【創造人を作るには】産学官連携による情報交換会に行ってきた2

ども、ムサビ彫刻学科を卒業後、SFC大学院からオックスフォードに行き、博士号をとった手羽です。

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産学官連携による情報交換会
自ら考えてものを創り出すチカラ=日本の未来を創り出すチカラ
●日時:2016年1月23日(土)
●会場:東京工芸大学 中野キャンパス芸術情報館メインホール
●主催:日本広告制作協会(OAC)
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のレポートをやってます。
昨日までの話はこちら。
【学食はライス食べ放題】東京工芸大学に行ってきた
【脳科学と美術】産学官連携による情報交換会に行ってきた1



休憩をはさんで、面白法人カヤック代表取締役社長の柳澤大輔さん。

カヤックさんとはデザイン・ラウンジでコラボイベントやってるんで、手羽もヨコハマ支社に行ったことがあります(笑)

面白法人カヤックを知らない人は・・・いるのかな。一応説明を。
1998年創立の会社で、カヤックという名前は決して沈まない小舟のカヤックからきてる・・・と言われてますが、実際のところは創立者3名の貝畑(イハタ)、柳澤(ナサワ)、久場(バ)の頭文字をとってカヤックと命名されてます。
「なんの会社か?」と聞かれると、一言でいえば「IT企業」・・・だけど、カヤックさんの前では「IT企業」という言葉がすんごく陳腐な感じになりますね。手羽の解釈は「仕事や人生を楽しむためのデザインをしてる会社」てな感じでしょうか。
有名なサービスだと去年夏頃に流行った「ちゃんりおメーカー」がカヤックさんだし、人事制度だと、サイコロで給料を決めるサイコロ給だったり、卒制をエントリーシート代わりに使える卒制採用や、履歴書は不要で検索結果だけで選考するエゴサーチ採用、子どもの頃の夢がクリエイターだった方を採用する卒業文集採用、極めつけは4月1日だけ経歴を詐称した履歴書でのエントリーを受け付けるエイプリル採用などがあります。
あ、ちなみに今日のTOP文章は経歴詐称させてもらいました。でも手羽が書くとなんで薄っぺらくなるのか謎で・・・。

カヤックさんの経営理念はズバリ「つくる人を増やす」です。
そして、そのために
1)自分たちが面白がって働く「面白がる法人
2)周囲からも面白いと言われる存在になる「面白い法人
3)人生が面白くなったという人を世の中に増やす「面白くする法人
という3つのフェーズを設定して活動されてます。

他人の評価を気にしてたら面白くできないし、他者と違う視点をもっていなければ新しいものは生まれない。それらを「作る側」「リーダー」の立場で考え、なおかつ自主的に動くことが大事。
主体性をもった人が増えれば増えるほど、人も社会もHappyになるし、面白くなるってわけですね。
そのためにブレインストーミングで脳の思考体質をトレーニングしてるそう。



続いては、トヨタ自動車株式会社 東京デザイン研究所の菅原重昭さん。

トヨタは1500人前後がクリエイティブ業務に関わっており、創造人の育成に想うことを語られてました。

トヨタの人材育成はOJT(On-the-Job Training)で行っており、専門力はまずは「技術の核」を学び、次に「技術の幅」を知り、「技術の極み」を見つけ、その後スペシャリスト(トップガン)かゼネラリストかを選択していく流れ。
デザイン力は美を感じる「センス」が中心に位置するけど、その周りを発想力・表現力・昇華力が囲み、それらを包含するのが人の器=人間力。
そして、「ポジティブシンキング」、ものづくりへの情熱・やりきる創造魂の「パッション」 、チームワーク(共鳴力・リスペクト力)の「パートナーシップ」の3つのPが重要だけど、その中心・要が「自発力」であり、自発力で能力は拡張できる。

でも、今の学生さんを見てると、デザイン力の要である「センス」は優れてるけど、人間力の要である「自発力」は△か×あたり。これは今までの人生を過保護に・・・例えるなら自転車で転ばないために大きな三輪車で成長させ、それを「1人で自転車に乗れた。自走できた」と自分も周りも評価してきた結果かもしれない。



この話を聞いて思いだしたことが。
アウディでカーデザイナーをされてたムサビOB・和田智さんが講演でこうおっしゃってました。
「ボクがアウディにいる頃、たくさんの学生さんが毎日のようにウン十冊と貪欲にポートフォリオを送りつけてきてた国があった。どこの国だかわかりますか? それは韓国。逆にドイツにいる間、一度、本当に一度も学生さんがポートフォリオが送ってこなかった国がある。それが日本」と。
ここでの「自発力」とは少し違うのだけど、関係があるかもしれません。

あ。この手の話をあんまり書くと、いわゆるオジサンの「今どきの若いもんは」話になっちゃうので(笑)、一つ手羽から補足。
今のムサビ生を見てると「領域を超えた行動力」は私達が学生の頃より全然あると思ってます。外を意識した企画や領域を超えて補完し合い、つながりを作る企画は私たちの頃はやらなかったし、まずその発想さえありませんでした。ほんとすごいなーと。



そして最後の講演は、文部科学大臣補佐官の鈴木 寛さん。通称スズカンさん。
去年はなかった産学官連携の「官」の部分ですね。

スズカンさんのプロフィールは公式サイトを見てもらうとして、今行っている教育改革について熱く熱く話されました。

非常に面白い話であり、「人によって、立場によって、受け取り方が違うだろうなあ・・・」と思う内容だったんですが、手羽的には「今まで言語化できてなかった部分を補完していただいた」かな。
別記事として書きたいから、あえて今日はこれで終わりにします。

そして、最後に宣伝会議 取締副社長兼編集室長の田中理沙さんが司会となり、京都芸大教授で中央教育審議会 初等中等教育分科会芸術ワーキンググループ委員の横田学先生、OAC理事長で日本デザインセンター取締役会長の鈴木清文さんも壇上にあがり、パネルディスカッション。
今年も時間が押しまくって(笑)、このパネルディスカッションの時間が短くなってしまったのがとっても残念で。ここは時間を押しても2時間ぐらいやりたかったかな。

最後に東京都立総合芸術高等学校前校長で、現在は女子美の佐藤清親先生、北翔大学の山崎正明先生も発言されてました。山崎先生が「若い美術の先生達は頑張っているんです!」と強く訴えていらっしゃって、心がブルンと震えましたね。


終了時間は午後5時40分。あっという間の5時間でした。
こういう機会を作っていただいたOACさんに感謝しますし、これからも続けていただければと思っております。
ぜひ次回は手羽か長澤学長を登壇させてください(売り込み)



終わるようで、もう少し続くっ!!!


以上、今日が誕生日の他大学の方から「ムサビさんは全員が同じ方向に一丸になって動いてる印象がありますよ」と言われた手羽がお送りいたしました。えーと、ノーコメントで・・。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。