クリエイティブイノベーション高校生フォーラムとオープンラボat市ヶ谷キャンパスに行ってきた

2019年8月10日(土)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

8月9日(金)午後、手羽は1週間ぶりにムサビ市ヶ谷キャンパスにいました。

これは帰る時・・20時半ぐらいに撮った写真だけど、1階のMUJIcom 武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパスは完全に地域に認識された印象。ありがたやありがたや。
8月17,18日には「木んぎょすくい」や「第2回市ヶ谷旬市」もやってますんで、地域の方はぜひ。


んで何をしにきたかというと、

今回初めて行われるクリエイティブイノベーション高校生フォーラム(以下CI高校生フォーラム)に参加するためです。
CI高校生フォーラムとは説明会やAO面接ではなく、高校生と大学生のクリエイティブな活動発表会・交流会で、今後大学生と高校生が立場関係なく一緒に何か面白いことをしていく「部活」みたいな場にしていければと。

・・あ、この写真で思い出した。
いきなり脱線しますが(笑)、奥田民生の「マシマロ」って曲を知ってますか?(知らない高校生はお母さんに聞こう)
たまたま最近「マシマロ」のPVを見てたんだけど、

SME時代の黒ビル前で撮影してて、この上記エレベータホールも出てくるんです!(土下座してるシーン)
市ヶ谷キャンパスで「マシマロ2」を撮ってくれないかな・・。


7階へあがります。


  • 申込不要だったからどのくらい集まるのか不安だったけど、ちょうどいい感じに

若杉先生の導入から学部CI生によるプレゼン。普段どういう活動をしてるか発表してくれました。
ちなみにこちらの学生さんは某理工系大学を中退されて、CI学科に再入学されてます。


続いて高校生からのプレゼン。
今回は最初ってこともあり、事前に広尾学園 中学校 高等学校の高校生3組にプレゼンをお願いしてました。
今後はしゃべりたい人がプレゼンするみたいな形になっていくといいですよね。


  • 美術部の生徒さん


  • 映像ワークショップの活動をされてる生徒さん


  • デジタルものづくり工房「ICTルーム」の運営にかかわってる生徒さん

いやー、すごいとしかいいようがない。
彼女たちの自主的な活動もすごいけど、高校2年生がここまでプレゼンをしっかりやってる姿を初めて見ました。何度も練習してのぞむ大会とかではなく、ライトニングトーク的な場で。
多分大学生・・いや、うちの職員以上の能力(手羽以外)と言っても過言ではないっす。プレゼン慣れだけではなく、いろんな大人の起業系プレゼンを見てないとここまでできないはずで。
その証拠写真がこれ。

この1枚だけで、いろんな大人のプレゼンを見てきてるのがわかる。

それからはグループごとに交流。今回は初回なのでノンテーマで自己紹介。

山崎先生から「手羽さんもグループに入ってよ」と言われて、途中から参加させてもらいました。

この場にいるってことは「それなりの意識がある人」ということはわかってたけど、予想以上の人ばかりで。
広尾学園では高2の春にフロリダでアントレプレナーシップを勉強する機会があるそうで、「15分の英語プレゼンやってきたばかりっす」とあっさりと。まさか高2の口から「アントレプレナーシップ」「共創」という単語が出てくるとは・・。
広尾学園のICTルーム(ファボラボみたいなもの)の運営をやってる高校生は「作りながら学ぶ場所を作りたい」と思っていて、数年前からMaker Faire Tokyoにも行ってるそう。高2と「手羽も東工大でやってる頃から行ってたんだよ!」と盛り上がる時が来るとは。
他にも、ファインアートや写真の勉強をするためにロンドン留学してて、大学ではそれらをビジネスにつなげる勉強をしたいと探したら、CIにたどりついた・・という名古屋に住む女性もいました。

彼女たちがイメージしてる「やりたいこと」を勉強しようと思ったら、これまで経営系か理系に行くよう指導するしかなかったけど、彼女たちにはすでに文理融合の意識がある。
また、「作りながら学ぶ場所を作りたい」という生徒には、これまでそういうカテゴリや仕事を表す単語がなかったから「教育者になったら?」ぐらいにしか言えなかったけど、今は「サービスデザイン」「コミュニティデザイン」「ソーシャルデザイン」「起業」「ビジネスデザイナー」など「括れる言葉がある」「それらを既にやってる若い人が具体例として存在する」ってのはほんと強い。
「ハヤカワ五味さんや西村真里子さんをチェックしとくといいよ」と教えたんだけど、「クリエイティブ+起業+女性」というキーワードで、ハヤカワ五味さんの名前にたどり着いてないのはまずい・・というか高校生は仕方ないのだけど、多分そういう情報を教えてくれる大人が周りにまだいなかったんだろうなあ、と。
そして名古屋に住む女性やICTの高校生には

「IAMASもチェックしといた方がいいっすよ。大学院大学だけど」と美大愛好家としてアドバイス。後からスタッフから「なんで他大学の宣伝してるんですか!」と言われたけど、情報はあった方がいいじゃん(笑)
とにかく、これまでの「美大」だと出会えなかった高校生ばかりで、「ああ。新しい領域を作るってこういうことなんだな」としみじみと実感できました。

今回ひらめいたことが2つあって。
ICT運営をしてる高校生が「ICTやってると何でも屋になっちゃうんですよね(笑)」と言ってて、「これ、漫画にできないかな?」と思ったの。ほら、スケットダンスって漫画があったでしょ?「彼方のアストラ」の作者の。あのクリエイティブ特化版。あらすじはこうです。
===
タイトル「クリエイティ部にようこそ」
市ヶ谷高校の校舎のはずれにある「クリエイティ部」。部員は絵が得意な栗山、立体物なら任せろな栄川(えいかわ)、電子系が得意な手羽、ビジネスセンス抜群の井上、マネージャーで体力ありあまる部谷(へや)のたった5名。名字の頭をとって「栗栄手井部」、そう彼女たちがクリエイティ部なのだ!

今日も悩みを持った高校生が相談にやってきた。クリエイティ部のメンバーはアート思考・デザイン思考・エンジニア思考・ビジネス思考を駆使しながら解決するのであった。笑いあり涙ありのストーリー。うなれ!3Dプリンタ!光れ!レーザーカッター!

===
「映像研には手を出すな」の課題解決版みたいなイメージです。

もう一つはグループの中で「学ぶなら東京の大学か、地方の大学か」という話が出たんですが、このままだとアレなので、「住むなら東京か、地方か」というディスカッションを次回の高校生フォーラムでやるのはどうだろう。強制的に半分に分けて議論するディベート形式。


とかなんとか考えてたら時間終了。
続いて、

場所を移動してオープンラボに突入。こちらは純粋な進学相談会です。
まずは山崎先生、若杉先生からクリエイティブイノベーション学科、大学院クリエイティブリーダーシップコースの話。

手羽も全然知らなかったけど、


  • 大学院では「ないなら学生寮を作っちゃおう」と盛り上がり、

根津のシャッター商店街に空き家を見つけ、実験的にシェアハウスを始めたそう。
今年の4月にできた大学院が、ですよ。この動きの早さ、「圧倒的プロトタイピング」を名乗るだけのことはある・・。

そして

荒川先生から学部の授業について説明があり、そのまま

クリエイティブイノベーション学科1年生から活動紹介。
ちなみに高校時代の美術はずっと2だったけど、今回共通絵画の授業で参考作品に選ばれたんだって。

ここから大学院クリエイティブリーダーシップコースの説明を井口先生から。
CI学科専任教員6名のうち4人が会場にいたわけですが、残り二人はというと篠原先生が学生さん連れて中国に、長谷川先生は地域連携ロケハンで東北に行ってたそう。みんな飛び回っております。

井口先生がさすがなのが「いいことばかりしゃべらない」ところで。
おいしい話ばかりして入学したら「言ってたのと違うじゃねーか!」となるのが大学としては一番怖いことで、この4か月運営してみてわかってきたネガティブな話もされてました。

例えば「社会人も受講できるような時間割にしてる」のは間違いないのだけど、カリキュラムがかなりみっちり組まれているので仕事をやりながらだとかなりつらいはず。アカデミックと実践を同時に高速道路並みのスピードでやってますからね。実際、3人の社会人が・・会社を辞めたそう。
「大学院なんだからたまに大学に行って、先生にたまに研究論文を見てもらう」ぐらいの気持ちだと絶対的に無理で、会社員だと大学院は3年かかる覚悟、もしくは会社の全面的な協力がないと卒業が難しいことを説明されてました。

私からも補足すると、今市ヶ谷キャンパスの工事は一休みしてますが、来年は残りフロアの工事に突入するので、かなりの工事音の中での授業になるはずです。足場も組まれるるはずだし、「静かな環境で授業を受けたい」という方には来年1年はつらいかもしれません。でも逆に「新しいキャンパスが学生の意見を聞きながら作られていく様を見ていきたい」という方には確実に向いてる年とも言えます。

トーク最後は大学院クリエイティブリーダーシップコースの学生さんから。
ちなみにこの方はタマビからムサビ大学院に進学されてます。

既にいろんな活動をされてますが、例えばムサビ鷹の台キャンパスの目の前に

誰もが自由に使える学びの場Co-studying space「ボノボの巣」を作ってる真っ最中だったりします。写真見ると「さんちゃん」の真横だ。
Co-workingじゃなくてCo-studyingなのがポイントで、1階がco-studying spaceとcafe、2階がfabスペースとギャラリーになってて、様々なイベントやワークショップなど開催を予定とのこと。
10月中旬オープン予定とのことで、ムサビに遊びに行った際はぜひ立ち寄ってください。芸祭かな。

最後は個別相談に移行。
いやー、今日は来てよかった。


以上、新学科のサイトがティザーサイトから正式サイトに移行しましたよ、の手羽がお送りいたしました。
武蔵野美術大学 造形構想学部・大学院 造形構想研究科
8月末に開催されるワークショップなどのイベントも情報が出てるのでチェックよろしくです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。