熱量があるフリーペーパーは「生きている」!?ー OFP松江さん&檜山さん対談【後編】

リニューアルしたフリーペーパー専門書店「ONLY FREE PAPER(以下OFP)」。ここに、フリーペーパーへの熱量が凄まじい人達がいる。それはOFP代表の松江さんと、スタッフであり、昨年のSFFにてアワードを受賞した茨城大学のフリーペーパーで編集長を務めていた檜山さん。そんなお二人に、中目黒の新店舗にて学生フリーペーパーの"熱量”について熱く語っていただきました。前編では、フリーペーパー制作者の「熱量」を読者へ伝えるために必要なことを教えてくださいました。後半では、その「熱量」がどこに現れてくるのか?実際どうしたら良いのか?をお話ししていただきました。

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熱量のあるフリーペーパーはページに収まらない

工藤(SFF記者):今気づきましたが、フリーペーパーをメディアとして作る意識はあまりなかったです。

松江さん(以下松江):そういう人が多いのかもしれません。

檜山さん(以下檜山):「メディアを作りたい」んじゃなくて「サークル活動をやりたい」んだなって感じるフリーペーパー、多いですよね。

松江:失礼かもしれないですけど、ほとんどの学生フリーペーパーはあまり色がないから、タイトル変えたらどれがどの媒体か分からないんですよね。

檜山:お店紹介をしているフリーペーパーは多いですが、どうしても浅くなってしまいがちですよね。となると、大学周辺のお店を10店、一冊に綺麗に並べるのではなく、その中の一軒を一冊使ってめちゃくちゃ詳細に掘り下げていくのはどうでしょう。店主はどういう生い立ち?使っている調味料は?とか。

松江:そのお店にしかないストーリーですからね。もし大学の近くのお店を取材すれば、フリーペーパーが同大学生を対象に作っているという意味も担保されつつそこのお店にしかない唯一の記事も生まれるので圧倒的にいいですね。単純に、一件一件やればネタも続くし。

檜山:たぶん、お店10軒を二ページの中で収めようとするから浅くなるんです。となると、熱量って、一つのテーマにかけたページ数なのでは?と思う節もあります。

工藤:熱量かければかけるほど収まらなくなっていくはず、ということですね。

檜山:むしろ、熱量が収まらないなら、既存の媒体で特集として載っけるよりも、独立して一冊作った方が良いと思います。そうしてできたのが『大学喫煙所名鑑』だと思うんです。

フリーペーパーは生きている

松江:設置/流通に関しては、大学の周りだけで配って満足している団体が多いと思います。でも本当に自分が作ったフリーペーパーに熱意があったら、多くの人に読んで欲しいと思いますよね。発行から2ヶ月経った後にOFPに送ってくれたりする団体もあって、それはそれで構わないのですが、もう次の号でるだろ!って(笑)。

面白いデータがあるんですが、発行から月日が経ってる冊子ってほとんどの場合で刷けが悪いんですよ。OFP調べですけどね。
その冊子が時間性を問わないコンテンツだとしてもです。勿論、ほとんどのお客さんは各冊子の発行日なんて知らない状態で選んでいる訳ですから判断材料として発行日は入りません。

つまり雑誌も生物な訳ですよ。生物は放置されていればどんなに良い食材でも異臭を放ち始めますよね?OFPのお客さんも店内に漂う雑誌の腐乱臭を嗅ぎ分けているのだと思います。ここに、如何に新鮮なうちに届けるかという事の重要性が垣間見れると思います。
OFPに置く事が流通の全てではないという事は勿論承知してますが、時間が経ってから送ってくるという事は少なくともOFPに置きたい気持ちはあるという事なので、流通の重要性そして特に雑誌は生物だという事にもう少し目を向けて欲しいですね。

檜山:制作の面でも、雑誌は制作者の熱量がもろに出てくると思っていて。雑誌は、絵、音楽、写真などのたくさんある表現手段が全部集まったものだから。余白の取り方一つとっても、その人の姿勢が現れる媒体だと思う。

松江:だから面白い。

檜山:なので、とんでもない熱量を持っている人だと、とんでもないフリーペーパーが出来上がりますよね。絵、写真、音楽でも、「完成度が高いものを世に出したい」と思っている人が多いけれど、雑誌は特にその熱量がわかりやすい。

もっと言うと、編集部の連絡先、号数が記載されていない媒体もあれば、スペシャルサンクスに協力してくれた人の名前を一人一人書いている媒体もあります。制作者の姿勢が細かいところに現れやすいのがフリーペーパーだと思うんです。

渡辺(SFF記者):これからフリーペーパーを見る目が変わりそうです(笑)。
そもそも、「フリーペーパーを作りたいけど、作り方がわからない」と人が多いと思うのですが、そのような方に対してアドバイスはあるでしょうか。

檜山:一つのテーマに尖ったらどうでしょうか。
実は去年のSFFで、自分が編集長をしていた『C-mail』がアワードをいただきました。その時に評価された理由が「どの媒体よりもシンプルだった」ことだったんです。「ひたすらインタビュー記事を載せる」という一つしかやらなかったこと。それを評価してくれたと同時に、コンテンツが複雑化しすぎて結局何が言いたいのか分からなくなっている媒体のことを指摘されていました。

渡辺:なるほど。実は私、フリーペーパーを作りたいと思っていたんです。案はありますが、どこから手をつけていいかわからずにいます。

例えば今考えているのは、私、東京農業大学に通っているんですけど、学食が残念なんです.......
何が残念って、“農大”という食(農業)に特化した教育機関なのだから、学校の研究を生かした学食にしたらいいと思うんです。そしたら農大の魅力が増しますよね。でも実際、野菜は千切りキャベツだけ。
「農業専門の大学」と「学食」というものを切り離して考えて、ホリスティックに見ていないからだと思うんです。

松江:やばくないですか(笑)。

渡辺:他にも、日本の農業が高齢化&衰退している事実、環境保護に関することを、学生のうちにフリーペーパーにしたいと思っていました。でも例えば、“農業”のフリーペーパーを作った時に、きっと農業に興味がある人しか手に取らないと思うんですよ。それだと意味がない。

松江:そのジャンルに興味がある人しか手に取らないとかだと、メディアの価値としては弱いですね。フリーペーパーって本当に全て自由だから、別に「興味あるやつだけが読めばいい!!」でも良いと思うんですよ。でも少なくとも渡辺さんが「それだと意味がない」と思うならやはりそのためのアウトプットをする必要性がある。そうなった時にさっき言ったみたいに、考えすぎないで、今言ったことを書いてみたら?となる訳です。だって今の学食の話凄く興味深かったし、何よりも、語ってる時の渡辺さん凄く活き活きしてましたよ。

檜山:結局それって色々考えて、こねくり回して、よくわからなくなっている状態です(笑)。でもフリーペーパーって、素直であることが一番価値があること。農業の価値を書くよりも、「なぜ農大の飯はまずいのか」最初に思ったことを意見として書くべきだと思います。

渡辺:わかりました。だけど編集の仕方がわからないので...Illustratorとか使えないし、文章を書くことも、自分の意見を書くことに対しての責任だったり...

松江:自分ができないことはできないんですよ。フリーペーパーの良い点は、誰でもできるところですよね。今の自分ができることを最大限に発揮することが大事だと思います。素晴らしいフリーペーパーを参考にする事も大切ですが、それは、後にという事で、先まず自分ができる範囲のことをやって、自分が思っていることを紙に落とし込む作業が一番大事。

家帰ったらすぐやった方がいいです(笑)。

檜山:やった方がいい(笑)。綺麗にまとめる必要はないです。

工藤:SFFの締め切りまで、まだ3週間ぐらいあるよ(笑)。

渡辺:わかりました...家帰ってすぐに取り掛かります(笑)。



フリーペーパーに対する熱量が大きい松江さんと檜山さんからの熱量についてのメッセージはいかがでしたでしょうか。心にグッとくるものがあったと思います。

そしてSFF記者の渡辺が、12/2(日)に開催されるStudent Freepaper Forum2018にフリーペーパーを出展することになりました。

この記事が一人でも多くの方に読まれ、今後に活かしていただけたら幸いです。

前編はこちら

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松江 健介
株式会社Beatface 代表取締役/
フリーペーパー専門店『ONLY FREE PAPER』代表
1982年、東京都生まれ。2010年、フリーペーパー専門店を東京・渋谷にオープン。2012年からは同店代表を務める。
以降、場所を転々としながらもフリーペーパーを通じて発信者のプラットフォームを作り続ける。
2018年9月には中目黒店、及び東京都外初出店となる名古屋店をオープン。
フリーペーパー専門店を営む中で、全国各所のフリーペーパーブースのディレクションやフリーペーパー制作のコンサルティングなども行う。
グッとくるフリーペーパーに出逢えたら一週間くらい機嫌が良い。
最近の趣味はフリペ飯。(フリーペーパーに掲載されている飯を自作する事)
Only Freepaper HP


檜山 加奈
フリーペーパー専門店『ONLY FREE PAPER』スタッフ
1997年、栃木県生まれ。大学在学中に多数のフリーペーパー製作に携わる。
茨城大学学生広報誌『C-mail』、茨城県フリーペーパー『茨女』、サークルフリーペーパー『Blooming』、有志フリーペーパー『BIG』、自主制作誌『うるさい女はだまれ』、美大生向けAdobe情報誌『Adobe BOOK』等で企画・執筆・編集等を担当。
現在、茨城大学教育学部4年。就職活動ではフリーペーパーへの愛をプレゼンし第一志望企業に内定。現在、ひとりでフリーペーパーをつくる卒業制作に勤しみ中。
グッとくるフリーペーパーを見つけたらTwitterで発信するが、本当にいいと思った媒体しか紹介しないのがポリシー。
檜山さんTwitter


Student Freepapaer Forum(SFF)
Student Freepaper Forum(通称SFF)は、全国の学生フリーペーパーの制作者と読者が一堂に会し、交流をはかることを目的とした、学生フリーペーパーの祭典です。
今年で開催13年目になるSFF2018は、過去最大規模となるフリーペーパー出展数100以上、来場者数1000人以上を予定しています。今回は学生フリーペーパーだけでなく、企業や社会人が制作するフリーペーパーも誘致しており、出展数もSFF史上最多となる予定です。
学生と大人が作る全国の幅広いフリーペーパーを、会場で手に取れるチャンスです。本やフリーペーパーが好きな方、学生の熱気に触れたい方、是非この機会に本の町・神保町で開催されるSFF2018にお越しください。
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(編集:渡辺 桃加)

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SFF2018 / SFF2018

SFF=Student Freepaper Forumとは、全国から集まった学生フリーペーパーを手に取り、その制作団体と直接交流することができる年に一度の祭典です。本やフリーペーパーが好きな方、学生の熱気に触れたい方、是非この機会に本の町・神保町で開催されるSFF2018にお越しくださいませ。