街の美術館をハシゴする一夜限りのアートナイト
夜間美術館を無料で解放するというチリ全域で開催されるアートイベント”MUSEO DEL MEDIANOCHE”に、足を運んでみました。毎シーズン開催されるということなのですが、10ヶ月チリに住んでいて初めて知ったイベントです。今回訪れたのは現代美術を扱う美術館でしたが、イベント自体は美術館だけでなく、国立図書館なども参加しており、アートやパフォーマンス、史料展示など、ジャンルも広く充実しているようです。
今回私が巡ることができたのは、国立の美術館たった2件でしたが、普段美術館を訪れても出会うことのできない、アートが好きそうなおしゃれな方々もたくさん集まって大賑わいの様子が垣間見れました。
普段お金をかけて美術館に行くことが難しい、低所得層が多いかなという予想だったのですが。。
各美術館それぞれの企画展がチケットもなく無料で鑑賞できます。今回私が訪れたMuseo Nacional de Bellas Artesと、Museo de Arte Contemporaneoは、チリの現代美術作家の作品を展示していました。インスタレーションや写真作品、平面作品などジャンルを問わず幅広く作品が集い、中にはポスター型の作品を持ち帰れるなどもあり、鑑賞者を飽きさせることのない展示内容でした。
覚悟していた通り、人が多くてゆっくり作品を見ることはできませんでしたが、雰囲気は垣間見ることができたように思います。写真でおすそ分け。
(一部日本のメディア芸術祭の巡回展も来ていて、そちらもタマビの久保田 晃弘教授のディレクションでした。チリ人も興味深く楽しんでいました!)
アプリ片手に近所の美術館を渡り歩く、観光バスも協賛
MUSEO DEL MEDIANOCHEにとって初めての試みのようですが、今回から、イベントの専用アプリの配信が始まりました。
早速ダウンロードをして使ってみると、地図をベースにした情報アプリになっていて、地図上の美術館マークをクリックすると、美術館の詳細情報や展示内容、この日のスペシャルイベント(アーティストトークやパフォーマンスなどが開催されていたようです)の情報が手に入ります。アプリではバスの停留所や自転車の設置ポイントなども地図上でチェックをすることができとても便利でした。そう、今回は町のあちこちに点在する美術館を効率よく廻るため、シェア自転車や観光バスが無料で乗車できるという仕組みになっていました。
美術館前の大きな人だかりは、ダンスの輪だった
南米らしいなと感じた印象的なシーンは、美術館を楽しんだあと、美術館の前に大きな大きな人だかりができていること。
上から様子を覗いてみると、男女のペアが音楽に合わせてダンスをしているんです。チリ人は踊りが大好き(基本的に華金の飲み会・パーティーは踊るのがスタンダードだそうです)と聞いていたけれど、勝手にクラブソングで踊るイメージを持っていたので、クラシックさも感じさせるダンスの様子がとても印象的でした。
チリの現代美術はまだまだと聞きますが、一方無料開放の賑わい具合を見ると、一般の人にも楽しまれている様子が伝わってきました。お祭り感覚であれ、全国各地で同時に開催し、美術館を訪れる機会が増えるこうしたイベントがあるのはとても素敵な試みだなと感じます。
次回はもう一歩踏み込んで、チリの作家や作品を詳しく紹介できればいいなと思います。
編集者/メディエイター。美大での4年間は「アートと世の中を繋ぐ人になる」ことを目標に、フリーペーパーPARTNERを編集してみたり、展覧会THE SIXの運営をしてみたり、就活アート展『美ナビ展』の企画書をつくったりしてすごしました。現在チリ・サンチャゴ在住。ウェブメディアPARTNERの編集、記事執筆など。