【肩たたき券とシーブリーズ問題】日立×ムサビ共同アイデア創出ワークショップがスタートした!

2018年8月30日(木)

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8月29日(水)、日立製作所さん(以下日立さん)とムサビの共同ワークショップがスタートしました。

通信スクーリングが終わり、学食もエミュウも世界堂も一切営業していない期間。完全な陸の孤島状態なムサビですが、ポジティブに考えるなら集中して何かに取り組むにはジャマものがないいい期間。


ところで日立さんというと、プロダクト製品をイメージする人も多いんじゃないでしょうか。そういう手羽家も洗濯機は日立製で、なおかつ2台連続(笑)

でも、日立さんは2015年にかなり大きな組織改編をされ、デザイナーや研究員をまとめた「東京社会イノベーション協創センタ」を作っています。日本企業の中ではかなり早い段階で社会におけるデザインの価値・役割の変化に気づき、「有形のデザイン」から「無形のデザイン」に取り組みだした企業さんなんです。

例えば、こちらをご覧ください。
25のきざし:研究開発:日立
未来洞察によってサスティナブルな都市生活の25のきざしをまとめたものを公開されてるし、こちらの動画では、

AIやビッグデータの時代と言われてるけど、これからのロボットはデータをただ蓄積したり、命令されたことに指示通り動くのではなく、相手の「尊厳」を守りながら成長していくようになると語られています。
「サービスデザイン」「エクスペリエンスデザイン」ってことだと日本企業の中では一歩日立さんは先をいってるんですね。


で、日立さんは国分寺に中央研究所があるんです。
ムサビ生なら西武国分寺線に乗った時に「あの大きな緑はなんだろ?」と思ったことがある人も多いと思うけど、実は日立さんの研究所なんですよ。
そのご縁で日立製作所東京社会イノベーション協創センタさんと共同して、国分寺地域をフィールドにした「価値交換」がテーマのアイデア創出ワークショップを行うことになった、と。

こちら日立の田中さん。田中さんが今回のコーディネータ・進行役を務められていて、何を隠そうデザイン情報学科の3期生です。

また日立さんからメンターとして若手スタッフの方が参加してくれてます。


  • あちこちでお世話になっている丸山さん


  • ムサビは視覚伝達デザイン学科の中野先生と


  • デザイン情報学科の井口先生が担当。あ、工芸工業デザイン学科の中原先生も担当なんだけど海外出張中でお休み。

企画には建築・鈴木先生にも関わってもらってます。
大学の先生って夏休みは暇と思われてるかもしれないけど、ほんと忙しいんですよ・・。


通常「日立さんとのワークショップ」だと、ムサビであれば工芸工業デザイン学科のインダストリアルデザイン生が中心になるところですが、最初に書いたとおり「国分寺地域をフィールドにした『価値交換』がテーマのアイデア創出ワークショップ」なので、全学科全学年で参加者は募集しました。それで中野先生と井口先生なんですね。
ちょこちょこ書いてるけど、「学生・教員含め学科の枠を超えた他大学や企業とのワークショップ」って他美大さんではなかなか難しく、「ムサビならではのやり方」と言えるようになってきました。

ムサビからは35名、そして一橋大学さんからも二人学生さんが参加しています。
この夏ワークショップ自体は3日間だけなんだけど、この後も続く長期プロジェクトでもあり、見た目よりもかなり大掛かりな仕掛けなんです(笑)
どう大掛かりかはおいおいと。今書けるのはこんなところかな?


昨日は「取り換えっこ」をテーマにディスカッションしてもらいました。「取り換えっこ」にはどういうものがあるか、そこにはどういう要素が含まれているのか。
あとで書きますけど、考えれば考えるほど、実は深い話で。


  • 日立さんび若手スタッフはパっと見、学生との区別がつかない(笑)

どのワークショップでもそうだけど、最初はみんな座ってやってるんだけど、議論が盛り上がってくると立ち上がり始めるんですよね。

そして最終まとめプレゼン。

日立さんとの打ち合わせで「『●●ちゃんと■■を取り換えっこした』みたいな内容で終わったら怖いっすよね」と話してたんですが、そこはムサビ生と一橋生。こちらがイメージした、いやイメージした以上の初日の結論に達してて、一安心。もちろん、事前課題含めて日立さんが周到なプログラムを用意してくれたおかげでもあるのですが。


そうそう。昨日のワークショップで衝撃的なことが2つありまして。
ひとつは、頭をほぐしてもらうために「この3つの『取り換えっこ』についてグループで議論してみて」とやったんですよ。

「取り換えっこしてる本質はなんだろう」という気づきをみつけてもらうためで、例えば出世払いの本質って「ほんとに将来出世したら払ってもらう気があるか」ってところですよね(笑)

すると何人かの学生さんから質問が出たんです。
「肩たたき券ってなんですか?」と。

えっ。今の学生さんは肩たたき券を知らない人がいるのか・・・。
そ、そういわれると、確かにうちの子からも肩たたき券をもらったことがないなあ・・これが日立さん含めてショックで

そして二つ目は、事前課題発表で何人かの学生さんが具体例として出してきたなかに「シーブリーズのフタの交換」があったんです。学生さん達には「他の人とカブってしまいました(笑)」「ああー、なるほど」という普通の反応だったけど大人たちは「え?え?そんなのが高校や中学ではいつのまにか一般化してるの?!」とビックリで。
知らない人のために書くと、シーブリーズのフタを仲良しや付き合ってる人と交換することで「ああ。あの人は彼氏がいるんだな」とか「●●ちゃんは交換する友達がいないんだな」とかわかるらしい。調べたら2015年頃の広瀬すずのCMから始まったらしく、高2のリンクロウに聞いたら「ああ。中学の頃は流行ってたよ。高校では誰もやってないけど」という答えだった。


手羽が「取り換えっこ」ですぐに思いついたのは、「友達の家に行く時のお菓子」です。
リンクロウ・あかりちゃんの小学校では「友達の家に遊びに行く時は必ずみんなで食べられるようなお菓子をもたせる」というママさんたちが作った超ローカルルールが昔からあるんです。これは「お菓子」と「サービス」の取り換えっこだし、「友達と遊ぶため」の取り換えっことも言えます。
手羽が子供のことはそんなもんなかったし、せいぜい持っていくものは友達と遊ぶ道具とかマンガとかファミコンのカセット(古い)とか。今は全国そうなのかわからないけど、恐らく以前トラブルが発生し、「お菓子を持たせよう」とこの地域、小学校ではママさんたちが話し合って「内々に」決まったんじゃないかと。ルールが産まれる時ってそんなもん。

実はこの話には続きがありまして。
外国人のお母さんを持つお子さんがお菓子を持っていかなかったんです。もちろんそんなローカルルールがあるとは知らなかった(誰も教えてなかった)せいでもあるんですが、「あちらの奥さんは子供にお菓子をもたせなかった。なんて失礼な家なんでしょ」と少しハブられたんですね。ほんとテレビドラマで見るようなことが現実に起きるんですよ、ママさん・PTAコミュニティって。


お金のように「国が決めた取り換えっこ」もあるし、こういうローカルコミュニティでの「取り換えっこ」もある。時間軸を長くみると、あらゆるものが「取り換えっこ」とも言えるわけで、そこにはルールがあり、お互いが感じる価値があり、気持ちがあり、空間があり、時間軸もある。「気持ちの交換」と書くとポジティブだけど、ネガティブに書くならば取り換えっこには「わずらわしさ」もついてきます。
ほんと「取り換えっこ」って考えれば考えるほど奥が深い。

初日、2日目とムサビで行い、3日目は地域の方を招いて、なんと中央研究所で最終プレゼンを行うことになってます。今からとっても楽しみ。



以上、ちょっと夏休みしたいので更新休みますの手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹と西原理恵子とみうらじゅんと羽海野チカと銀魂と合体ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し日夜奮闘中