【藝大×ムサビ】対話のかたち討論会に行ってきた

次の祝日が67日後だと聞いて5月病になっちゃう学生さんや新社会人が多いけど、ここが踏ん張りどころですよ、の手羽です。

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GW明け5月9日(月)にデザイン・ラウンジでこんな企画がありました。
 

東京藝術大学×武蔵野美術大学による「対話のかたち 討論会」です。
(こういう時は相手を先に書かないとダメだよ>ラウンジスタッフ)


藝大デザイン科の須永剛司教授から「対話をテーマにした課題をやったので、それをお披露目したい」とラウンジディレクターの井口先生に相談されたところからこの企画はスタートしました。
ここまで書いて、「・・ん?え?藝大の須永先生?!」と思った方もいるでしょう(笑)
須永先生は2015年3月までタマビ情報デザイン学科の教授だったんですが、退任され現在は藝大デザイン科の教授なんです。

須永先生とラウンジには深いつながりがあり、実はデザイン・ラウンジ最初の企画ゲストが須永先生だったの。
詳しくはこちらをご覧ください。
手羽ちゃんのドキドキ潜入レポート -PROVOKE デザイン・インフォマティックス・フォーラム-
一発目の企画が「情報デザイン学科とデザイン情報学科の違いをそれぞれの教員が語る」ですからね、最初から攻めてるでしょ?(笑)

この時に須永先生が語られた「異分野学問との融合はない。でも越境・補完はある。」は今でも忘れられない言葉です。手羽も東工大合同ワークショップで同じ体験をしてて、全く同じ気持ちでいます。
例えば鉄筋コンクリートは鉄とコンクリの弱点を補ってるものであり、「鉄とコンクリの融合」とは言いませんよね。「芸術と工学の融合」とか「医療とデザインの融合」等は美大広報での流行り言葉で、「想像と創造」もそうだけど、手羽はなんか嘘くさく感じてあまり使わないようにしてます。


そんな須永先生からの相談を断るはずもなく、

でも、「せっかく『対話』がテーマなんだからムサビの学生と交流しましょ」ということになり、「デザイン情報学科3年生と対話する」という形になった、と。「他大学の先生に講評してもらう」ことはよくありますが、「公式に他大学の学生さん達に講評してもらう」ってのはあまりないことだし。「対話」を優先したので、クローズドな会で人数も限定しました。
 
須永先生の「対話のかたち」は、普段の対話の中から情報の基本原理を学ぶことを目指した課題で、「眼には見えないがそこに在るメカニズム」を探し視覚化するのが目的にあります。


芸大生11人が3分プレゼンをし、

みんなでどの作品・プレゼンがよかったか投票、

そして円になって「対話会」の始まり。

さすがデ情の学生さんは趣旨を理解してて藝大生にガンガン質問をする。手羽が学生時代は初対面の人にこんなに聞けなかっただろうなあ・・。

逆に藝大生の凄さは、7分プレゼンの予定を開始直前に3分プレゼンに変更したんだけど、それにちゃんと対応してたこと。7分が3分ですよ。
3分なんて結論しか言えない時間だけど、逆に「エレベータピッチ」で論点が整理されたような気がします。

藝大デザイン科の松下計教授も様子を見に来てました。
あ、携帯で遊んでるように見えますが(笑)、写真撮った後に操作されてたんでつぶやいてるところだったんじゃないかと。
 
 

ムサビ側からはデザイン情報学科・今泉先生が参加してて総括。
先日はありがとうございました

最後は須永先生のまとめの言葉。

次の展開も面白そうですね。せっかく生まれた交流なんで合同ワークショップとかどうですかね。



今回は「学生さんの対話」を優先したかったので何もしゃべらなかったんだけど、最初から気になってたことが実は一つあって。

藝大の学生さんがプレゼンで「対話」という単語と同じように「会話」を使ってたことです。
「対話」と「会話」
似てるようで違うようで同じような単語。
英語にすると対話はDialogue、会話はconversation・・・と言いたいところだけどconversationは対話の意味もあるようだし、英語での差別化は難しそう。

手羽的解釈は、会話は「ゴールがない状態で話し合う。雑談・井戸端会議も含む。ルールが緩い」のイメージがあり、対話は「ゴールのようなものを見つけるために話し合う。きっちりしてる。緊張」という印象で、少し違うのかな、と。
例えば「夫婦の会話」だとなんかつまんない雑談をイメージするけど、「夫婦の対話」だとゲスな離婚調停的なものを感じません?「娘と最近会話が減った」と言っても「娘と最近対話が減った」とはあまり言わないし。

「対話」と「会話」は違うのか、もしくは同じ解釈で課題を進めたのか、藝大生に確認したかったのです。
デ情だと真っ先にこの定義を確認するところから入ってるような気がして。

最後にみんなで撤収して、六本木の街に消えていきました。
きっとより深い「対話」が生まれたんじゃないかしら。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。