11月25日(金)、手羽はAM7:04東京駅発の新幹線に乗って、
新潟に来てました。2時間弱でこれるんだから実は新潟って近い。
燕三条駅で降りるのはこれで3回目。
ちなみによく「金物の町・燕三条」と紹介されますが、「燕三条市」という市は存在しません。
また駅名は「燕三条」だけど、高速道路のインターチェンジ名は「三条燕」なんですね。これは面白いエピソードがあるので知りたい方はこちらをご覧ください。
■「金物の町」燕と三条、駅とIC名称で「さや当て」の歴史 : 読売新聞オンライン
ちなみにちなみに福岡市にあるのに「博多駅」なのもこんな感じの理由だったりします。地方豆知識でした。
実は火曜日に急遽確定した出張でして、今回は社会連携チームの河野さん、川本くんも一緒。
急遽決まったから全然レンタカーが空いて無く、軽におっさん3人ギューギューで乗ることに。
で最初に訪問したのは・・
西蒲(にしかん)区役所。
西蒲区さんとはわらアートまつりで昔からお世話になってまして、「この話はオンラインより直接やった方がいい」となり、急遽新潟出張が決まった、と。
ここでわらアート、西蒲区、それと岩室温泉について説明しておきましょ。
2001年の建築学科・長尾ゼミ「岩室探検隊」(当時)から新潟県西蒲区岩室との関係が始まり、岩室温泉がムサビに「まちづくり」への提言を求めたことから「アートサイト岩室温泉2003」がスタートしました。かれこれ20年のお付き合いなんです。
で、さらに「もっと地域を盛り上げてほしい」と基礎デザイン学科・宮島先生(当時)に相談され、
「地域の特産品とかなんかありますか?」
「なんもね。ワラぐらいしかね」
「じゃワラで作品つくりましょ」
「え」
てなことで稲わらを使った巨大わらアートを作ることになり、これがわらアートの始まりなんですね。
平成18年に「武蔵野美術大学 :: 「いわむろのみらい」創生プロジェクト」という大掛かりなプロジェクトを始めた年に、岩室温泉観光協会と協働で1体から始まったわらアートは、平成20年度から西蒲区内5箇所に作品を展示する新潟市主催「わらアートまつり」になり、平成21年度から上堰潟公園で大々的に行われるようになって、今や会期中に5万人以上の来場者がくるようなイベントに成長しました。
昔はなかなか制作メンバーが集まらず、宮島先生が「新潟のおいしいお米が食べれて、2週間温泉が入り放題だから美人になれるよ」と学生さんを無理やり誘っていたけど、今は学科を超えて40名を超える学生が集まるようになり、平成28年から単位化もされるようになりました。(この3年はコロナで縮小状態だけど)
大きな造形物がアウトプットとして目立つのでどうしてもアート要素にだけ目がいってしまうけど、わらアートは先ほど書いたように「地域の問題解決」「ソーシャルデザイン」「ブランディングデザイン」から始まったものなので、ムサビ的には「アート活動」ではなく「デザイン活動」の認識だったりします。
こちらは長澤学長と一緒に訪問した2017年の様子。
長澤学長は今年度で8年間の任期が終わりますが、「8年間で印象深い長澤先生との思い出は何か?」と聞かれたら、手羽は真っ先にこの時のことをあげるかな。
ニコニコ町会議も同時開催され、そこに長澤学長も登壇したら、場した瞬間のニコ生コメントは「学長、かっこいい」「服のセンスがいい」と流れたけど、誰かが「稲川淳二に似てる」とつぶやいたところで稲川淳二祭りが始まったっけ。怖いな怖いなー。
それもあって、この年は初日で確か2万人の来場者がありました。
美大の産官学連携でこれほど大きな地域イベントに育った例は他にないはずです(あったら教えてください)
で、打ち合わせが終わったあと、
岩室温泉にある新潟市岩室観光施設「いわむろや」を少しだけ見学して、向かったのは・・
長岡造形大学さんです!!
長岡造形大さんのことも紹介しときましょう。
地元産業界や保護者から「地域のデザイン力と商品開発力を強化したい」「地元の大学に通わせたい」と熱い要望を受け、1994年に市が建物などを整備し学校法人が運営する「公設民営方式」で開設された大学です。
「新しい時代に置けるデザインの実践的教育研究の場を目指すデザイン専門大学」をうたっており、長岡造形さんは「造形」を「design」と英訳しているし、全学科が「デザイン」の大枠の中にある大学なんです。以前は「デザインの大学」、略して「デ大。」をコピーに使ってたけど、今も使ってるのかな?
手羽はこれまで2007年、2017年と2度訪問しています。
■ムサビ日記|手羽日記 07/20 -長岡造形-
■【デ大。】長岡造形大学に行ってきた
こういう時にブログ書いてるとすぐにわかるから便利(笑)
でも、手羽が2007年に訪問したあたりから厳しい状況が少し始まり、2010年から3年連続で定員割れになってしまいました。これはまずいと2014年に公立化したところ、受験生が激増。今も安定した受験生確保ができてて、この変化は入試業界で語り継がれてるし、「公立化の成功例」として必ず挙げられます。
ちなみにムサビが「デザイン思考等を使ってソーシャルイノベーションを起こす人材を育てる学科を美大で初めて作った」とギャーギャー騒いでますが、長岡造形さんはムサビよりも1年早い2018年に大学院で「イノベーションデザイン領域」をスタートさせてたりします。
もちろんその段階でクリエイティブイノベーション学科・クリエイティブリーダーシップコースの構想はできてたから「うわ。先にやられた!!」と思ったっけ(笑)
そして、長岡造形大学は2023年から新たな学科編成を行います。
■2023年からの新生NIDについて
「プロダクトデザイン学科」「視覚デザイン学科」「美術・工芸学科」「建築・環境デザイン学科」の既存4学科を、視覚デザイン学科とプロダクトデザイン学科を統合した「デザイン学科」の3学科にし、なおかつデザイン学科は「テクノロジー×デザイン」を加えた3領域で構成されるのです!
さすがデザインの大学!
事務局どうしでしばし情報交換。
考えてみたら、前回の訪問はノンアポでこっそり侵入しただけだったから、仕事で来たのは15年ぶりだ・・。
そのあとキャンパスを案内していただきました。
この曲線の中は講義室になっていて、外から見ると、
こんな感じ。
プロトタイピングルーム。
ちなみに前回訪問した時も外壁補修をあちこちでやってたんで、手羽的には長岡造形さんといえば「いつも仮囲いされてる大学」だったりします(笑)
おっと、長岡造形さんといえば、ここを見とかないとね。
第3アトリエ棟です。
2010年にグッドデザイン賞にも選ばれてますね。
基礎造形を学ぶ新しいカリキュラムの為に増設されたアトリエで、デッサン室に加え、地域開放の拠点となる「市民工房」から構成されてます。
前回は不法侵入状態だったから(笑)、窓から中を眺めるしかできなかったけど、初めてちゃんと見れる。
この外観だと普通はデザイン系の演習室として使いそうなもんですが、名称の通り、ほんとにアトリエや工房として使ってるんだなあ。
パッと見る限り、ガラス・染織・陶芸・彫金などができる機材が揃ってました。
実は22日に新潟出張が決まり、23日に「見学させてもらっていいですか?」と連絡してのほんとに突然の訪問だったんです。
なおかつ翌日26日(土)は推薦入試だから、本来なら準備で超忙しい時。
それにかかわらずキャンパスを案内していただき本当にありがとうございました。
そして、ムサビでは雑に扱われてる手羽ですが、他美大での人気は絶大なことを二人に知らしめることができました。
お礼といってはなんですが、少し宣伝を(笑)
まず、2023年新学科誕生以外に、
小高い丘のところに4つ目の新アトリエ棟が2024年秋にできます。
先端的なデジタル機器を備えたプロトタイピングルーム、デジタルデザインアトリエ、映像やオーディオの編集室など、テクノロジー×デザイン領域の授業や研究活動はもちろんのこと、全学生が使用できるものづくりのの拠点になるそう。
できたらまた見に行かなくちゃ。
そして、もう募集は締め切られてますが、こちらが開催されます。
■【第1回:4日間】「共感」や「他者理解」を問題発見・解決に活かすデザイン思考体験プログラム
同内容の第2回も開催予定とのことなのでぜひ。
以上、帰りの車の中で
手羽「どうよ。手羽って他美大では尊敬されてるんだよ!」
河野「ぼ、僕もソンケイしてますよ」
といってたけど、ソンケイしてる人が、
お尻突き出して写真撮ってる姿を撮影したりはしないはず、の手羽がお送りいたしました。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。