8月17日(水)、手羽は天王洲に来てました。
車で品川へ行く時は前を通ることもあるんだけど、天王洲で降りたのは、
■世界初!アートの概念を覆す新会社「ART STAND」が設立!をやってみた
以来だから、実に7年ぶり。
そんなに用事があるところじゃないのよね・・。
目的地はスタインウェイ&サンズ東京が1階に入ってる寺田倉庫G1ビルで、何を見に来たかというとこちらです。
■ブルーピリオド展 ~アートって才能か?~
●会期:2022年6月18日(土)~9月27日(火)(前期:6月18日(土)~8月5日(金) 後期:8月6日(土)~9月27日(火))
●時間:10:00~20:00 ※最終入場は閉館時間の30分前まで
●会場:東京 天王洲 寺田倉庫G1ビル(東京都品川区東品川2丁目6−4)
●主催:ブルーピリオド展製作委員会(講談社、電通、TBS、凸版印刷、チケットぴあ、サニーサイドアップ、BS-TBS、電通LIVE)[WY1]
●協賛:TikTok、寺田倉庫株式会社
●後援:品川区
●協力:ArtSticker、新宿美術学院、SCRAP
何故このタイミングで行ったのか。
ブルーピリオドは、もちろんマンガもアニメも全部見てるんだけど、この手の漫画を主題とした企画展はショボイことが多いんで、実は見るつもりはなかったんです。ぶっちゃけていうと。
でも「美大愛好家としてチェックしといた方がいいよなあ」と思い直し、あかりちゃんに声をかけたら「行きたい!」と言われたので、すぐにチケットを取った、と。
あ、事前予約制ではありませんが、事前にチケットを購入する必要があるのでご注意を。
ここでブルーピリオドのことを知らない方のために簡単に説明を。
主人公の矢口八虎は焦燥感を感じながら高校生活を送っていたが、ある日高校の美術室で見た一枚の絵に心を奪われ、そこから東京藝術大学美術学部を目指して頑張るのであった・・が簡単なあらすじ。
美術の見方や美大受験時に美術予備校などで教わるテクニックや葛藤がかなりリアルに書かれてるので、美大受験生や保護者、美大職員は読んでおいた方がいい漫画であることは間違いありません。
以下、ネタバレに少し触れてるところもあるので、それが嫌な方はここで終わった方がいいです。
「青の渋谷シアター」は、八虎が美術にのめり込む様子をアニメーションで再現されてます。
絵画に詳しい橋田くんが解説してる・・という設定ですが、その監修は東京造形大学の池上英洋先生によるもの。
池上先生はこういう本も出してますよ。
■大学4年間の西洋美術史が10時間でざっと学べる 池上英洋
このコーナーを見ながら思いましたが、国立科学博物館でこういう展覧会を今やっていて、
■国立科学博物館×Dr.STONE Dr.STONEとめぐる科学の世界
アニメから科学に興味をもってもらうアプローチの展覧会があるんだから、こういうやり方の展覧会を美術館主催でやると面白いかもしれませんね。東京都美術館とかやらないかしら。
ここは「あの人のブルーピリオド」コーナー。
6名の現役アーティストの高校や予備校時代の作品を見ることができます。
コーナー監修はタマビで非常勤講師をされてる荒木慎也さん。
こちらは会田誠さんが高3の時に描いた「裸婦とカラス」の木炭デッサン。
わざわざ新潟の実家から持ってきたそう(笑)
説明パネルから引用させてもらいます。
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北は北海道から南は沖縄まで、美術大学は全国に分布しています。政府統計によると、それらの大学で、2021年度時点で美術系には13,448人、デザイン系には19,158人もの学生が在籍しています。
さらに専門学校や、美術予備校、個人経営の画塾、オルタナティブ・スクールなどを含めると、膨大な数の人々が美術を学んでいることになります。
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厳密には「美術大学」ではなく「美術系学部・美術系学科」ではあるんですが、オルタナティブ・スクールのこともちゃんと触れてるところはさすがですね。
「キャラ大石膏室」コーナー。
登場⼈物が有名な石膏像に扮しています。
美大生ならどの石膏像がモチーフになってるか全部わかるはず。
平日限定だそうですが、来場者はこれらの像を会場で⾃由にデッサンすることができるそう。
最低限のデッサン道具も置かれてました。
作中に出てくる作品も展示されています。
その全てはブルーピリオドのためにアーティストや学生さんによって実際に描かれた作品なんですね。
藝大受験時に描いた絵も。
「漫画ではでてこなかったけど、それぞれのキャラは藝大受験でこんな絵を描いてたはず」ってのもあります。世田介くんの描き込み、ハンパない(笑)
八虎の鉛筆デッサンの下には割れた鏡が。
名シーンが透明アクリル板に印刷されてるコーナーもあり、漫画の中に入り込んだようになります。
入場時に受験票を渡されていて、東京藝大の合格掲示板で番号を探します。
ドキドキ。
東京藝大出身で原作者の山口つばささんを紹介するコーナーも。
あ、手羽は東京藝大取手キャンパスへ山口さんに会いに行ってたりしてます(笑)
■【取手藝祭2021】東京藝術大学 取手校地に行ってきた!
記事の中で詳しくは触れてないのは、SNS投稿不可と言われたからで・・。
仕事場も再現されれてて、ここでわかったことは「ハンター×ハンターが好きな人」ってこと(笑)
ちなみに橋田くんはヒソカがモチーフになってるんじゃないかと予想してます。なんとなく変態的なところとか。
ここは「BLUE ART COLLABORATION」コーナー。
現代アーティストに原作で八虎が取り組んだ課題(①私の好きな風景 ②私の大事なもの ③本当の自分)をテーマに作品を制作してもらい展示し、ArtStickerで実際に販売するプロジェクト。
後期会期は高3で岡本太郎現代芸術賞大賞を受賞した大西茅布さんの他に工藤時生さん、鮫島ゆいさん、杉田万智さん、杉本憲相さん、杉山日向子さん、sumaさん、永田優美さん、フカミエリさん、松田ハルさん、山ノ内陽介さん、ユゥキユキさんの作品が展示されてます。
タマビ版画卒の片桐仁さんが描いた自画像や粘土作品も。
片桐さんといえば、こちらの動画もどうぞ。
全国の美術予備校の生徒34名が単行本1〜6巻の表紙をモチーフにして描き下ろしています。
個人的には湘南美術学院の生徒さんの作品に必ず目がいきました。
ブルーピリオド展についてはこんな感じかな。
サブタイトルの「アートって才能か?」に対するアンサーがどこかにあるかずっと探してたけど、結局WEBに書いてあるこのフレーズなんでしょうね。
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絵が上手いことは、才能か。
藝大に行くひとは、天才か。
いや、毎日必死で、手と頭を動かし続けた結果だ。
評価される絵には、法則がある。
受かる絵にも、基準がある。
でも、法則だけが、基準だけが、美術の全てではない。
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いろんなコラボ企画が進んでいて、展覧会とだと
■[期間限定ワークショップ]ブルーピリオド展特別講座 『YOUR BLUE』
■【公式】リアル脱出ゲーム×ブルーピリオド『正解のない美大受験からの脱出』
などがありますが、作品としてのコラボだと、つい最近発表されたのがバーバリー×ブルーピリオドのコラボレーション。
バーバリーのシグネチャーバッグ「ローラ」にインスパイアされた新キャラクター「ローラ」が登場する、山口つばささんによるオリジナル描きおろしマンガが8月20日(土)より公開されます。
詳しくはこちらをご覧ください。
■Burberry x ブルーピリオド | Burberry® 公式サイト
そしてそして、山口さんの初の短編集が8月23日に発売されますよ!
■山口つばさ短編集 ヌードモデル
表題作「ヌードモデル」は、連載前の2015年に読切45P で掲載された短編で、あらすじ読む限り、ブルーピリオドの原型に近い話かもしれませんね。
さて原作は、藝大に入学してからしばらくストーリーが停滞してる感がありましたが、11巻の絵画教室編は手羽が好きな話。
また、12巻からのアートコレクティブ編は、東京藝大を頂点とした美大教育を否定していくのかどうかオチが気になっていて、個人的には「大学で美術を学ぶ必要があるのか?」を山口さん視点でしっかり語ってくれたらと思っています。
以上、
藝大アートプラザだけじゃなく、ムサビ出版局に相談してくれたらいくらでも協力したのになああ、の手羽がお送りいたしました。
休む休むといいつつ、結局更新してる・・・。来週は1週間休みます・・。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。