映画「カレーライスを一から作る」とSFCのORFに行ってきた

2016年11月20日(日)

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2016年11月19日(土)。3種類の「学びのアプローチ」を見た日でもありました。


まず、午前中はこちらへ。

ポレポレ東中野。

名前は前からよく聞いてたんだけど初めての映画館。
この客席100席ぐらいの小さな映画館に何を見に来たかというと、

映画「カレーライスを一から作る」の初日だったんです。

今年2月にフジテレビNONFIX で「カレーライスを一から作る 関野吉晴ゼミの9か月」が放送されました。
冒険家でありムサビ教授でもある関野先生が、野菜や米、肉、スパイス、塩、皿などの材料をすべて一から育てるという途方もない計画を学生たちと取り組んだ9か月間のドキュメンタリーで、それをクラウドファンドで資金を集め成立し、今回映画化された・・というわけです。

授業で畑を耕す大学は意外とあります。
私の知ってるところだと東北芸工さんで、PARTNER記事にもなってます。
美大×農業!?私たちが畑を耕す意味とは?

芸大・美大の人は、「なんで『芸』って草カンムリなんだろ?」と気になったことがありません?
これ以前調べたことがあって、もともと「芸術」の「芸」の旧字体「藝」は、並び生えた草の象形・雲が立ち上る象形・人が若木を持つ象形から生まれた会意兼形声文字(「OK辞典[漢字・漢和辞典」より)で、園芸技術を表す漢字でした。「芸」は「技」に違いニュアンスであり、今使われてる「芸術」という言葉のなんとなくな違和感ってそのへんにあるのかもしれません。
それと「美」という漢字も・・・これは調べてみてください(笑)
「芸術」「美術」は第1次産業と切っても切れない関係なんですね。


関野先生が学生さんに伝えたかったことは「第1次産業労働の大変さ・生き物の大事さを体験する」以上に、「モノの原点がどうなっているかを探っていくと社会が見えてくる」という「学びの姿勢」じゃないかと感じました。
●スーパーで売ってるそろった形の野菜が作られる工程
●収穫した種から育てても同じものができない種の理由
●きれいな白い塩の作り方
●豚肉を解体してる人たちが受けてる差別
などがそうで、知ろうと思えばいくらでも調べることができるけど、知ることが怖くて大人でもなかなか踏み込めない現実があります。「本」のことを調べてるうちに「製紙」に気づき、自然破壊してる海外のパルプ工場まで行ってしまった人もいます。

ただ、これを突き詰めていくと「じゃ、あなたはアマゾンで一生暮らしますか?」ということであり、「生き物を殺しちゃダメ」といっても植物だって生き物。何も食べずに生きていければいいのですが現実はそうはいかないし、文明に助けられてる部分も大きい。
これは「自分で問いを作り、自分で答えを出すこと」の大事さを実践で学ぶ授業ということです。
・・・授業といっても単位も何もでない完全自主参加型なので、最初200人近くいた学生さんが最後は30人ぐらいになってたとか(笑)

初回ということもあり、上映後は関野先生と前田亜紀監督によるミニトークショーもありました。

この映画は普通の授業のドキュメンタリーなので、大きな事件が勃発したりはしません。
でも考えさせられることが多く、ぜひいろんな人にご覧になっていただきたいのです。

と、なんでこんなに宣伝してるかというと、実は、

最後のクレジットに手羽の名前がでてくるんです。がはは。


んで、東中野から車を飛ばして、東京ミッドタウンへ。

地下ホールで大々的にやってる「SFC Open Research Forum 2016」へ。
今日2つめの「学びのアプローチ」。

SFC Open Research Forum 、略してORF。
慶応義塾大学SFC研究所で実施している種々の研究プロジェクトの現状と将来計画を産業界・官公庁・自治体・学会等に広く紹介し、研究実施に必要な産官学協力関係の円滑化とその強化を図ると同時に、外部の評価を得て今後の研究計画に反映させる目的で開催されています。
SFCができて6年後の1996年に湘南藤沢キャンパスでスタートし、2003年からは六本木ヒルズ(1回だけ丸の内)、2011年からミッドタウンで開催されるようになりました。


毎年ムサビのデザインハブ企画展初日と同じ時期にやってるもんで毎回見てしまうんですが、もうね、嫌になります。

手羽の写真だとわかりにくいんだけど、もうね。規模も動員数もハンパなく・・。さすがSFCさん。
19日は高校生向けワークショップや講演もやってて、高校生もいっぱい来てました。
 

うちの研究支援スタッフが見てきて「もう、『パネルの張り方はうちの方が上』『彼らはイラストが下手』ぐらいしか言えない」とショックを受けてました・・。
 

「エコバイオデザインって、なんでも『デザイン』つければいいってわけじゃない!」と・・・うちのスタッフが怒ってました。手羽ではありません。

Makeまで出張してる・・。

ま、こういう人がいないと無理ですよね・・。

2日間ミッドタウンのホールとカンファレンスを使った大規模なイベントとなると結構な金額になるはず。(特別協力にミッドタウンも入ってるから会場使用料の無料なのかな?)

というか、研究発表の規模もすごいですが、

何よりこのスポンサーですよ。
ムサビも大手企業でいいポジションにいる卒業生がいっぱいいますが、スポンサーになってくれるかどうかは別の話で。
慶應さんのブランド力やOB力ってやつですよね。ほんと嫌になります(涙)


ただ、「満ち足りた現代社会をお金をかけて研究した成果をオサレな東京ミッドタウンでお金をかけて発表」という、なんというか「カレー」とは両極端な「学び」の姿勢のような気も。
どちらが学生さんにとっての「学び」になるのか、難しいですね。


そして、ミッドタウンタワー5階に行き、

最後の「学びのアプローチ」の場所へ。


でも長くなりそうなので、続くっ!!

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。