【その2】日立×ムサビ共同ワークショップ最終プレゼン@中央研究所に行ってきた!!

2018年9月3日(月)

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ムサビは今日から後期授業スタートします。
9月いっぱい夏休みって大学も増えてきましたが、ムサビは安定して中学校並みのスタートです(笑)


8月29-31日の3日間、日立さんと国分寺地域をフィールドにした「価値交換」がテーマのアイデア創出ワークショップを行いました。そのレポートをお送りしています。
これまでの様子はこちら。
【肩たたき券とシーブリーズ問題】日立×ムサビ共同アイデア創出ワークショップがスタートした!
【その1】日立×ムサビ共同ワークショップ最終プレゼン@中央研究所に行ってきた!


さて、最終日の会場となっている

日立製作所 中央研究所を紹介しましょう。

以前、日立さんの研究所は工場と直結する形で茨城県日立市にありましたが、10年、20年先の発展を考えた際の基礎研究の必要性から中央研究所の設立が決まり、都心への交通の便がよく閑静で広い敷地が確保できるところ・・・ということで昭和17(1942)年に国分寺に創設されました。

中央研究所は小平浪平創業社長の「よい立木は切らずに、よけて建てよ」という意志を受け、武蔵野の原生林を極力生かした開発が今も守られ、国分寺駅北口から徒歩10分の立地ながら、東京ドーム6個分という敷地に緑豊かな空間が今も残っています。こちらによると、構内には約120種2万7千本の樹木があり、樹齢百年余の欅やヒマラヤ杉の大木、化石期の植物といわれるメタセコイアなど珍しい植物もあるそう。
あ、手羽は2012年に放送されたブラタモリで日立中央研究所の存在を知りました(笑)


で、普段は関係者以外立入禁止で、入れたとしても屋内・屋外含め全て完全撮影禁止なんです。
今回プレゼン会場内だけ特別に撮影許可(と記事掲載許可)をいただきましたが、それ以外は手羽も一切撮影できず。
なので年に2回だけ行われる一般公開日の際に川崎総合・碓井先生が撮影された写真をお借りしました。


  • 構内に国分寺崖線からの涌き水があり、それが「野川」の源流となってます。大池には昭和天皇から頂いたロイヤルスワンが2羽いるのは有名な話。ちなみに次回の一般公開日は11月18日(日)

正門入って50mぐらいのところにある「へんじんはし」。橋には「返仁橋」と書かれてますが、「変人橋」でもあるんです。

この橋を渡らないと研究所内には入れません。
創業者が「独創的な基礎研究を進めるためには、ある意味で変人と言われるようなひたむきさが大事。一方で研究が終わって帰る時には人をいつくしむ心、すなわち仁に返れ」という意味でつけられたそう。
深いです。国分寺崖線ぐらい深い。

 

ところでブラタモリでもやったんですが、東京都の「重心」が国分寺にあるのは知ってますか?
「東京都の中心」は国分寺にあった! どんな場所か行ってみると... - ニュース - Jタウンネット
「最終プレゼンは中央研究所でやりたい!」とわがままを言い出したのは手羽でして、東京の中心(重心)で、日立さんとムサビが変人になってアイデアを考え、いつもお世話になってる国分寺に返仁の気持ちでプロジェクトを行う。
すごく意味がある場所での最終プレゼン地だったんです。



では、変人たちのプレゼンの様子に戻ります。
次はEグループ。


  • 「スキルの交換」という提案

あ、ここまでの写真でお気づきの方もいらっしゃるかもしれません。

今回「パワーポイントなどを使ったプレゼンはNG」としたんです。
パワポやキーノート使った方が見た目もよくなるし、それっぽくなるんだけど、きれいなスライドを一人が作る時間があるなら、みんなであーだこーだ一緒にアイデアを考える時間に使ってほしくて。
背景に画像を2,3枚出すぐらいで、基本は模造紙に書いたり、寸劇したり、紙芝居だったり、あえて超アナログなプレゼンとしました。

デ情・井口先生、視デ・中野先生もコメントされてました。


続いてFグループ。


  • コメントが入った風船によって情報の交換を行う

Fグループがディスカッションやってる時に学生さんに聞かれたんです。
学生「手羽さんは風船もって国分寺を歩けます?」
手羽「うん。全然抵抗ないけど?」
学生「いい男性の大人がハート型の風船を、ですよ?」
手羽「うん。全く」
学生「・・・聞く人、間違った」

っておい!手羽の何を知ってるんだ!!
これでも超恥ずかしがり屋の超人見知り人間なんだよ!「このタイミングでそれを言う?」だけど、知らない人と取り換えっこって苦手なんだよ!(今それを言う?)



コホン・・。
そして最後はGグループ。

なんと足湯の提案。ぶんぶんウォークでいっぱい歩いた後につかってもらおうと。

でそのタイトルが、

「I See You」。これを「アシユ」と読ませる。ロゴまで作ってました。

左側でマイクをもってコメントしてるのは、株式会社シュウヘンカ共同代表の吉川友紀子さん。

吉川さんは作り手・伝え手・使い手を繋げる「ててて協働組合」の共同代表、シェアオフィス「国分寺さんち」の企画運営、「つくし文具店」マネジャーなどもされており、なんとムサビ工デインテリア出身。
あ、「ててて協働組合」は、渋谷ヒカリエ8階d47 MUSEUMで開催してる「47あつらえ展 〜47都道府県のセミオーダーマーケット〜」の企画運営もされてますので、そちらもぜひ。

今回のプロジェクトでの収穫の一つは、私たちが思ってる以上に国分寺や小平で地域に関わってるムサビOBOGがいることがわかったことかもしれません。

学生さんたちのプレゼンが終わった後、吉川さんたちから「国分寺地域通貨ぶんじ」について説明がありました。
そうなんです。国分寺には地域通貨が存在するんですよ!


そして最後は日立の森木さんが登場。一緒に今回のプログラムを考えてきた方。
森木さんは中央研究所に入社後、ひたすら大型コンピュータの設計開発をしてきたけど、東京社会イノベーション協創センタでのデザイナーとのコラボに衝撃を受け、モノからヒト、生活者視点からのイノベーションを志すようになったそう。

例えば自動車を作りたい場合、自動車のタイヤ作りから始めるのではなく、まず「動くもの」としてスケボーを作ってみる考え方が大事で、「とりあえずすぐに試してみて、失敗から学ぶ」という話。デザイン思考における「プロトタイピング」であり、このプロジェクト自体がまさにプロトタイピング発想ともいえます。

日立さんの最新の取り組みだと、実は

先週土曜まで国分寺でやっていた「ぶんじバル2018」の電子チケット決済システムがそれです。
今回私たちがやろうとしてることは、ベースとしてここまでのものはあるということですね。

ぶんぶんウォーク、地域通貨ぶんじ、ぶんじバル・・・どれをどのくらい事前に学生さんに知らせるか迷ったのですが、学生さんがそれをゴールにしてしまう可能性があったので、ほとんど説明せず、終わった後に「実はこんなことをやってる人達がいる」というワークショップ構成にしました。

最後は長澤学長に総括をしてもらい、


  • 井口先生の乾杯の音頭で懇親会開始。


  • 懇親会でこんなに学生にすぐに囲まれる学長も珍しいんじゃないかと(笑)


さて、昨日の記事に「手羽がプレゼン見て泣きそうになった」と書きましたが、それは二つあって。

ひとつは

美大生の「その場で絵を描ける強み」を改めて実感したこと。パワポプレゼンではなかなか気が付かないことでもあり、模造紙プレゼンにしたからこそかもしれません。
プレゼン30分前に大きな模造紙に絵とイラストをパっと描く造形力や構成力は、総合大学でデザイン思考などを教えてる先生からすればすごくうらやましい能力なんだけど、美大ではあまりにも「普通」のことなので見逃されがちなんですね。


そしてもう一つは「美大生の粘り強さ」
言葉を変えるなら「タフさ」「突破力」であり、中間プレゼンの「完全に沼にはまった状態」から、よくこの短時間でここまでのアイデアの飛躍をやったなあ、とほんと感動しちゃって。

この「粘り強さ」って「造形の副作用」でもあります。
ムサビやタマビの一般入試では3時間×2回とか6時間とか実技試験をやってるわけですが、裏を返すと「集中して6時間ずっと考えて手を動かせられる人」を選別できる仕組みでもあるんですね。これが通常の大学、AO・推薦入試中心の美大ではできないんです。
また、造形するには長時間自分との葛藤も含めずっと取り組む必要があり、美大の授業って社会に入ってから実は一番必要な「粘り強さ」のトレーニングになってるんです。
ちなみに新学科はそこに注目してまして、1,2年は徹底的に造形力トレーニングをするカリキュラムになってます。

今回のワークショップではつくづくムサビ生の粘り強さ・アイデアの発想力を体感することができ、
「よくぞ最後まであきらめずに取り組んだなあ(涙)こういうことがあるから、この業界やめられないんだよなあ(涙)」とプレゼン見ながらウルウルしちゃった、と。


ただ、今回のワークショップにおいては、これで終わりではありません。
「実際に社会で試してみる」がセットになってるので、本番はこれから。根気よくお付き合いくださいませ。

とりあえず皆さん、お疲れ様でした!!
しかし、こんなみんな笑顔の集合写真も珍しい(笑)


以上、夏休み最後の土曜に念願だった

ムサビ工デOGが経営してる小料理 百けんに行くことができた手羽がお送りいたしました。
料理が全部旨かった!!


明日はいろんな大学が関係する展覧会を紹介します。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。