【変革を担う、女性であること】津田塾大学125周年式典に行ってきた

2025年10月14日(火)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

10月12日(日)、午前9時半

津田塾大学さんへ行ってきました。
ムサビからは車で10分ぐらいの距離にあります。
正面のハーツホン・ホール(本館)の設計は、早稲田大学大隈記念講堂などを設計された佐藤功一さん。

ハーツホン・ホールの裏にある中庭は手羽が大好きな津田塾の空間。
  
何のために来たかというと、樺山学長とこちらの会に出席するためです。
2025年度 津田梅子記念会&ホームカミングデー創立125周年記念式典

今年5月には吉永小百合さんの朗読会が行われたり、125周年事業がいろいろ行われてます。
 
ここで簡単に津田塾さんのご紹介を。 
1900年、津田梅子さんが女性の高等教育をめざすために私塾「女子英学塾」を開かれ、これがのちの津田塾大学となります。
欧米視察の岩倉具視大使一行に日本最初の女子留学生5人の最年少として同行したのが津田梅子さんで、その時の年齢はなんと満6歳。帰国後、アメリカと日本における女性への扱い方の差に大きく落胆し、女性リーダー育成、女性の社会参画を精力的に活動を続けられました。
津田塾の「女性の社会進出」「グローバル」「勉強熱心」な気風は津田梅子さんの血が学校や学生さんに受け継がれている証と言え、「著名卒業生に森山眞弓さん、赤松良子さん、戸田奈津子さん等がいる」と言えば「なるほど!」と思ってもらえるんじゃないかと。
  
あ、津田梅子さんといえば、やはりこれでしょ。

新5千円札の肖像になりましたな。
あ、前の5千円札だった新渡戸稲造は東京女子大学初代学長で、5千円札って実は「女性の社会進出枠」だったりします。

鷹の台駅前にあるドリヤン洋菓子店が作ったお札プリントサブレを皆さん購入されてました。
つられて手羽も買っちゃった。


では、式典の話に入りましょ。
最初は津田梅子記念礼拝。
学則に「キリスト教精神に基づく教育」を行うことが記載されていて、学内に教会があり、礼拝も毎週行われています。
 
そして記念式典へ。
島田理事長から事業報告が最初にあり、祝辞は文部科学省大臣官房審議官と

日本私立大学連盟会長でもある早稲田大学総長・田中愛治さん。
「やっぱり津田塾さんだとこのクラスの方が出席されるんだなあ」と思ったり。
 
そして校友会長の祝辞と続き、

髙橋裕子学長による挨拶。
自分の想いより、お世話になった皆さんや寄付や遺贈された方のお名前読み上げに時間を割かれてたのが印象的でした。
ちなみに125周年募金の返礼品として、福井県鯖江市(包括連携協定先)の熟練した漆職人が1本ずつ仕上げた「オリジナル漆塗りボトル」「モバイルタンブラー」が贈呈されます。よかったらぜひ。


津田塾大学は様々な変革期に入っていて、まずはなんといっても新学部ですね。
2028年度に「国際数理データサイエンス学部(仮称)」を設置予定で、文部科学省の「令和6年度 大学・高専機能強化支援事業」にも選定されています。

そして建築事業だと、

2026年4月開館予定のウェルネス館新築工事が進んでいます。

木造平屋建てで、相談室や休養室、メディテーションルーム、多目的スペースとして利用されるそう。また、事業計画によると寮の新設も計画されてます。
 
最後にカレッジソングである「Alma Mater」をみんなで斉唱。

 
125周年記念式典はここまでで、ここから表彰式へ。

まずは、津田梅子のパイオニア精神にちなみ、女性の未来を拓く可能性への挑戦を顕彰する「津田梅子賞」の贈賞式。創立110周年を記念してスタートしました。

2025年度第15回津田梅子賞は、ダイヤル・サービス株式会社 代表取締役社長の今野由梨さん。
1936年生まれ(!)で津田塾大学英文学科を卒業され、「ベンチャーの母」「国境なきお母さん」とも呼ばれてる方。2023年1月にはイランで行われた「第1回影響力のある女性によるテヘラン国際会議」に日本の女性リーダーの代表として招待されてます。
今年の国際女性デーに合わせて開催された高橋学長と今野さんの対談動画はこちら。

 
続いて、創立100周年を記念して始まった高校生エッセー・コンテスト表彰式。

受賞された高校生は欠席されたんですが、 ビデオメッセージが上映されました。
この方が手羽のイメージの「津田塾!」って感じの方で。
  

ホールでの式典・表彰式が終わり、昼食を食べて、午後からは講義室へ場所を移動し、

記念講演・対談。

講演は、優れた国際報道に贈られる「ボーン・上田記念国際記者賞」を2025年3月に受賞された津田塾出身の読売新聞ローマ特派員・倉茂由美子さん。
倉茂さんは、ウクライナでの市民の虐殺や子供の拉致、性暴力などの戦争被害者の激烈な体験を2年半に渡って徹底取材して記事を書かれています。この講演のために倉茂さんは帰国されたそう。


会も終わり、記念式典に合わせて同時に行われている企画をチェック。

まずはホームカミングデイ。

いろんな場所で開催されてました。

さっきのお札プリントサブレもそうだし、

日曜だけど津田塾グッズの販売も。
 
次に津田梅子記念交流館へ。


  • 津田梅子記念交流館は創立100周年を記念して開設されました

交流館 山根記念ギャラリーでは「ケーテ・コルヴィッツ展 — 平和の轍を繋げる」が開催中で、樺山学長が「ケーテの作品はいいなあ」とずっと言ってた。
また、ムサビ短大卒・山内若菜さんのオマージュ作品も展示されてました。
 
 
最後は、星野あい記念図書館


  • 丹下健三が設計

2階に津田梅子資料室があり、

企画展は「写真で見る125年」
この写真、すごくいいですね。

津田梅子資料室で手羽が好きな常設資料はこの箱です。
学生さんが本館屋根裏にこっそり侵入して遊んでたら、古ぼけた箱を発見し、中を開けたら大量の津田さんの書簡が発見されたんだそう。戦争時に津田さんが屋根裏に隠してたらしく、見つかったのがなんと1984年なんですよ。
 
今回の目玉展示はこちらかな。

120周年事業の一環で、女子美術大学染織文化資源研究所にお願いし、津田梅子が6歳の時に着てた朱色の小袖を修復するプロジェクトが行われました。
 
・・今、サラっと書いたけど、「6歳の時に着てた朱色の小袖」って


この有名な屏風絵に描かれてる小袖ってことで。
1年がかりで修復された小袖の実物展示(撮影禁止)と3Dデータが上映されてます。
高橋学長と修復プロジェクトの陣頭指揮をとられた女子美術大学染織文化資源研究所・大﨑綾子先生による対談動画はこちら。

ちなみに女子美さんも1900年創立なので、今年が125周年なんです。
 
津田梅子さんに興味を持たれた方は、

髙橋裕子学長が書かれ、発刊したばかりの「女子教育のパイオニア 津田梅子: その生涯と女子英学塾建学の精神」をご覧ください。
髙橋学長はアメリカ社会史、特に津田梅子研究をライフワークとされてる方なのです。
式典の引き出物で頂きました。

 
以上、

構内にある津田先生のお墓に「津田塾大はこれからも全然元気ですよ!」とお伝えしてきた手羽がお送りいたしました。


「ムサビ100周年事業推進担当室長」という肩書なもんで、10月は学内報告のためにも数回式典レポートを書かせてもらいます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。