昨日は東京藝大でロンドン芸術大学との懇談会が行われたのでレポートを。
昨日は時間があったからまずはここを訪問しました。
■東京藝術大学 アフガニスタン特別企画展「素心 バーミヤン大仏天井壁画」 ~流出文化財とともに~
●会期: 2016年4月12日(火)- 6月19日(日)
●時間:午前9時30分 - 午後5時(入館は午後4時30分まで)
●休館日: 毎週月曜日 ※ただし、5月2日(月)は開館
●会場: 東京藝術大学大学美術館 陳列館1階、2階
●観覧料: 無料
内戦の混乱下で海外に流出し日本で保護されたアフガニスタン流出文化財やタリバンによって破壊されたバーミヤン東大仏の天崖を飾っていた「天翔る太陽神」の原寸大で3次元復元展示されてます。
「さすが藝大・・」な展覧会なのでぜひ。
学内のポスターチェックをするかいな。
日本最古の大学ラグビー部は慶應さんですが、「国立大学」として日本で一番歴史が古いのが藝大ラグビー部なのです。
骨董通り法律事務所の福井さんはこの世界では超有名な方。ムサビでも課外講座しますよ。
福井さんのことだから、タイムリーな「フランク三浦」の話も出るんじゃないかと(笑)
こういう活動もされてるんですね。
両方とも去年の神輿。発泡スチロールでできてることがこれで確認できます。
もちろんいつもの学食チェック。
藝大を訪問するたびにこのピーマンの肉詰め定食を食べてる気がする。
この冷めきったペラペラでカチカチなピーマン肉詰めを無性に食べたくなるんだから人間って不思議な生き物で。
とかなんとかやってたら時間に。
11月に書いたこの記事を覚えてますか?
■芸術系大学連携キックオフ会に行ってきた
その後、芸術系大学コンソーシアム設立目指して準備会を立ち上げました(お知らせは6月ぐらいかな?)
んで、この会で話をされたブリティッシュ・カウンシル湯浅さんの提案で、ロンドン芸術大学の来日と併せて「2012年ロンドン大会における文化プログラムのレガシー」「ロンドン芸術大学におけるグローバル戦略」などの情報交換をしよう、という会が今回の「ロンドン芸術大学との懇談会」というわけ。
ロンドン芸術大学(University of the Arts London|略称:UAL|日本通称:ロン芸) は説明するのが難しく・・。私もちゃんと把握してる自信がないので間違ってたら誰か補足してください。
ロンドンにある5校のアートカレッジの集合体であったロンドン・インスティテュートが2004年5月に英国政府から大学資格を授与されてできたのがロンドン芸術大学です。
アート、デザイン、ファッション、コミュニケーション、パフォーミング・アーツなど芸術分野を中心とした英国国立の6大学
•キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツ
•セントラル・セント・マーチンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン
•チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン
•ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション
•ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション
•ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アート
からなるヨーロッパ最大規模の芸術系大学・大学院の連合体で、欧米では複数の大学をまとめてUniversityとし、その中に含まれる各大学をCollegeと呼ぶことがあるんですが、ロン芸さんもそのパターンってことですね。
ちなみにこの中で一番有名なのがセントラル・セント・マーチンズ校で、「セントマ」とか「CSM」と呼ばれてます。
参加したのは全国芸術系大学コンソーシアム準備校の他に、慶応さんやロンドン芸術大学と協定を結んでいる京都精華さんなどなど。
他大学の出席者はどこも教授や国際部長で、ムサビも普段なら学長補佐と行くんだけど、昨日は大事な教授会をかぶってしまい。申し訳ない気持ちで手羽と木黄田さんのコンビで参加。
ロンドン芸術大学からはセントーマーチン校学長のJeremy Tillさんの他、副学長のChris Wainwrightさん、Mark Dunhillさん、Anne Smithさん、Edward Venningさんがいらっしゃいました。
あ、懇談会といってもパーティではなく、ご覧のとおり真面目な意見交換会です(笑)
冒頭で藝大さんが「本来なら学長か挨拶するところですが、今日は全学部の教授会とかぶってしまい・・」とご挨拶。
ほとんどはロンドン五輪関係の話でしたが、ほんとに参考になりました。
大成功で終わったロンドンオリンピックと文化プログラム「カルチュラル・オリンピアード」。
どうしても「史上最高11万件実施した文化プログラム!」「芸術で盛り上がれるイギリス国民!(日本とは違うだろ?)」などなポジティブで日本のダメさ加減を感じる情報しか耳に入らないのだけど、「そうそう。芸術系大学としてはそういう話を聞きたかったのよ」で。
ロンドン芸大は開会式・閉会式のデザイン・コスチューム・パフォーマンスに学生さんが「ボランティアスタッフ」として、かなりの人数が関わりました。実にデザインボランティアの80%、コスチュームデザインボランティアの60%が学生ボランティアで、オリンピックが開催される7,8月は夏休みだからいいんだけど、準備期間は授業の一環として取り組んだそう。
そう聞くと「何年も前から計画を練って、実施したんだろうなあ」と思いますよね。
でも、実際に動き出したのはなんと18か月前。
「もっと前から取り組むべきだった」「教職員ももっと関わるべきだった」「大学組織・領域が縦割りで、戦略的に関係性を作れなかったし、議論もしてなかった」というのが反省点とのこと。音楽大学と美術大学のジョイントイベントもなかったそう。
今の日本とそう状況は変わらず、5年前から芸術系大学コンソーシアムを検討してる日本の状況がむしろすごい、と。ちなみに「金銭的にも日本の芸術系大学の方がかなり恵まれてて、すごく羨ましい」とおっしゃってました。
でも、判断が遅い日本だと、18か月前から動いてちゃ無理でしょうね・・。
●オリンピックや文化プログラムは芸術文化の存在価値を知らせるチャンスであり、領域を超えるきっかけにもなる。それをいかに一般の方に伝わるように言語化できるか。
●『アートは環境・福祉・政治(例えば不平等問題とか)にどのように関わるのか、それらを議論するつもりがあるんですよ』というメッセージ発信もできる。
●みんなオリンピックに関係したいと思ってるから、オリンピックを使って普段ではできない新しい関係構築ができる。ビジネス系もクリエイティブ系とつながりたいと思ってるから資金も入りやすい。
●東京というローカルで盛り上がるだけではダメ。日本全体、国の体験にすべき。
●成果を発表するのが目的なのか、ムーブメントが起きることを目的とするのか。
●2020年の直接的なレガシーだけでなく、2024年に、さらに長期的にレガシーとして何が残るか、残せるか、残っているかを考えるのが大事。オリンピック実施に納得しない国民へ、オリンピック後何を起きるのか、残せるのか
●目に見えない『関係性』の提示をしなくてはいけない。アートは作品を残すだけじゃない。
などなどの話も良かったけど、すごくリアルに感じたのは、
「オリンピックの特別予算がつくだろうけど、新しい資金源だけじゃなく既存予算を組みかえ寄せ集めて、違うところからお金を引っ張ってくるケースも発生するはず。ただその時はいいけど、引っ張ってきた予算は元に戻せないことが多い。つまりオリンピックが終わったらもとに戻せなかったり、そのままその予算ごと無くなってしまう可能性もある。芸術の将来を考えるならば、オリンピックの年だけを考えちゃダメ」
というアドバイス。すんごくわかるなあ・・日本じゃ特にありえそうで。
文化プログラムはオリンピック実施4年前から・・つまり、リオ五輪が終わってすぐ・・・つまりつまり今年がスタート年なんです。東京の各区・市も協力することになってるけど、何をどうすればいいのか決まっていないよう。
今年2月にデザインハブのある港区が、
■文化プログラム推進事業 - 港区
を先行して発表したから、恐らくこれをベースにしたものをが各地域の基本ルールになっていくんじゃないかと思われます。
オリンピック関連の話は明後日にもう一度書きますね。
以上、こんなに「英語ハナセマセーン」オーラを出してるのに、いつもこういう時は外人さんから声をかけられてしまう手羽がお送りいたしました。確かにトム・クルーズに似てるけども。
せっかく英語の話せる木黄田さんと行ったのに、後ろで手羽が困ってる様子を見てやがった。でも本当に困ってる時に登場してくれた木黄田さんは天使に見えました。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。