それぞれの痔 その2

ここはゴールデン街の立ち飲み屋キャロット。 栗ちゃんの独白が始まる。 「ヨシムラさん、オレ痔になったんですよ・・・」 いかに彼は痔になり、それを悪化させたか、 その謎が今明らかになる。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

劇的に変わったのは2016年初頭ですね。
おしりの穴が異常に痒くなったんです。今までにない痒みでした。
また、それをパンツ越しにかくと、それまた気持ちいいんです。
俺、気持ちいこと好きじゃないですか。
それから数日後ついていたんですよ。パンツに赤い染みが……。
万年筆の赤いインク一滴垂れたような感じで。
そこから、いよいよまずいなと思い、強く拭くのを自分でNGにしました。
傷口が塞ぐの待ったんです。

しかし、痔はそんな僕を差し置いて、ひどくなるばかり。
どんどんとジュクジュクしてきました。
もう、自分の力では良くならないように感じて薬局に薬を買いに走りましたね。
その時に店員に「キレ痔ですか?イボ痔ですか?」と聞かれ、
その場でググり、自分が初めてキレ痔だと認識しました。
自分の症状を照らし合わせキレ痔と分かった時は、
流石に、ショックでした。

店員が「キレ痔は、軟膏よりも座薬が良い」というので迷わず購入。
家に帰って、すぐに彼女に入れてもらいました。

ここで、僕がツッコム。
「お前、彼女に入れてもらったの?恥ずかしくないの?」

「いや、特に」
ここが栗ちゃんの凄いところで。羞恥心が限りなく0に近い。
独白は続く。


最初は、所謂バックの体勢で入れてもらっていたんですが、
彼女が「飽きた」と言い出して、次からは正常位で入れてもらいました。
最初は指の第一関節までしか指が入らなかったんですが、
今では第二関節以上入るようになりましたね(と自慢げに話す)。

けど、途中で座薬の効きが悪くて注入軟膏に変えました。
そうです、ココから有名なボラギノールを使い始めました。
薬剤師が言った通り、確かにしみましたが、
それが効いてるという証拠でもあるな、と。
僕の場合、穴の入り口付近に傷があるんです。
そこは、座薬だけじゃカバーできないんです。




だから、ボラギノールを傷口に塗ってから、穴に注入。
すると、どうでしょうか、効き目抜群。傷が良くなってきました。
今では、全快とは言いませんが、傷も治りつつあります。

僕は栗ちゃんに問うた。
「これ、コラムに発表するじゃん。
そーなると、まぁある程度の人数が読むでしょ。
僕は、栗ちゃんが痔を公表していく流れを作る
痔界のパイオニアになるべきだと思うんだよね。
痔を隠す人たちに何か伝えたいことあるかい?」

栗ちゃん。
「では少しだけ……」
座薬はあまり効かない。そして、血が出ていることは、
正常ではないということですね。
僕も治療が遅れたから悪化した。早い治療が何よりです。
あと、痔を公表しても案外周りの人は受け入れてくれますよ。

と語った。続けて、
「ヨシムラさん、俺の痔の写真、見たいですか?送りますよ」
と言った。どうやら彼女にケツの穴を撮影してもらったらしい。
僕は
「いや、さすがにそれはいらないよ」と言い、電話をきった。
いくらカワイイ栗ちゃんだと言え、痔の写真は見るに堪えないと
思ったからだ。

LINEの通話を終えて、数分後、栗ちゃんからメッセージが届く。
写真のアルバムが送られてきた。
開くとそこには、栗ちゃんの痔の写真。
揃いも揃って13枚。
栗ちゃんの傷だらけの穴を見つつ三度目の大爆笑。
やっぱり栗ちゃんには敵わないなぁと思った。

美大に通っていて褒め言葉としての「変わっているね」がある。
かつては、僕もそー言われて調子にのっていたクチ。
しかし、栗ちゃんみたいな無意識な変人に出会うと、
自分がとことんノーマルだと嫌でも気づかされる。

最後に。
事務所のトイレにはウォシュレットがない。
当然、紙で拭くことになる。
僕も念入りに拭くタイプ。ゴシゴシと拭く。
もう取れたかなぁと確認したすると、そこには赤い血……。
ゾっとした。

ちなみに、まだ痔にはなっていない。爆発まで、あと数年か。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

OTONA WRITER

ヨシムラヒロム / Hiromu Yoshimura

中野区観光大使やっています。最近、29歳になりました!趣味は読書です。