【世界で2つだけの女性のための美術大学】女子美術大学125周年記念式典に行ってきた

2025年10月31日(金)

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10月30日(木)、表参道のスパイラルへ。

この日はスパイラルホールで女子美術大学 創立125周年式典が開催されるってことで、学長と参列させていただきました。
そのレポートをお送りいたします。
  
簡単に女子美術大学について解説を。
1900年に横井玉子さんらが文京区に「私立女子美術学校」を創立したところから始まります。
日本で一番古い私立美術大学で、当時男子校だった東京芸術大学(東京美術学校)に対抗して『女性にも美術を』という高い理念で生まれたのが女子美さんなんです。
もちろん日本で唯一の女性のための美術大学ですが、世界には「女性のための美術大学」は二つしかなく、ひとつはアメリカのムーア芸術大学で、もうひとつが女子美術大学。
今でこそ美大は女子学生率が高いですが、女子美がなければ今の日本の女性作家やデザイナーの地位はなかったといっても過言ではありません。 

パネルの真ん中が創設者の横井玉子さんで、右奥が創立発起人の藤田文蔵さん。
横井玉子さんは1903年にお亡くなりになってしまい、横井玉子さんの意思を引き継いだのが手前の初代校主・第2代校長である佐藤志津さんです。
よく「女子美の産みの母が横井玉子、育ての母が佐藤志津」という表現が使われますね。


スパイラル1,2階では

「125周年記念展 この世界に生きること」として、女子美・短大出身の現代アーティスト3組4名による展覧会と、卒業生38組39名を紹介する写真・映像の展示が11月3日までおこなれています。
会場は撮影NGだったんですが、展覧会はジェンダーのあり方や社会のさまざまな問題に対する、すんごい尖がった作品やパフォーマンスで「これを125周年式典と同じ会場をやる女子美さんはすごいなあ・・」と感心しました。
 

式典は3階のスパイラルホール。
階段には各学科の紹介ポスターが貼られてた。

お花で目に入るのは、やはり北里大学さん。
平成25年に学校法人北里研究所と女子美さんは当時理事長だった大村智さんとの関係で連携協定を結んでいます。
あ、大村智さんとは2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞された大村智博士のことです。

受付をされてる女性の服装を見てください。

同じ洋服を着た女性が会場のあちこちにいらっしゃたんですが、これは

横井玉子さんが考案し1901年に発表された「女子改良服」
洋装・和装両者の利点を生かした制服としてデザインされたのですが、実現には至らず、幻の制服となっています。
これを現代風にリアレンジされた改良服を、この日は女性職員さんが着用されてました。

ちなみに制服といえば、女子美付属中・高の制服のデザインをされたのは、女子美出身で学校法人桑沢学園の創立者・桑沢洋子さんです(豆知識)

会場前は、女子美の歴史資料が沢山展示されてた。
 
女子美杉並キャンパスに日本の美大で一番立派な大学資料展示室「女子美術大学 歴史資料室」があって、手羽も毎回訪問してるんだけど、展示室内は撮影禁止なんすよ。
この日は撮影NGと言われてないので、いっぱい撮らせてもらいました。


  • 1900年の設立趣意書!!


  • 1929年に学生さんが描いた石膏デッサン。よく取ってあったなあ・・

ところで、あえて見きれるように撮ったけど、わかった人いるかしら?

資料の後ろには女子美設立当時頃の着物・化粧をした学生さんが立ってたんです。
式典・展覧会含め「女子美だからできること」をテーマにされたそう。


では会場に入ります。

実はスパイラルホールで開催される大学式典に参加したのは、東京造形大学50周年記念「ZOKEI NEXT 50 オープニングレセプション」についで2回目だったりします。
この日来賓席の隣に座ってたのが、その東京造形大の生嶋学長とタマビの内藤学長で、「10日ぶりですね(笑)」という挨拶を。

この写真を撮ったところで「式典中はあるシーン以外撮影禁止」と影ナレが流れまして。
なので、式典の写真はないので、

次第だけ撮影。
 
「来賓祝辞」が学校法人順天堂理事長なのは、佐藤志津さんが順天堂二代目堂主佐藤尚中の長女で、順天堂第三代堂主の奥様でもあり、資金繰りが厳しい時は順天堂さんに多大な支援をしていただいたり、逆に順天堂大さんが校舎が足りない時は女子美校舎で授業を行ったり、昔から強い関係があるからだそう。

「映像上映」は、女子美の歴史を振り返る15分ぐらいの動画で、AI技術を使ったり、すごく凝った作りになってました。

「表彰」は女子美式典恒例となった「5代女子美」で、5代続けて女子美のご家族が表彰されてました。1代目・2代目の方はお亡くなりになってますが、3代目から現役女子美生の5代目まで登壇。「3代続けて」だったらムサビもいるかもしれないけど、5代となるとやはり歴史の長い女子美さんだからこそ、ですね。

そして祝辞は女子美OGである桃井かおりさん。前日にロスから帰ったきたばかりだそうだけど、さすがSK-IIな感じで。
  

で「あるシーン」というのが、

女子美同窓会が去年女子美付属中高、学生対象に募集をかけた女子美マスコットキャラクター「女子美ちゃん」のお披露目・表彰式。ここだけ撮影Ok。
紹介されてるのは、一般社団法人女子美術大学同窓会会長でサンリオの山口裕子さん。
あ、キティちゃんをデザインしたのはムサビOGの清水侑子さんで、3代目キティちゃんのお姉さんが山口さんです(豆知識2)
 
いよいよ「女子美ちゃん」の発表。

こちらが選ばれたキャラクター(顔が女子美マークになってる)で、この日は

着ぐるみも登場し、曲に合わせて踊ってました。
ちなみに振付はダンサー・振付師の安居リカさんだそう。魔進戦隊キラメイジャーのモーションアクター等もされてますね。

その曲というのが、女子美OGのイルカさんが作詞作曲された「天翔けるJOSHIBIちゃん~ダンスバージョン」
サプライズ!イルカ作詩・作曲!女子美術大学創立125周年記念楽曲「天翔けるJOSHIBIちゃん ~ダンスバージョン~」デジタルシングルが配信されました!(10/24)

そう、デジタル配信されてるので、ぜひダウンロードしてみんなも聴いてね!

そのあとは受賞者の表彰式があり、手羽の真後ろに受賞者が帰ってきたので声をかけたんですよ。

手羽「おめでとうございます。何学科なんですか?」
受賞者「油絵学科です・・(すごく小さな声で)ムサビなんです・・・」
手羽「ほえ?!」
受賞者「今、ムサビの学生なんです・・」
手羽「!!!!!」
式典中に大声を出しそうになりました。

終わった後に聞くと、去年女子美付属高校時代に応募したそうで、「な、なんで樺山先生が来てるんだ」と式典中ずっとドキドキしてたそう(笑)
なにはともあれおめでとうございます!!

「女子美ちゃん」のグッズもいっぱい出てるので、皆さん買ってね!!


タマビさん、女子美さんと参加させてもらった周年式典。
100周年に向けて勉強させてもらってます。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。