【2022年3月15日現在】4つの美術予備校の合格者速報を比較してみた

2022年3月16日(水)

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「美大生なら当然のものだけど、一般社会の方は全く知らないもの」の代表格が「美術予備校(または美大予備校)」ではないでしょうか。

本題に入る前に、まず美術予備校について簡単に説明をしましょう。
浪人生に限らず美大を受験したい人は、通常の予備校ではなく美術予備校に通って実技と学科の勉強するのが一般的な美大進学ルートとしてあります。その存在を知らなくても「●●美術学院」「●●美術研究所」という看板をどこかでご覧になったことはあるはずで、大きな都市には必ず1,2校存在します。
手羽が高校生の頃、「美大に行きたいなあ。でもどうやったらいけるんだろ?」とぼんやり思ってる時に親から「近所に美大を受験するためのアトリエがあるからそこに行ってみる?」と聞かれて、「何それ?そんな知る人ぞ知る虎の穴みたいな場所があるの!?」と衝撃を受けたのを今でもはっきりと覚えてます。
昔から美術予備校を舞台とした漫画や小説はありましたが、「ブルーピリオド」で一気に認知度が上がったんじゃないかしら。
 

東京の大手と呼ばれるところだと、例えばこういうところがあります。
すいどーばた美術学院

通称「ドバタ」。
 
 
御茶の水美術学院

通称「オチャビ」。
  
 
河合塾美術研究所

通称「ヨゼミ」。
  
 
新宿美術学院

通称「シンビ」。
  
 
東京武蔵野美術学院

通称「ムサイン」。
あ、名前は似てますが、ムサビとは関係ありません。
 
 
立川美術学院

通称「タチビ」。
  
 
トーリン美術予備校

通称「トーリン」。
 
その他に個人の絵画教室(画塾)が美大受験実技指導をしてるところもあります。
入試のような短時間で絵を描くにはそれなりのトレーニングが必要なんですが、高校美術部ではそれは無理だし、美術コースを持つ高校でさえ美術予備校や画塾に通うよう指導してる学校も多いです。
「普段は地元の画塾で勉強して、夏期講習だけ東京の大手予備校に行く」ってケースもよく聞きますね。

個人的には少しでも美大を考えてる人は早い段階で美術予備校に春季や夏期講習でもいいから一度行ってみるといいんだけどなーとは思ってます。
今まで「高校で絵が1番うまい」と褒められてても、うまい人がもっとたくさんいることを知れるし、実技力は才能とか関係なく誰もが習得できるものだし、なんだかんだデッサンの基礎(見る力や構図力)は学んどいた方がいいので。


さて、今日の本題へ。
昨日3月15日、東京藝術大学美術学部の発表があり、さっそくいくつかの美術予備校で合格者速報を発表しました。
でも、どの美術予備校も「全国1位!」などと書いてあって、これ、前から気になってたんすよ。

てなわけで、
・東京藝大の合格者数速報を発表
・タマビ、ムサビの学科別合格者速報を発表

をしている、ドバタさん、オチャビさん、シンビさん、ショナビさんの4校を比較してみました。
思っても調べた人はあまりいないはず(笑)


まずは東京藝術大学。


  • 間違ってるかもしれないので必ず元データでご確認ください


続いてタマビ。


  • 間違ってるかもしれないので必ず元データでご確認ください


最後にムサビ。


  • 間違ってるかもしれないので必ず元データでご確認ください

黄色が「全国1位」と発表しているところです。
全国1位がかぶってるところがいくつかあるけど、集計日が違うってことなんでしょうね。
しかし、即日「全国1位」と出せるってことは、美術予備校さんで情報交換されてるのかしら?

大事なのはこの数字の算出方法が微妙にそれぞれ違うこと。
●ドバタ:2021年度在籍性・校友会製(春季・夏季・冬季・入試直前講座)
●オチャビ:2021年度在籍者・講習生/一般、共通テスト利用、推薦、補欠累計
●新美:2021 年度在籍者・講習会生 一般/共通テスト利用/総合型/推薦型/留学生/帰国生 合格者・補欠者累計
●ショナビ:2021年度在籍者・講習会生 一般選抜・共通テスト利用・総合型・学校推薦型 合格者・補欠者集計

また、実は縦計が合わなかったりもするので、一概に「●●が多いからここがいい」と見ない方がいいです。作っといてなんですが。
 

美大希望者が減れば美術予備校に通う人も減るし、今は実技トレーニングをほとんどせずに総合型選抜であっさり合格したり、実技試験を必要としない入試も徐々に増えてるし、昔より親が浪人を許してくれなかったりで、地方の中堅美術予備校だと倒産してるところもボチボチでてきました。
久しぶりに美術予備校サイトを見た人は、昔はなかった「現役合格数」や「高校合格実績」を載せてるのに気が付くはず。

ただ、今どきの美術予備校は企業との連携授業をやってたり、「受験絵画」じゃない要素も学べるようになってきてるので、昔のイメージのまま語るのはちょっと危険だと思ってます。
最近の一般大学だと入学前プログラムを大手予備校にお願いしてたりするんで、美大も実技未経験者への入学前プログラムを美術予備校にお願いすればいいんじゃないかしら。>関係者各位
 

以上、昨日はあかりちゃんの中学卒業式だった手羽がお送りいたしました。

あかりちゃんが家を出るまでの会話。
手羽「え。ポニーテールにしたりしないの?」
あかり「しないよー」
奥さん「ポニーテールって斉藤由貴じゃないんだからさ。おじさんは発想が古いんだよ!」

卒業式=斉藤由貴=ポニーテールと連想できるところが昭和世代。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。