【ラウンジ最後の展覧会】「見えてないデザインー社会に問い続けるムサビー」展が11月14日から開催!!

2020年11月2日(月)

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2012年からスタートした六本木の武蔵野美術大学デザイン・ラウンジは、2020年12月をもって市ヶ谷キャンパスに機能移転・・ストレートに書くと閉室します。
ラウンジがどういう経緯で立ち上がり、どんなことをやってきたかはこちらをご覧ください。
手羽、デザイン・ラウンジをおおいに語る
ま、「閉室」というとネガティブに聞こえますが発展的な解消なので、学内でも悲壮感はなく、早めに閉室を発表して、次に入居される団体さんが動きやすくしてあげよう、というムサビの優しさ。
でもいまだに発表されてなくて・・早く公表してほしいんだけど・・。


というわけで、デザイン・ラウンジにとって最後となる展覧会の概要が発表されましたよっ!!

東京ミッドタウン・デザインハブ第89回企画展 「見えてないデザインー社会に問い続けるムサビー」

●会期:2020 年11 月14 日(土)- 12 月13 日(日)会期中無休
●時間:11:00–19:00
●会場:東京ミッドタウン・デザインハブ
●入場料:無 料
●主催:東京ミッドタウン・デザインハブ
●企画・運営:武蔵野美術大学


「見えてないデザイン」展は、 世の中のモヤモヤ(違和感)に目を向けて、問題の本質に気づき、その解決策を考えながら、未来を自分ごと化するためのデザインプロセスを体験する展示です。


デザイン・ラウンジがなければ、新学科構想や市ヶ谷キャンパス構想は恐らく生まれなかったわけで、クリエイティブイノベーション学科教授・ ソーシャルクリエイティブ研究所所長でもあり、デザイン・ラウンジディレクターだった井口 博美先生はこう語っています。

美術やデザインを通してまだ「見えてない」ものに気づき、「問い続け」、これからの未来、そして新たな学びをみんなで考えていくための展覧会を開催します。
また人々が集う「ラウンジ」として機能しただけではなく、そこで培われた資産は市ヶ谷キャンパスへの「滑走路」としても大きな役割を果たしたことを記しておきたい。

いざ六本木から市ヶ谷へ!

 

デザイン・ラウンジはワークショップや公開講座、公開授業、産学連携などを常にやってきつつ、年に1回大規模な展覧会を開催してきました。
本題へ入る前に、これまで行った展覧会を紹介しましょう。
2012年
ムサビのデザイン 武蔵野美術大学のデザインコレクションと教育

●会期:2012年10月5日(金)〜11月4日(日)
●企画・運営:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ、武蔵野美術大学 美術館・図書館、武蔵野美術大学 造形研究センター

普通展覧会は2年前ぐらいから動き出すものですが、開所時だったんで半年弱ぐらいでこの規模の展覧会をやるはめに。美術館スタッフにはほんと感謝。


2013年
これからの「くらし」、これからの「かたち」―クラフトとデザインの総合と未来形

●会 期:2013年11月20日(水)-12月25日(水)
●企画・運営:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ、武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科、武蔵野美術大学 芸術文化学科

オールムサビ体制を目指し、2回目からはデザイン系学科を運営主体として展覧会を開くことにしました。
最初の年が工デで、ディレクションを芸文が行ってます。こういう学科を飛び越えた動きができるのもムサビの特徴といえます。


2014年
いろは展

●会期:2014年11月21日(金)-12月25日(木)
●企画・運営:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ、武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科

3年目は空デ。かなりアーティスティックな展示になりましたね。


2015年
ラーニング・アーキテクチャー2015|建築、学びの冒険─大学の建築設計課題の動向展

●会期:2015年11月20日(金) – 12月26日(土)
●出展大学:筑波大学芸術専門学群デザイン専攻建築デザイン領域、東京藝術大学美術学部建築科、東京大学工学系研究科・建築学専攻・Advanced Design Studies、東京理科大学理工学部建築学科、東洋大学理工学部建築学科、法政大学デザイン工学部建築学科、明治大学大学院理工学研究科、横浜国立大学大学院建築都市スクールY-GSA、早稲田大学創造理工学部建築学科、Architectural Association+東京藝術大学ワークショップ、武蔵野美術大学造形学部建築学科
●企画・運営:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ、武蔵野美術大学 建築学科

「他大学と連携し、教育を見せる」「結果ではなくプロセスを見せる」という意味でひとつのポイントとなった展覧会。


2016年
デザインの理念と形成:デザイン学の50年

●会期:2016年11月19日(土)– 12月25日(日)
●企画・運営:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ、武蔵野美術大学 基礎デザイン学科

たまたまムサビの立体系デザイン学科が続いたので、基礎デにお願いしたのがこの年。


で、「5年ムサビ内でやってきたから、そろそろ外部とのコラボをやっていこう」として開催したのがこちら。
2017年
ハブとマングース

●会 期:2017年11月27日(月) – 12月24日(日)
●企画・運営:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ、株式会社モーフィング

この頃には新学科構想があったので、今後を担うクリエイターの新しい働き方や社会との関わり方、プラットフォームを思考する展覧会をやりました。


2018年
企(たくらみ)」展 -ちょっと先の社会をつくるデザイン-

●会期:2018年11月25日(日)-12月24日(月・振休)
●企画・運営:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ、NPOグリーンズ

完全に新学科構想と連動した展覧会で、サービスや仕組みといった「形のないデザイン」が、地域社会・ビジネス・個人の暮らしに寄り添っているか提示する展覧会。
手羽が関わった最後の展覧会なので思い出深いです。


2019年
ヴィジュアル・コミュニケーション・デザイン・スタディ

●会期:2019年11月25日(月)-12月25日(水)
●企画・運営:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科

やっぱり学科主体展覧会のラストを飾るのは視デしかない、と。


で、今回の「見えてないデザイン」展の話。
趣旨文にはこう書かれてます。
====
将来の変化を予測することが困難な時代を前に、社会における新しい学びのあり方が求められていますが、その中では、美術やデザインの発想から問いを生み出し、未来を創造する力が必要とされています。武蔵野美術大学では、美術・デザインの教育機関として、社会と大学がつながるための方法を問い続け、様々な活動に取り組んできましたが、この問い続ける活動はまさにデザインのプロセスであると言えます。
====


新学科「クリエイティブイノベーション学科」の設置ポリシーを浸透させるには、具体例をどれだけ知らしめられるかがポイントになると手羽は最初から思ってます。扱うのがプロダクトやグラフィックと違ってアウトプットがわかりにくい、「形のない・見えてないデザイン」だから、抽象的すぎると高校生や親御さんにはなんでそれを学ぶ必要あるのか全然伝わらない。

・・・というのは簡単だけど、これがなかなか難しく、それで2018年の「企み展」や、クリクリ!をやってる、と。
あ、大学研究家の山内太地さんがこういう動画を公開されてて、

『ムサビはプロダクトに強い』なんて手羽も初耳で、どこで言われてるか教えてほしいのだけど(笑)、「高校生や一般の方に響きやすい言葉」という意味で「これぐらいわかりやすく(短い動画とかでは)提示しないと伝わらないんだろうなあ」と参考になりますね。


展覧会会場のイメージを見ていきましょ。


  • 会場全体イメージ


  • 入り口イメージ

「教育」「地域」「産業」「文化」「生活」「多様性」という6つのキーワードをもとに、美術やデザインを通してまだ「見えてない」ものに気づき、「問い続け」、みんなで考えたこれからの未来と新たな学びを展示します。

例えば「物流」も目に見えませんよね。
その見えないデザインの代表名詞であるロールボックスパレット(俗称「かご台車」)を活用した展示方法を取ってます。
搬入した状態で展示をし、そのまま全国を周ることもできるから、「みんなのモヤモヤや気付きのデザインが流通する」というコンセプト。

ちなみに10月30日に2020年度グッドデザイン大賞が発表されましたが、今年はこれでした。
自律分散型水循環システム [WOTA BOX]

世界初の「持ち運べる水再生処理プラント」で、このプロダクトの形がグッドデザインではなく「未来の水インフラのデザイン」がグッドデザインであり、これも「見えてないデザイン」と言えるんじゃないかと。

展覧会テーマについては、デザインを実践する上で欠かせないプロセスである「フォト・オブザベーション(観察)」という手法を用いて、学生、教職員、企業・自治体の方々で対話を重ねてきました。その様子や、その中から生まれてきたアイデアも展示と合わせて紹介されるそう。

・・とやっぱり文書だけではわかりにくいので、ぜひ会場にきてくださいな。
イベントもたくさん用意されてるので、別記事で紹介します。


以上、「ラストイベントは手羽も登壇させてよ」と社会連携チームリーダーにお願いしたら、「仕方ないなぁ。。じゃ、『美大はどこにいくのか?』というイベントを22:00-翌6:00とかでやります?手羽さん、タマビ米山さん、京都芸術・吉田さん、東北芸工・滝口さんあたりで」と返ってきた手羽がお送りいたしました。
「うーん、22時じゃ寝てるから朝3時スタートならできる」とまじめに答えたけど、なんで裏イベントばかり手羽にやらせる・・表をやりたいのよっ!

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。