TAC創立30周年イベントに行ってきた@東京経済大学

2025年10月18日(土)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

10月17日(金)午後から

東京経済大学へ行ってきました。
 
東経大さんは、大倉財閥の創始者・大倉喜八郎氏が私財50万円(現在の金額だと50億円!)を投じて1900年に創立した大倉商業学校が原点。
そう、先日式典に出席させてもらった津田塾大学さんと同じ今年が125周年なんです。
ちなみに大倉喜八郎さんは鹿鳴館、帝国ホテル、帝国劇場などの設立にも関わっていて、喜八郎さんの長男・大倉喜七郎さんがホテルオークラの創業者です。あの「オークラ」なのです。

最初に向かったのは、「大倉喜八郎 進一層館(Forward Hall)」
旧図書館をリノベーションして作られた建物で、2015年にはグッドデザイン賞を受賞しています。
ちなみに「進一層(しんいっそう)」とは、大倉喜八郎氏がよく使用していた言葉で、東経大さんの建学の精神となっています。

寄付者銘板の1枚。すごい人数・・・実はこれだけじゃなく他にもあります。
入口前にある大倉喜八郎さんの銅像も寄付で作られたものだそうで、ただただすごいなあ、と・・。

東経大キャンパスは、武蔵野台地に多摩川が刻んだ「国分寺崖線」のキワにあるんです。
だからすぐ横が崖。あ、ブラタモリかタモリ倶楽部で紹介されてたあそこも見たいなあ・・・。
 
で、何のためにやってきたかというと、

多摩アカデミックコンソーシアム(Tama Academic Consortium)、通称TACの30周年行事に参加するためなのです。
 
TACとは、多摩地区にキャンパスをもつ国際基督教大学(ICU)、国立音楽大学、東京経済大学、東京外国語大学、津田塾大学、そして武蔵野美術大学の6つの大学で構成された大学協力機構。
6大学と大きくはないですが、分野がほとんどかぶらない大学によるコンソーシアムって全国でも珍しいはず。
 
「単位互換制度」「教職員の交流」の他に、TACの一番特徴的な事業は「図書館の相互利用」と言えます。
他大学の図書館に出かけ直接借りたり、館内閲覧も学生証があれば自由だし(音楽系の卒業制作を作るムサビ生が国立音大さんの図書館にお世話になったり)、各大学を「TAC便」というのが走ってて、例えばムサビにいながらにしてICUさんの本を取り寄せることができます。ムサビ生から時々「ムサビの図書館に小説が少ない」と苦情が出ることがあるけど、TAC便を使えば数日で取り寄せることができるんですね。これは各大学の特徴を生かしたオリジナリティのある図書を安心して収蔵できるメリットもあります。
加盟6大学の図書館の蔵書数を合わせるとその数は実に総数370万冊!
ここまで徹底した図書館相互利用をやってるコンソーシアムは他にないと思います。

第1部の記念講演では、大学コンソーシアムとして大成功してる大学コンソーシアム京都の事務局の方に話していただきました。
京都にある全大学がコンソーシアム京都に参加してるんですね。

コンソーシアム京都の参加校である京都ノートルダム女子大学の募集停止は、コンソーシアム内でも衝撃が走ったそう。
 
  
そして第2部は大学見学。
東経大さんにはこれまで何度か来てるけど、ツアーで案内していただいたことはなかったので、すごくありがたかったです。

大倉喜八郎 進一層館には、東京経済大学沿革史展示スペース「大倉喜八郎と東京経済大学のあゆみ」があります。

さっきはスルっと説明しちゃったけど、前身である大倉商業学校の創立委員には、大倉喜八郎氏の盟友・渋沢栄一も関わっています。
津田塾の津田梅子、東経大の渋沢栄一と新5000円札、新1万円札に直接関係した大学がTACには2校あるんですね。

内部の動画も撮ってきました。


続いて

グローバルラウンジ 「コトパティオ」で、英語をはじめとした様々な外国語で交流したり、異文化を学ぶための参加体験型学習スペース。

うまい仕組みなのが、「英語が苦手だけど外国語に興味がある」という学生さんの入室ハードルを下げるために「見る専」というネームタグが準備されてること。
「入ってみたいけど、外国人に陽気に突然声をかけられたらどうしよう」と思ってしまうと、なかなか入りづらい。これをつけてると恐らく声をかけられることはない。
わかる、すごくその気持ちわかる!
手羽は「英語がしゃべれない」の他に「人見知り」も患ってるから、お店で声をかけられるのもドキドキしちゃうんですよね。お店と美容院にも「見る専」札が欲しい。でも髪はいい感じに切ってほしい。

お隣は学習センター。「東経大(TKU)ベーシック力」を身につけるために、教員や先輩、カウンセラーに学習について気軽に相談できるスペース。
教員16人体制でやられてるそうで、すごいなあ・・・。

5号館はいかにも「大学の講義室」という感じだから、いろんなドラマや映画のロケ地になってるそう。「ドラゴン桜2」もそうですね。

ずんずん歩いて

図書館へ。(外観だけ夜に撮影しました)
図書館と5号館は2014年度グッドデザイン賞を受賞しています。


  • 棚に見えるけどこれはルーバーで、国分寺崖線からの冷たい空気を取り入れる「環境共生型」の図書館になってるそう

東経大図書スタッフが調べたところ、東経大生1人が1年間に図書を借りる冊数は平均2.5冊。
それに対しムサビでさえ8.2冊、ICUさんにいたっては32冊(!)だそうで、もっと気軽に図書館を使ってもらうためにいろんな企画をされてるそう。
こちらは学生さんが興味を持ちそうな「占い」をテーマに、社会や歴史と関係してる本を集めた企画。

東経大さんは経済学の父・アダムスミスの「国富論」初版を収蔵されてて、この見学ツアーのためだけに展示していただいてました。常識知らずの手羽もアダムスミスはさすがに知ってます(笑)

約87万冊の蔵書があり、そのうち45万冊は地下の自動書庫にあり・・・この説明はこの動画を見てもらった方が早いです。

「図書館自体はそれほど大きくないのに、どこに80万冊もあるんだろ?」と思ってたけど、こういうことなんですね。すごすぎ。


東経大さんでは、創立120周年記念事業「国分寺キャンパス第2期整備事業」の一環として、いくつかの建物が建設中です。

こちらは食堂やラウンジ、ラーニングコモンズや小ホールなど学生の居場所を備えた新葵陵会館+新学生会館となるもの。
学食が稼働してる葵陵会館はすぐに解体できないので、まず新葵陵会館を作り、そこに学食を逃がしてから葵陵会館を解体して新学生会館を作るローリング工程を取られてて、2028年竣工予定。


また、正門前に女子専用寮を建設中で、

2026年中の開寮をめざしてるそう。


そして時間になったので第3部の会場へ。

TAC30周年記念教職員懇親会。
6大学の学長全員と沢山の教職員さんが参加してました。
手羽は国立音大の広報の方と芸術系大学の特殊な受験生募集事情を情報共有しました。
美大は美術予備校ってものがあるけど、音大はそうじゃないんで全然やり方が違う。勉強になりました。

懇親会は終わり、どうしても我慢できなくて某所へ。

真っ暗な中、階段を転げ落ちそうになりながら崖の下へ。

新次郎池
第四代学長北澤新次郎にちなんで命名された池で、国分寺崖線のハケから湧き出る地下水で出来ています。120周年事業の一環として整備されたばかりで、ここを前から見たかったの。


以上、

この子が東経大のマスコットキャラクターだと思って写真撮ったけど、あとで学習センターのマスコットキャラクター「ミネルバ」だとわかった手羽がお送りいたしました。
「ムサビにもマスコットキャラクターが欲しいなー」と思ってたけど、そうか、各部署でキャラクター作っちゃえばいいのか。簡単なことだった。
・・・絶対に広報スタッフから猛反対される・・。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。