからず困っているという方
が多かったようで、「仕事のときデザインの知識がなくて困ったことあるある」で盛り上がっていました。
自分と似た仲間が多くて良かったです!

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場が温まったところで、「デザイン」についてのお話。

「プロダクトデザイン」、「インテリアデザイン」、はたまた最近では「デザイン思考」など、世の中には「デザイン」という言葉が溢れています。
普段耳にする機会は増えたものの、「良いデザインと悪いデザインがわからない!」、「デザインセンスは天賦の才ではないか?」、「ていうかデザインって何だ」という方など、なんとなく苦手意識を持っている方が多いのではないでしょうか。

でもそうではなく、「デザインとはしっかりと知識を身につければ論理的に理解できるもの!」というのが今回のテーマです。

ではまず、デザインの仕組みを学んでみましょうということで、15分間のグループワーク。

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お題は『ミネラルウォーターのデザインを分解する』で、配布された3本のミネラルウォーターのパッケージデザインを観察し、「ミネラルウォーターがなぜミネラルウォーターに見えるか」を、意見を出し合いながら考えるというものです。
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皆さん、15分間もミネラルウォーターを見続けるなんて経験は初めてで(そりゃそうですが)、新鮮だった様子。
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この「(そりゃそうですが)」が手羽がよく使ってそうで、「手羽スタイルwww」と言われてるようで、なんかむかつくんですけど・・・。

そう、デッサンを習う時にも必ず言われるのが「よく見なさい」、つまり観察の強制で「意外と人間ってモノをちゃんと見ていないのに知ってる気になってる」ことを理解することからスタートするんです。

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各グループごとに気づいたことを発表してもらうと、次のような共通点があることがわかりました。
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・ペットボトルが丸っぽい
・ラベルが細い
・ラベルが透明
・そもそもペットボトル(紙パックじゃない)
・青系の色が使われている
・自然(山や川)の写真が使われている
・キラキラ光る

などなど

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全てのグループの発表が終わったところで、先生より解説。

出された意見は「かたち」・「色」・「イメージ」に分類でき、それぞれに共通点がありましたが、それはつまり「ミネラルウォーターのパッケージデザインには一定の法則がある」とも言えるということです。
ここで先生は次のような計算式を紹介してくれました。

 基礎理論(法則・ルール・王道)+編集力(5W1H)=最適化(デザインセンス)

これは、ミネラルウォーターのパッケージから見えてきたような基本的なデザインの法則・ルールを押さえつつ、環境に応じて編集していき、最適化することが「デザインセンス」であり、デザインセンスのあるなしは、デザインについての基礎理論や編集の仕方を知っているか知っていないかの差なんですよ、とのこと。

なるほどですね!!!ちょっと自信がついてきたからもっと聞きたい!!!…ところでしたが、今回の体験講座はこれにて終了。
本講座ではもっと具体的に、フォントや色彩やはじめとしたデザインの基礎理論について詳しく勉強していくそうです。

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うおおおお。すごくいいところで終わってるやん!!
今回はプレ開催、予告編なのでここで終わって当然なんだけど、これはすんごく気になる!!

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稲葉校長より学校説明があった後は、学校のことだけでなく、普段仕事上で困っているデザインについての相談を受け付ける時間がありました。
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あっという間の一時間半で、終わった後はいつもより「デザイン」を身近に感じることのできた一日でした。

日曜日にも関わらずお客さんが入っていたし、予約も数日で埋まっていたので、「デザインを学びたい!」というビジネスマンの需要は確実にありそうです。
また美大職員としては、最近の行政とのやりとりにおいて顕著ですが、将来デザイナーになっていくであろう学生さんたちや既にデザイナーになっている卒業生たちのためにも、社会においてのデザインのリテラシーを高めていくことが、間接的であれ美大の役目として必要だなと感じました。

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最後はいいこと書いてるなあ。
あ、基本的に「若い芽は摘む」をポリシーにしてますが、褒めるべきところは褒めます。
手羽の部署に来ると1年でこれくらいのことは書けるようになりますよ。ぜひ人事異動で手羽の部下になってください。仕事は増えるけど(ぼそっ)


ちょうど昨日、あるNPOさんがこんな電話をかけてこられました。
「実技系の講座をやりたいんだけど、市役所に相談したら『ムサビさんは大学を通すと面倒ですよ。学生さんか卒業生に個人的に直接依頼した方がいい』とアドバイスされた。でも知らないから誰か紹介してくれないか」と。
たぶん、その「面倒なムサビ」は手羽のことです。そこに聞いちゃったわけです(笑)

というのも、市役所からいろんな依頼を受けるんですが、だいたいが「スペースがあまってて寂しいんで学生さんになんか描いてくれないか。え?謝礼?絵の練習にもなるし発表の場にもなりますよ」という依頼で。
で毎回「デザインとは」「美大の学びとは」という話をしてるんだけど、これがなかなか理解してもらえず、なんでだろうと思ってたんだけど、「面倒な大学」と思われてることが判明した、と(笑)


手羽の野望は「全国の市町村役所に美大卒業生を入れる」。
「もっと素敵なデザインのパンフレットを作れるはず」というのも少しありますが、それはデザイナーに依頼すればいいわけで、「美術・デザイン的な考え方ができる人」が公務員に増えると、もっと世の中はスマートになるんじゃないかと思ってます。


次回のWEデザインスクール プレオープン体験講座Vol.2
図解で伝えるデザイン術
は明日26日(木)に開催されるんですが、残念ながらチケットはすべて完売してます。
ずいぶん前に満席で締め切ったから、申し込んだけど明日ってことを忘れてる人いません?大丈夫ですか?いよいよ明日ですよーー。


てなわけで、木反橋くん、レポートありがとうございました!
もう少し手羽のようにオチャメでかわいらしい部分がほしかったけど、最初にしてはよく書けてたと思いますので、またよろしくね!(えっ)

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。