インターンシップ演習2015を終えて4 -続々コメント紹介-

授業にうちのスタッフも参加してたので、「かっこいいところ撮って送って」とお願いしたら、ドヤ顔してるところの写真だけ送ってきやがった手羽です。

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授業終わりに書いてもらった感想シートからコメントを紹介しています。
昨日までの話はこちら
インターンシップ演習2015を終えて2 -コメント紹介-
インターンシップ演習2015を終えて3 -続コメント紹介-


こんなコメントもありました。

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手羽さん自身のキャリアの話、今までしてきた仕事の内容やその中で思ったことなどをもっと詳しく聞きたかったです。
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これが毎回悩むところなんですよね・・・。

シラバスを超訳して紹介すると
(1)インターンシップ演習は、インターンシップのための授業ではなく、その前段階の授業。
(2)様々な分野で活躍するムサビOBOGから話を聞くことで、 企業や制作会社ばかりではなく、 公益的な仕事を担う財団・NPOやフリーで活動する人など、いろんな「生き方」を知ってもらうことが目的。
(3)将来にはいろんな選択肢があることをまず知り、悩み、今自分がやるべきことを考える。
と書かれてます。

(2)を何も考えずに解釈すると「大学職員の話」をするべきで、このテーマなら多分2時間ぐらいはしゃべれるかな。
でも、(3)を含めて全体を読み込むと、「仕事の話」をするよりも「キャリアを1から考える話」が求められてることにわかります。あ、「キャリア」とは仕事・経歴・就職の意味で使われることが多いですが、本来の意味(文科省的に)は「生きる力」なんです。キャリア教育とは職業教育ではありません。
「大学職員の仕事の話」なら手羽じゃなくても出来るので、できるだけ「美大愛好家・手羽イチロウの活動から見えたもの」、つまり「シャドーワーク」を中心に話すようにしてる、と。


シャドーワークとはなにか。
これには二つの意味があり、ひとつは「家事労働など不可欠なものだけど対価の支払われない労働」のことを表します。
で、ここではもうひとつの意味を使ってまして、・・・えーと、この記事をご覧ください。
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企業内のフォーマルな組織やプロジェクトではなく、それらに縛られないインフォーマルな集団の独自活動をシャドーワークと呼び、それが商品やサービスの開発に大きな力となるケースが増えているという。もちろんインフォーマルな活動ゆえ、それ自体には賃金などの報酬がないのが普通だが、参加者はそれを特に苦にしているようには見えない。
ワークスタイル変革:差のつく仕事はここから始まる――「シャドーワーク」事始め (1/2) - ITmedia エンタープライズより引用】
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・アンオフィシャル
・(基本的に)無報酬
・楽しんで自発的にやってる
・仕事にフィードバックしてる

がシャドーワークの定義で、はい、まさに私がやってる活動そのものがシャドーワークなんですね。この手羽美術大学★なんてシャドーワークの塊です(笑)
「手羽だから語れる話」となると公式なアングラ活動である「(元)ムサビ日記・美大日記管理人」「美大愛好家」から学んだ話だし、「仕事にはいろんなアプローチがある」、つまりシャドーワークを語ることが手羽の役目なのかな、と。 「インターンシップ演習のまとめ」という役目からも。
一応ムサビには「職員も非常勤講師をやってもいい」という規則があるんですが、シャドーワークがメインの話なんで実は有休使って講義やってたりします。てへ。
でも、確かに去年より「大学職員」の話を減らしたので、去年ぐらいのバランスがよかったのかなあ、、とちょっと反省してますが・・。


また、「ヤル気さえあれば、違う仕事をやっててもやれる」という学生さんへのメッセージも含めてて、「●●じゃなければ●●できない」の否定とでもいうか、
「授業で忙しいから●●できない」
「ムサビだから●●できない」
「お金がないから●●できない」
「春休みは大学使えないから●●できない」
で文句言って終わってしまうのはなんかもったいないよなー、ポジティブに変換して違うアプローチで攻めたら違う面白い発見があるんじゃないかなー、そこから本業にフィードバックすることだってできるんじゃないかなー、ってことを伝えたくて。


こういう手羽の活動をなんといえばいいのか知らなくて、ずっと「公式なアングラ活動」と呼んでたんだけど、「シャドーワーク」という単語を知ってから随分説明が楽になりました。
単語が生まれる(周知される)ことで存在が明確になることもあり、「花粉症」や「NEET」なんかもそのひとつだと思ってます。 「花粉症」って言葉をみんなが使うようになったのは手羽が小学生ぐらいの頃だったと記憶してて、そんな昔の話じゃないんだよね(「それって昔じゃん」と言うな)。それまでみんな「なんか春になると鼻がかゆいなー」ぐらいで、 そこから爆発的に「花粉症」という言葉が使われ出した。
やっぱ括れる名前・グルーピングって大事だと思うのです。

例えば、「さ、試験勉強しなくちゃ」って時に限って部屋の掃除とかしたくなったり、試験前に「いやー昨日は寝ちゃって勉強してないわー」と友達に言ったりしますよね。
これは心理学用語で「(主張的・獲得的)セルフ・ハンディキャッピング」と言います。
「ほらほら。試験前に部屋の掃除をしたくなる気持ちと同じ~」でもいいんですが、「これはセルフハンディキャッピングだな(キリッ)」の一言で説明ができる。

やっちゃいけないと言われてると余計やりたくなる気持ちは「カリギュラ効果」という心理学用語がある。
「ほらほら。いわゆるダチョウ倶楽部さんの『押すなよ。絶対に押すなよ』的な~」も「それはカリギュラ効果ですな(キリッ)」と一言。
ま、「いわゆるダチョウ倶楽部さんの~」と説明する方が会話的に面白いんだけどね(笑)

集団になればなるほど、「他の人がなんとかしてくれるだろう」という心理が働くことがあります。
「みんなでやればいいじゃん。係を決めないでその時やれる人がやった方がよくね?」となることが多々あるけど、1人のパワーが10だとして、じゃ10人集まったら100になるかっていうとだいたいは93ぐらいになってしまう。そんな気はないんだけど集団になってくると知らぬ間に人間って手抜きしちゃうんです。
経験上、「やれる人がやればいい」はやる人が決まってて、やらない人はやらないことが多く、だいたいは「係を決めないで気が付いた人がやればいい」と提案した人が一番やりません(笑)
これも「リンゲルマン効果」という心理学用語があって、なので集団になってくると「みんなで協力してやればいいやん」ではなく「これはあなたの担当!」と決めた方がいいと言われてます。

ナウシカの「♪ラン・ランララ・ランランラン~」って頭の中をグルグル回っちゃうけど、これは「ディラン効果」と言います。講義を聞いてたスタッフからは「ウルトラソウルがディラン効果でした」と言われました(笑)

今、ある「言葉探し」をしてるんだけど、今までにないその名称を付けることさえできれば、次のステージにサクっといきそうな気がしてて。


そうそう。 「グルーピングをし、名前をつけることが情報学」とデザイン情報学科の今泉先生が進学相談会で言ってたけど、イラストレーターのクリハラタカシさんがやってる
名前はマダない(仮)第1回 - デイリーポータルZ:@nifty
これなんて、まさに情報学の世界ですね。


えーと、コメント紹介はもう1回続くッ!多分!

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。