エンブレムデザインFAQから考える

リンクロウに応募させたい手羽です。

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エンブレム関係では以前こんな記事を書いてます。

2020年東京五輪公式エンブレムと美大
過去の五輪エンブレムを調べてみた
新エンブレム応募要項(案)発表


予告通り10月16日、エンブレム応募要項確定版が公開されました。
東京2020大会エンブレムデザイン募集のご案内(応募要項)[PDF]

「エンブレムデザイン案」と「デザイン展開案テンプレート」 のデータ(手書きや写真は不可)を、それぞれJPEG・PDFの形式で提出する方法のようです。
「デザイン展開案テンプレート」はこれです。


「こういう使い方もどうですか?」という企画提案ベースが排除されて、いよいよ「デザインとはロゴを作ること」になってしまった・・・のは今の流れでは仕方ないことなのかもしれません。


FAQも公開され、
応募に関するFAQ
先日書いた疑問がずいぶんクリアになりました。
確定版は応募要項(案)からあまり変わってないので、今日はFAQを切り口にしてみます。


考慮項目やキーワードは全部含めないといけないのか。優先順位はあるのか?」には

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Q:応募要項の「はじめに」に記載されているキーワードに優先順位はありますか。また、キーワードをすべて含める必要はありますか。
A:キーワードに優先順位はございません。また、その一つを選ぶのも複数を選ぶのも自由です。キーワードは、組織委員会が大会ビジョンに込めた思いを示したものですので、こうした思いをきっかけとし、ご自身の創造力・クリエイティビティを存分に発揮してください。

Q:デザイン案のタイトルやコンセプトには応募要項に記載されているキーワードを入れる必要はありますか。
A:キーワードは創作のきっかけとしてご認識ください。200字の中に含まれている必要はありません。応募作品のデザインコンセプトは皆様でご検討ください。

Q:審査の考慮項目が列挙されています。この中で最も重視するものは何ですか?また、順位があれば全て教えてください。
A:いずれもエンブレムにとって必要な機能であり、現時点では優先順位はありません。
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「アンケート取ったけど、関係ない」ってことですね。

一番のポイント(フィルター)になるであろう「ワードマークは既存の書体ではなくオリジナルの書体」には

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Q:ワードマーク(TOKYO2020)は、オリジナルの書体を開発しなければなりませんか。
A:エンブレムに第三者が権利を持つ既存の書体が含まれている場合、商標登録を行う際に支障が生じることがあるため、オリジナルの書体の開発をお願いしております。なお、オリジナルの書体の開発が難しい場合は応募段階では汎用の書体で提出していただいてかまいませんが、採用する際には修正が必要となります。
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書体(タイプフェイス)の著作権って難しくて、確か普通にPCに入ってるフォントは大丈夫、モリサワは印刷・WEB・映像に商用利用することも改変も大丈夫だけど商標登録しちゃいけない、イワタはNG・・・って話を聞いたことがあります。
このあたり詳しい方教えてください・・・。
でも、逆にせっかくのオリンピックなのにMSゴシックで「TOKYO2020」ってのは日本として恥ずかしいですもんね・・・。


今回、特徴的なのはこれかもしれません。
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Q:制作段階におけるスケッチ、デッサン等を確認する場合があるのはなぜでしょうか。
A:審査過程や採用後において、万が一、他に類似するものが発見された場合に、応募作品がオリジナルであることを証明できる可能性があるためです。制作過程でスケッチやデッサン等を作成した場合には保存いただきますようお願いします。
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表立ってこういう注意書きが入ったのはあまり見たことがないかも。
某オボちゃん事件で、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン[PDF]」というのができ、研究者は研究・実験ノートを残すのがMUSTにになったけど、デザインの世界でも制作ノートを公式に残さなくちゃいけない時代になったということですね。



第3回エンブレム委員会から、グラフィックデザイナーでムサビ名誉教授の勝井三雄先生、デザインコンサルタントの中西元男さんが加わっています。勝井先生は文科省のロゴを作った人でもあるのでその関係かな?
ちなみに中西さんは9月25日のブログでこう書かれてます。
中西元男 実験人生: オリンピックエンブレムデザイン、ますます秀作生まれ難い方向へ?


先日放送されたNHK「SWITCHインタビュー 達人達(たち)」は「マツコロイド」の生みの親でもあるロボット工学者の石黒浩さんと清水ミチコさんの対談だったんだけど、石黒さんが「個性がないのが美人」とおっしゃってて、「なるほどなー」と感心しまして。
確かに最近のミス日本なども「個性的な美人」ではあるけど、「万人が思い描く美人顔」ではないですよね。
「万人が認める美人」の顔は、言い方を変えると「平均値を集めた特徴がない顔」に過ぎない。
中西さんのブログはそれに通じるものを感じました。


今後の流れは、11月24日(火)正午から12月7日(月)正午(多分日本時間)にオープンするWEBにて応募し、発表は2016年春頃だそうです。

どんな応募WEBになるのかな。
WEB業者さんへの最低発注要件としては、
・JEPG・PDF各2枚をフォームで申し込む形(ファイルが入ってないとチェックが入る)
・「「規則を守れますか?」に同意しないと申し込めない
・1万人申し込むと仮定しても、最低60GBのファイルを安定して管理できるサーバ
・1万人以上の個人情報が守れる体制
・〆切直前の集中に耐えられる回線
・審査しやすいようプリントアウト状態にに自動的に流せる設定(名前ありと名前なしバージョンにプリント可)
てなところでしょうか。

・・・・ウン千万コースですね・・・。
これで「国民投票モード」なんかも条件に加えると・・・・実は一番お金がかからないのが最初の方法だってことに皆さんそろそろ気が付いてもいい頃で・・・。
国民投票だと、WEBシステム的には「どうやって組織票を阻止するか」が最大のポイントになるわけで・・・あ、賞金が発生するからマイナンバーで個人管理するってのも手かもしれませんね。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。