新エンブレム応募要項(案)発表

いよいよ発表されましたね、の手羽です。

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もう少し時間がかかるのかと思ってましたが、昨日公開されました。
新エンブレム応募要項(案)のポイント[PDF]
正式な応募要項は10月中旬公開予定ということなので、あくまでも今公開されてるのは修正される可能性がある「」です。


ちなみにエンブレム関係では以前こんな記事を書いてたりします。
2020年東京五輪公式エンブレムと美大
過去の五輪エンブレムを調べてみた


てなわけで、手羽が気になったところをピックアップします。
批判的は印象を受けるかもしれませんが、全然そんなつもりはなく・・・柏木先生が審査員にいらっしゃいますし(笑)・・・、「パっと読むと気になるところがあるけど、決定版応募要項ではそのあたりクリアになってたらいいなあ」と思ったものを。
*全部の情報は記載していないので、詳しくはこれから発表される確定版でご確認ください。

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○募集趣旨(コンセプト)
キーワード
“スポーツの力”“日本らしさ・東京らしさ”“世界の平和”“自己ベスト・一生懸命”“インクルージョン(一体性)““革新性”“未来志向”“復興“

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応募する時に多分迷うのは、このキーワードを全部踏まえてないといけないのか、どれか一つでいいのかって問題じゃないかしら。
質問すると「全部踏まえる必要はない。でもできるだけ全部意識してほしい」という回答が返ってきそうな気もしますが。この微妙なニュアンスを何も言われないで理解できるか、「どっちかはっきりしろ!」と怒るか。

東京2020大会ビジョンの3つの基本コンセプトが
「すべての人が自己ベストを目指し(全員が自己ベスト)」
「一人ひとりが互いを認め合い(多様性と調和)」、
「未来につなげよう(未来への継承)」
だから、この3つのコンセプトとの関連性を(強引にでも)シートでアピールする必要がある・・・と思うんだけど、
“3つの基本コンセプト”のうち、大会エンブレムのイメージとして、どれが最もふさわしいと思いますか?
というアンケートも取ってるんです。
例えば1位になった「全員が自己ベスト」を強調してれば採点は5ポイント、それ以外は2ポイント・・なんてことはないと思うけど、「公平」「公開」をうたってるとそういう方法を勝手に想像したくなりますよね。基本コンセプトのランクをつけさせる必要性ってあったんだろうか。

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○審査の際に考慮する事項
・多くの人に共感してもらえること(共感性)
・東京2020大会のシンボルとなること(シンボル性)
・オリジナリティにあふれ、個性的であること(オリジナリティ)
・デザインとして優れていること(デザイン性)
・ライセンス商品や大会装飾など、さまざまな媒体で展開可能であること(展開性)
・カラーだけでなく、モノクロや拡大・縮小で再現してもデザインイメージの変化が少ないこと(再現性)

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デザイン公募でよくある事項だから普段はなんとも思わないんだけど、これもアンケート取ってるんですよね。
東京五輪、新エンブレムのイメージにふさわしいのは?
この結果を参考にするのか、しないのかも後々テーマになりそうな。


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○応募資格
・経験、受賞歴の有無は問いません。
・18歳以上とします。
・日本国籍の方及び日本在住の外国籍の方とします。
・個人だけでなくグループでの応募を認めます。➡年齢・国籍の条件は代表者のみに求めることで、子供や外国の方も参加できるようにします。但し、応募者の管理などの観点から1グループは10名以内とします。
・なお、個人・グループを問わず、応募は一人(1グループ)一作品とします。

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一応資格は「18歳以上」ですが、グループ応募のルールを適用させれば、例えば申込者が親であれば子どもでも応募できるってことですな。


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○エンブレムの制作要件1
・上から順番に、トップエンブレムおよびワードマークをデザインし、それぞれのシンボルを添えてください。
・ オリンピックとパラリンピックのトップエンブレムは、それぞれ別のデザインとしつつも同じファミリーとみられるように開発してください。
・ ワードマークは全て大文字で「TOKYO 2020」としてください。オリンピック・パラリンピックともに同じ書体とし、既存の書体ではなくオリジナルの書体とする必要があります。
・パラリンピックエンブレムは、ワードマークの下に「Paralympic Games」または「PARALYMPIC GAMES」と表記してください。この表記も既存の書体ではなくオリジナルの書体とする必要があります。
・オリンピックシンボル・パラリンピックシンボルは、エンブレムの総面積の1 / 3 を超えないようにしてください。
・シンボルを添える際には指定のクリアスペースを守ること。


エンブレムの制作条件2
【制作にあたってのルール】以下の場合は、審査の対象外とします
・オリンピック/パラリンピックエンブレム、展開案(応募要項においてテンプレートを公表)がそろっていないもの。
・エンブレムを構成する要素のいずれかが欠けているもの。
・エンブレムを構成するそれぞれの要素の順番を変えたり、まとめたりするもの。
・パラリンピックエンブレムのワードマークの下にParalympic Games の記載がないもの。
・オリンピックシンボルまたはパラリンピックシンボルが明らかにエンブレムの総面積の1 / 3 を超えているもの。
・国際的に認識されているイメージ(例:国旗や国際機関のマーク等)と混同されるおそれのあるもの。
・JOC・JPC 等他の競技団体と混同されるおそれのあるもの。
・アルファベットや一般的な図形のみで構成されているもの。
・オリンピックシンボル・パラリンピックシンボルをアレンジしたもの。
・聖火やメダルをアレンジしたもの。
・既に公表されているものと同一又は類似のもの。(Web による公開も公表作品とみなします)
・第三者の著作権や商標権等の権利を侵害するおそれのあるもの。
・政治的・宗教的メッセージを含むもの。
・反社会的な要素、誹謗中傷を含むもの。公序良俗その他法令の規定に反するもの。

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さすがに制作要件は急に現実的になりますね(笑)
一番のポイントで選定のフィルターになるのは「ワードマークは既存の書体ではなくオリジナルの書体」かもしれません。これの意味するところをどれだけの人が理解できるか・・・。
あ、恐らく制作条件には「著作権は・・」「修正する可能性がある」という文言が入るんじゃないかと。

また、一番特徴的なのはこれかも。
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○応募者の氏名の公表
当選作品の作成者の氏名の公表やそのタイミングについては、本人と相談の上対応します。(非公表でも可とします。)

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もちろん前回のことがあるからですが、こんな名誉なことなのに「非公表もOK」と書かなくちゃいけない世の中って健全なんですかね・・・。



さて、今後のスケジュールですが、

・10月12日の週「応募要項」公表
・10月中提出フォーマットを公表(描画ソフトで作成し、Webで提出の予定)
・12月7日応募受付の締め切り
・春頃エンブレム決定


とのこと。さすがに郵送ではやりませんね。
メール申込だと必要記入事項、添付ファイル、スパムとかいろいろあるから、おそらくWEBフォーマットでの申込になるはず。
1万件は軽く超える公募になるはずだから、それに対応できるシステムを短期間で作らなくちゃいけなかったWEB業者さん、お疲れ様です・・・。
うーん、手羽がネット民だったら、とりあえず大量の旧エンブレムを投稿するかもなあ・・。
あ、ここには書かれてませんが、賞金は前回と同じ100万円だそうです。


前回の公募情報はいわゆる「コンペ参加条件」だから
TOKYO 2020 大会エンブレムデザイン募集
これぐらいの情報しか出てなくて、参加デザイナーさんには直接フォーマットとか申込方法、質問などに対応されたんだと思われます。
「広く国民に」「公平」って大変だろうなあ・・・。


最後に原先生が出したコメントを紹介して終わりにします。
寄稿:コンペ、明快な基準を 五輪エンブレム、不可欠な専門性=原研哉(グラフィックデザイナー、武蔵野美大教授) - 毎日新聞


以上、東京2020組織委員会が使ってるってことは「新エンブレム」という言葉が公式になったってことなんだなあ、よくよく考えると不思議な言葉だなあ、と感じる手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。