【Amazon芸術教育部門1位! 】美大生図鑑を読んでみた。

2017年3月23日(木)

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ヨシムラヒロムという変な知り合いがいます。


榎本了壱とみうらじゅんとサブカルをこよなく愛すヨシムラくんは、5年制の高等専門学校デザイン科を卒業後、デザイン事務所のアルバイトを経て、京都造形芸術大学の3年に編入した1年後に武蔵野美術大学基礎デザイン学科に編入しなおしてムサビを卒業。現在はフリーのイラストレーター・コラムニストと中野区観光大使として活動しています。

ヨシムラくんとの出会いは6年前ぐらいかな?
卒展直前に「もしかして手羽さんですか?」と1号館下の喫煙所で声をかけられたのが始まり。「僕も嫌いだけど手羽さんも相当の京都造形嫌いでしょ?」といきなり聞かれたのを今でもはっきりと覚えてます(笑)嫌いってわけじゃないんだけどなあ・・。


そんなヨシムラくんの本が発売されました。

美大生図鑑 あなたの周りにもいる摩訶不思議な人たち
ヨシムラヒロム (著)

「付き合いづらいけど、根は純粋(ピュア)」

美大出身のイラストレーター・コラムニストが、 美大生の切なさや思いをリアルに描く。 思わずうなずく美大あるある73選!  オールカラー!!

〈本書より〉
◎キングオブ美大「東京藝大」
◎絵が描けなくても大丈夫?
◎ドラ息子、美大にはばかる
◎後ろ姿が二宮金次郎
◎恋人は「作品」で選ぶ
◎美大女子はなぜ脱ぐのか?
◎変わり者だと思われたい
◎『情熱大陸』は観るドラッグ
◎「いいね! 」が欲しい……etc.

「1ページ1美大あるあるネタ」で構成され、それに関連する書下ろしイラストが掲載されてます。
藝大、タマビ、ムサビ、東京造形、女子美、日芸、京都造形、金沢美工、大阪芸大は単独で紹介されてますよ。
ちなみにイラストはサクラのマイネームで描いたものをフォトショで彩色したそう。

さらにページ下には美大でよく使われる単語「BIDAI WORD」も豆知識的に載ってます。
ムサビ日記でいうところの「手羽註」ですな。もう少しここに力を入れてほしかったけど(笑)

手羽が一番びっくりしたのは112ページオールカラーなことで。
112ページオールカラーで1200円って「飛鳥新社さん、大丈夫ですか?」と思ってしまう・・かなり頑張られた証拠で、すごいなあ・・。 


んで、それよりもなにがすごいって、

2017年3月23日現在、Amazon 売れ筋ランキング芸術教育部門で1位なんです!
美大ブームきたこれ!

ちなみに2位は京都造形芸術大学 東北芸術工科大学 出版局 藝術学舎が出してる「本当はすごい“自分”に気づく 女子大生に超人気の美術の授業」でこれも前々から読みたいと思ってるんだけど、今ポチっとやるとヨシムラくんが抜かれるかもしれないのでほとぼりが冷めたところでポチります(笑)
でもヨシムラくん的にはサブカルチャー部門39位の方がうれしいんじゃないかしら。
 

実は手羽も事前インタビューに協力した一人でして、本書に「長年美大に勤めるる知人」として登場しますので探してみてください。


やはりヨシムラくんの強みは「経歴」「人脈」「イラストが描ける」「コラム能力」ですね。
美大愛好家を名乗る手羽だけど、基本的にはムサビのことしか知らない超人見知り人間なので、知り合いの他美大職員に会ったり、こっそり卒展やオーキャンに行ったり、ネットで毎日美大関連ネタを調べたりして情報を仕入れるしかなく。藝大出身の友達もいない。

でもヨシムラくんは関西と東京の2つの美大にいたので「自分の経験値」として比較ができる。「京都造形の講評会は関西弁禁止」なんてネタは実際に経験しないとわからない話だし。(就活対策ってことなのかな)
フリーで活動してるからいろんな人に会えてるのもうらやましいし、美大卒が全員イラストが描けるわけではなく、ほいほいっとサクラペンでその場で描けるのは完全に才能で、さらにコラム文章能力も高い。

この4拍子がそろってる人はそういません。
ムサビ出身者はみうらじゅんさんだったり辛酸なめ子さんだったり西原理恵子さんだったり、「人脈」「イラスト」「コラム能力」の3拍子がそろってる人は多いのだけど、「関西・東京の2つの美大を経験」って人はなかなかいない。

美大出身者がよく美大受験生向けの記事をネットにアップしたり知恵袋的な場所で答えてたりしますが、「それ、20年前ぐらいの今じゃ全然使えないネタですね・・思い出話としてはいいけど受験生アドバイスにはならないっすよ。もう少し調べればいいのに」なことが多い。「今の話」じゃないんです。

一橋大出身の人が藝大生を取材して「最後の秘境だ!」と書いた本は読み物として面白いけど、「美大生図鑑」は恐らく日本で最初の「様々な美大を網羅した、今のリアルな美大生を捉えた超美大人間が描いた本」と言えるんじゃないでしょうか。これを書けるのはヨシムラくんしかいない。

あ、基本的に手羽は「若い芽は摘む」タイプなのになぜこんなに褒めてるかというと、手羽とは美大へのアプローチが被らないからです(笑)


手羽も「美大あるあるネタ」を一つ書くかな。
「爪が汚い美大生は頑張ってる人」はどうでしょう。

視覚伝達デザイン学科、基礎デザイン学科、版画だとシルクスクリーンだったり、空間演出デザイン学科やテキスタイルだと染色をやったりします。この染料がね、手につくとなかなか落ちないんですよ。特に爪と手のしわは。
企業での産学プレゼンの時、学生さんの手を見たら爪が全部黒と紫の中間色で、「な、なんで企業プレゼンでその色のマニキュアを?!」と聞いたら、「午前中までシルクをやってたんですよ(涙)」ということが何度かありました。
午前シルクをやって、午後企業プレゼンってことは全然違う授業や課外活動を午前午後にやってる証拠。こういう学生さんを見ると「おっちゃんがカラアゲでもごちそうしようか?」と言いたくなります。
あ、「美大生はカラアゲとドーナツが好き」ってのも美大生あるあるかな?



以上、「絶対に買い忘れちゃいけない」とポチっとしてたら、

美大生図鑑が2冊届いてしまった手羽がお送りいたしました(涙)
ヨシムラくんから献本も届いて、なぜか手羽の手元に3冊あります・・・

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。