【東大のアート】手羽イチ押しの東京大学制作展Extra2019「enact one’s self」をチェック!【アートの東大】

2019年6月26日(水)

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手羽がこの数年注目してるこちらの展覧会を紹介します。


東京大学制作展Extra 2019 enact one's self

●会期:2019年7月5日(金) 〜 8日(月)
●時間:11:00 -19:00
●会場:東京大学 本郷キャンパス 情報学環オープンスタジオ
●事前申込不要
●参加費無料

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東大制作展は一言で説明するなら「東大のテクノロジーメディアアート展」
「表現活動と研究活動の両立」を2000年設立当初からテーマに掲げてる東京大学大学院 情報学環・学際情報学府が7月、11月と年に2回メディアアート展を開催してます。毎年7月に開催してるこのExtraは、4月からスタートした大学院授業の3ヶ月の期間で企画・運営から作品制作までを一通り経験する場で、11月本展にむけての前哨戦的な位置づけにあります。


手羽はここ数年、東大制作展を毎回チェックしてて、最近だと
【聖地巡礼】第20回東京大学制作展 "Dest−logy REBUILD"に行ってきた
11月の本展にも行ってて、なんだかんだ去年一番訪問した他大学はタマビではなく東大になっちゃった。

今回のテーマは「enact one's self」
enactとは、哲学における思想「Enactivism(エナクティヴィズム)」に由来し、受動的になりがちな情報社会において、それぞれの自己(one's self)を能動的に行動(Enact)させることに想いを巡らせた企画とのこと。

今回出展される作品をいくつか紹介します。


こちらは毎回「愛」「命」をテーマにしてる方の作品。
はい。手羽が精子になったあの作品で、いつも宣伝を頼まれてます(笑)

出産・妊娠・受精・愛ときてるから、今回は「行為」を表現するんじゃないかとドキドキしてたけど、生命だった。ホッ。


その他にもいろんなアプローチの作品があります。

先日行われた学生クリエイター向けの「ReDesigner Summer Meetup 2019」というイベントには、総合大学の学生さんがかなり参加されてたそう。就活で戦う相手は総合大学生なわけだし、アート業界も同様。
どうしても美大にいると「美大っぽい作品」ばかり見てしまう(基準にしてしまう)ことになるので、「ここはまだうちらが勝てるな」「こういう表現があるんだな」「お互いが補ったらもっと面白いものができるかも」と自分の美意識をリセット・再確認する意味でも美大生は東大制作展に行く価値があると思ってます。タマビのメデ芸ともちょっと違うんですよ。その「ちょっと」がなんなのか説明できないけど。


ところで東大といえば、昨年起きた宇佐美先生の作品廃棄問題を覚えてる方も多いのでは。
でも、むしろ「東大はさすがだなあ」と思ったのは、

東京大学広報誌 淡青 vol.38で「今回の問題が東京大学と芸術をめぐる新しい時代を開くきっかけになることを願う」と「東大とアート」を切り口にした特集をやったことです。
学生さんが作る冊子ならありえる話だけど、大学公式広報誌で、ってすごくありません?
恥ずかしい過去にも向き合い、議論し、前に進め、なおかつ広報要素も入ってるんです。

いろんなアートがあり、もちろんこの東大制作展も紹介されてるし、先端科学技術研究センター 客員研究員をやってる空デの鈴木康弘先生が紙面に登場してたりします。
にしても、どれくらいの人にこの広報誌は読まれてるんだろう。

あ、紙面で知りましたが、日本最初の西洋美術教育機関である工部美術学校の教育資料は、東大工学系研究科建築学専攻が引き継いでて、デジタルアーカイブ化を進めてるそうです。
建築学専攻 デジタルミュージアム準備室


ただ、個人的に残念だったのは、毎回東大に行くたびに手羽が感動してる


  • 銀杏並木の父でもある濱尾新像。1932年建立。手羽撮影


  • 建築界の基礎を築いたジョサイア・コンドル氏の銅像。1922年建立。手羽撮影

これらの銅像が今回の特集で紹介されてなかったことで。

このレベルでこのサイズの銅像が同じ敷地にこの数設置されてる場所ってそうないんですよ。
戦争を逃れた歴史的にも貴重な銅像のはずで、東大広報は彫刻の価値を全然わかってない!!!・・と文句つけようと思ってたら、36号で紹介済みでした・・さすが・・。



以上、去年展示を見て「悪くいえば説明的というか、『作りたいから作った』な衝動的な部分がもっと表現されると面白くなるはず」とか「言葉で補完されることが前提に作られてる作品が多い」とか一生懸命美大の優位性を語り、上から目線で偉そうなこと書いてたら、

「こういうの好き」とつぶやいた「韻を踏む」という作品が、5月にSICF20であっさり受賞してた手羽がお送りいたしました。

ほんと、東大の人がこの領域に出てくるのは勘弁してほしいなあ・・。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。