SFF2019プレイベント「真夏のSFF2019」レポート

全国の学生フリーペーパーの制作者と読者が一堂に会し、交流をはかることを目的とした学生フリーペーパーの祭典「Student Freepaper Forum」、略して「SFF」。14回目となる今年のSFFは12月8日に開催されることが決定している。SFFに先立って、より多くの方々に学生フリーペーパーを知って楽しんでほしい、という願いから行われたプレイベント、「真夏のSFF2019」の様子をお届けする。

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 9月1日、国分寺のD-LAND LOUNGEにて行われた「真夏のSFF2019」。例年12月の真冬に行われるSFFと真逆の時期に開催、ということで名付けられたのが「真夏のSFF」だ。当日は、学生フリーペーパーの世界観を表現した空間アートブースの設置や、フリーペーパー専門店ONLY FREE PAPER元スタッフのひやまさんをゲストにお迎えしたトークセッションを実施。

「自分の部屋のようにくつろいでほしい」ーたびいじょブース

 女の子のひとり旅を応援する学生団体mof.が、年に2回春と秋に発行している「たびいじょ」。海外の特集が多いにも関わらず、親近感を持って読めるのは、資金調達から企画、編集、デザインや配布まで、発行に関わるすべてを学生が行っているからこそ書ける、学生目線の記事だからだろう。そんな「たびいじょ」の最新号は「タイ特集」。これを種に生まれた空間アートブースのテーマは、「タイに出かける前の女の子の部屋」だ。旅行好き、タイ、アジア…...と、SFFメンバーで部屋をイメージして、テーマに合いそうな小物をかき集め、持ち寄って準備。

 当日、イベントスペースの一角にかわいい部屋が登場した。ブース制作担当者が「自分の部屋のようにくつろいでほしい」と願っていたブースには、当日たくさんの方が訪れ、思い思いにくつろいで、写真を撮っていた。また、壁には「たびいじょ」に掲載されている綺麗なタイの風景が飾られたり、部屋の雰囲気を作る小物としておかれていたガイドブックには、その部屋の女の子がメモとして付けたのであろう付箋が貼られていたりと、細かいところまで作り上げられた「部屋」であった。

「みんなの持つ宇宙をカラフルでポップに」ーツクマガブース

 「ツクマガ」は学生団体C4が発行する筑波大生のためのフリーペーパーだ。制作するのも、登場するのも筑波大生である。前号で「ほぼ新創刊」されたというツクマガの新たなコンセプトは「筑波大生のための発見マガジン」。そんなツクマガがほぼ新創刊後、2つ目に取り上げたのは「宇宙」だ。ツクマガが取り上げた「宇宙」は、人間誰しも持つ好きなモノで広げられる頭の、心の中の「宇宙」。

 冊子の中で紹介されている様々な人の「宇宙」を、鉱物をイメージした形の紙に書き、吊す形で紹介した。紹介している人たちだけではなくて、人間はみんなそんな「宇宙」を持っているのでは、という部分も抽象化して表現。今回の冊子の中では宇宙をカラフルでポップに表現するなど、細かい点まで何度も重ねられたミーティングで共有され、取り入れられた。ツクマガの描き出す宇宙観に四方を囲まれた当日のブースをぐるりと見回すと、今回の冊子の雰囲気がわかり、「さあ、どれどれ…....」と冊子を読み入りたくなる空間となった。

「絡み合う『シコウ』を感じ取って」ーSeelブース

 コンセプトに「THE DOOR TO CULTURE」を掲げるフリーペーパー「Seel」は、立教大学を中心に活動しているフリーマガジン制作団体Seel編集部が年に3回発行している。最新号は「食とシコウ」がテーマ。「食」というテーマはとても大きく、ありきたりに感じてしまうが、今回は「シコウ」と組み合わせて取り扱っている。これがSeelの大切にしている、「ひねくれた」視点。冊子の中では、身近な「食」に関することだけれど、聞かれるとふと考えてしまう、そんな問いかけがどんどん投げかけられる。その「シコウ」を表すのに用いられたのは「糸」だ。

 何本もの黒い糸が、天井から床へと広がりながら伸ばされ、その間に、様々な食品のパッケージや模型が挟み込まれていく。実はこの黒い糸を扱うのが大変で、思ったより時間がかかってしまったそう。イベント開始時間ギリギリまで細かい調整が続き、無事完成。見慣れたパッケージや食品が、真っ黒な糸の中にある様子は、まさに「食」と「シコウ」が絡まり合っている今号のSeelが、視覚的にわかりやすく表現されているように感じられた。

 また、これらの空間アート展示にあわせて、SFFと3団体がコラボしたオリジナルステッカーも販売。そして、スペースの一角では、SFFメンバーおすすめフリーペーパーもいくつか用意し、手書きポップを制作して紹介した。

「制作者目線で話すディープなあれこれ」ースナックSFF

 また、「スナックSFF」と題したトークセッションも開催。ゲストにお迎えしたのは、ひやまさん。ひやまさんは、茨城大学のフリーペーパー「C-mail」の元編集長、ONLY FREE PAPERの元スタッフ、そしてご自身でもフリーペーパーを発行されるなど、フリーペーパーに深く関わってこられた方だ。そして、スナックSFFの時間には、SWITCH KOKUBUNJIさんのケーキが登場。コラボフリーペーパーのデザインを用いたピックが立てられた、SFF仕様の小さなかわいいケーキたちをお供に、スナックSFFのはじまりはじまり。

 トークセッション参加者のほとんどがフリーペーパー制作者だったこともあり、フリーペーパーの制作スタイルや、特集テーマの出し方など、制作者ならではのディープな話で大盛りあがり。他にも、これまで多くのフリーペーパーを読んでこられたひやまさんならではの視点や、学生がフリーペーパーを作ることの意味など、1時間の間にとてもたくさんのお話をお聞きできた。

「12月8日、神保町でお会いしましょう!」

 今回は、3団体の各々フリーペーパーの個性的な世界観を色濃く表現したイベントであったが、12月8日のメインイベントでは、同じように個性的な世界観を持ったフリーペーパーが全国からさらに数多く持ち寄られる。
そして、今年のSFFのテーマは「Neo SFF」。学生フリーペーパーのコンテストとして始まった当初のSFFに「原点回帰」し、フリーペーパーを制作する学生の「想い」をより多くの人に届けられるようなコンテストを実施予定。また、SFFに足を運ばれた皆様に刺激ある出会いを生む場になるように、制作する学生や読者、企業と交流を図ることのできるワークショップ等もただいま企画中。続報をお待ちください!

最新情報はSFF2019公式Twitterから。
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文章:SFF広報部 北村さくら
写真:SFF広報部 渡邊瑛人

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SFF2019では、学生フリーペーパー団体へのインタビューを連載中。
前回の記事はこちら

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SFF=Student Freepaper Forumとは、全国から集まった学生フリーペーパーを手に取り、その制作団体と直接交流することができる年に一度の祭典です。本やフリーペーパーが好きな方、学生の熱気に触れたい方、ぜひSFF2019にお越しくださいませ。